シリコンバレー発SUKIYAKIレポート 2018年7月6日

本コーナーでは、事業開発コミュニティSUKIYAKIが実施したイベント、テクノロジーのトレンドなどについてレポートします。

NEC主席研究員、dotData, Inc.創業者、CEO(就任予定)
藤巻遼平氏


■会社発足のきっかけ
藤巻氏は、東大航空宇宙科出身、2006年入社当時、日本ではまだ、機械学習は黎明期であり、ビッグデータという言葉すらなかった。入社後は、3年連続で世界トップのカンファレンスで論文を通すと第一人者として知られるようになる、ということで、世界のトップカンファレンスで論文を出すことに腐心した。それもあって、北米に来る直前の2011年に取得、日本では機械学習の領域で名前の知られる研究者となった。
北米に赴任後、同僚でBaiduのAI開発責任者を務め、世界のトップカンファレンスで論文発表を連発していたKaiYu氏との出会いが藤巻氏の世界観を変えた。彼の言葉、「論文を書くために仕事をするのは止めろ。顧客、社会の役に立つことをすれば自然と論文は出せる。」目から鱗であった、それを機に実用化や顧客目線が強くなった。実用化を意識した結果として、現在のAIのプロセス全てを自動化するサービスが生まれた。

■カーブアウトにする事になった経緯は?
2016年12月の三井住友銀行との PoC成功をきっかけに、社内でどのようにこれを事業化するか議論になった。既存の研究開発部が研究を続け、事業部が事業化する手法も検討したが、「マーケットフィット」「人材」「体制」の観点から上手く行かない感覚があった。「マーケットフィット」の観点からは、日本で事業化となると、顧客がカスタマイズを望むため、世界では受け入れられなくなる可能性がある。一方で、北米で通用する標準化されたプラットフォームは日本でも通用する。カスタマイズされ過ぎる。「人材」の観点からは、世界トップの優秀なデータサイエンスやAI分野の人材を採用する際には、シリコンバレーに拠点を置く必要がある。シリコンバレーでのこういった優秀な人材への人件費は桁違いであるため、ストックオプションやスピード感、組織の歯車ではなく個人の貢献を大きく感じられる環境など、スタートアップならではのインセンティブが必要になるのだ。「体制」の観点からは、一つのビジョンとブランドのもと、技術、製品、ビジネスを一体化したコンパクトな体制を取ることが必要になる。大企業の成長の中核技術を外に出すということで、様々な意見があったが、最終的にはこれを満たせるのはカーブアウトだろうという結論になった。


■製品の特長は?
データ分析プロセスをAI(人工知能)の技術によって自動化する。特に、従来は業種知識や経験と勘に依存し、人間にしかできないと言われていた「特徴量の設計」を自動化した点にブレークスルーがある。これには3つのメリットがあるという。
1つ目は「圧倒的な分析スピード。三井住友銀行とのPoCでは、従来2〜3ヶ月かけていた分析と同等以上の結果が、1日未満で得られたという。これにより、少人数であっても企業内に眠っている様々な分析テーマを試すことができるようになり、分析をスケールさせることができる。2つ目は「スキル非依存」。市場ではデータサイエンティストの獲得競争が熾烈を極めている。dotDataでは分析の多くの処理が自動化されるため、重要なデータサイエンティストのリソースを、ROIの高い仕事に集中させることができ、またデータサイエンティスト以外の人材へ、データ分析の裾野を広げることができる。3つ目は「意思決定につながる新しい知見」。dotDataは、AIが設計する特徴量を人間が理解できる形で説明することができる。これによって、人間には気がつかなかった新しい知見の発見や、利用者に対する説明責任を果たすことができるという。

■イベントに来て下さる参加者へ一言
金融・小売・テレコム・航空・製薬など、様々な業種・業務のお客様・パートナーの皆様とプロジェクトを進めさせていただいており、皆様またはお知り合いで興味を持たれる方がいらっしゃれば、課題を具体的にヒアリングして一緒に解決していけたらと思っています。

日時:7月20日(金) 18:30開場 19:00-20:30講演 21:00閉会
場所:Plug and Play Tech Center Auditorium Room(3F)
Address : 440 N Wolfe Rd, Sunnyvale, CA 94085
WEB : eventbrite.com/e/innovator-innovations-3necai-tickets-47244980007

藤巻遼平氏略歴
dotData, Inc.の創業者でCEO兼CTO(就任予定)。
2006年にNECに入社。世界トップレベルのAIコア技術開発で多数の実績を有する。2011年より米国シリコンバレーのNEC北米研究所に拠点を移し、2015年、弱冠33才でNECの研究最高位である主席研究員にNEC史上最年少で就任。2018年2月に、NECからのカーブアウトとして、人工知能によってデータ分析を自動化するソフトウェアの開発と提供を行なうdotData, Inc.を創業。工学博士。
SUKIYAKI
木村将之
SUKIYAKI代表。 トーマツベンチャーサポート株式会社シリコンバレー事務所Managing Director。筑波大学院非常勤講師。
在シリコンバレー日系企業による新規事業開発を目的とした互助会。「日本を元気に!」をテーマに、シリコンバレースタートアップとの連携による新規事業開発に必要な、機会の創出、組織変革、個人の能力育成につながる活動を定期的に行う。
www.svsukiyaki.com