シリコンバレー発SUKIYAKIレポート 2017年2月22日

本コーナーでは、事業開発コミュニティSUKIYAKIが実施したイベント、テクノロジーのトレンドなどについてレポートします。

〜AIの今後〜 個人から企業までAIの活用と可能性



Hike Venturesは、AI(人工知能)を活用したプロダクトを開発するスタートアップにフォーカスしたベンチャーキャピタルだ。同社のジェネラルパートナー安田幹広氏に、今後AIが個人や企業へ与える影響や設立の背景について聞いた。

■Hike Ventures設立への道
90年代にNetscapeではインターネットの黎明期を経験し、その後カカクコムではCTO/COOとしてWeb2.0やスマートフォンの躍進を実感した。そして、ここ数年のシェアリングエコノミーの台頭を経て、新たな技術革新が現在進行形で起こっていると感じている。その中心にあるのはAIだ。これまでの技術革新は、ユーザの生活を大きく変え、巨大な企業群を生んできた。現在最も使われているコンピュータはスマートフォンであり、ソーシャルネットワークでユーザは長い時間を過ごしている。AirbnbやUberに代表されるシェアリングエコノミーも既存産業の脅威となるまで成長した。そして、いままさにAIが既存の事業に影響を与え、新しい産業を作り出している。AIが変えていく未来に貢献したいという思いで、2017年春、DeNA米国法人を退職し、パートナーとHike Venturesを起業した。
インターネットは、情報へのアクセスを民主化した。AIは、サービスを民主化する。例えば、AIに専門的な知識を学習させることで、プロにしかできなかった仕事を短時間・低価格で提供することが可能となる。さらには、AIに大量のデータを解析させることによって、これまでは見えていなかった事象やデータ間の関係性を明らかにすることもできる。

■どこにチャンスがあるか?
AIに対してはGoogle、Facebook、Microsoft等ネットの巨人が積極的に投資をし、汎用的なAIプラットホームを提供している。一方、弊社が注力するのは、AIを使って具体的な問題を解決しているスタートアップでNarrow AIと呼ばれることもある分野だ。
例えば、各業界において、以下の分野(右上の表参照)ではAIの活用は既に始まっているか、近い将来、自動化が可能な領域だ。
弊社では、シード期(起業後1〜2年)にあるスタートアップに対して投資を行う。地域では、米国とカナダに注力しており、家庭のWiFiルーターが送受信する電波のみから家の中に誰でいてどのような動きをしているかを察知するAerial(5M調達済み)や、体外受精成功の確率を誤差率5%以内で予測するUnivfy(6M調達済み)、不動産ディベロッパー向けの土地の探索を自動化するCitybldr(4M調達済み)などに注目している。


■AIが変えていく未来
AIをフル活用してサービスを作ることの競争優位性は、Google、Amazon、Netflix、Facebookらが既に実証している。例えば、Netflixのユーザが見る動画の75%は、AIがおすすめした中からユーザが選んだものだし、Amazonの売り上げの35%もAIが選んだおすすめ商品から購入されている。彼らのAIが賢くなるほどユーザの期待値が上がっていき、やがてあらゆるサービスに対して同じレベルの体験を求めるようになる。タブレットコンピュータを使ったことのある子供がどんなフラット画面でも指でスワイプしようとするのに似ている。
さらに、AIは人間の仕事をサポートしたり、自動化することにより、価格・スピード面で競争優位性を与える。また、自分達でAI を活用し、直接ユーザへサービスを提供する垂直統合型のスタートアップ(例:AI弁護士事務所、AI病院、ロボット配達会社)なども出てきている。これらAIの可能性は、スタートアップだけではなく多くの企業に新規事業参入への新しい道を開いている。弊社では、AIスタートアップの発掘・投資に加えて、AIスタートアップとのコラボレーションによる事業創出も支援していきたいと考えている。

安田幹広
安田幹広日本ネットスケープにて日本国内コンサルティング事業責任者、カカクコム取締役CTO/COO、デジタルガレージ海外事業担当取締役、Open Network Lab CEOを経てDeNAへ。DeNAでは、約3年半シリコンバレーを拠点とした北米投資業務責任者を担当。
SUKIYAKI
木村将之
SUKIYAKI代表。 トーマツベンチャーサポート株式会社シリコンバレー事務所Managing Director。筑波大学院非常勤講師。
在シリコンバレー日系企業による新規事業開発を目的とした互助会。「日本を元気に!」をテーマに、シリコンバレースタートアップとの連携による新規事業開発に必要な、機会の創出、組織変革、個人の能力育成につながる活動を定期的に行う。
www.svsukiyaki.com