シリコンバレー発SUKIYAKIレポート 2019年3月14日

本コーナーでは、事業開発コミュニティSUKIYAKIが実施したイベント、テクノロジーのトレンドなどについてレポートします。

Mobilityサービスを巡る直近の動向


【空の飛行への新たなアプローチ】
3月12日空のUberと言われるBlack Birdが1,000万ドルの資金調達を発表した。Black Birdは、従来の高くても良いので早く移動したいという空の移動ニーズを超えて、「自動車での移動をフライトに置き換える」ことを目標に、自動車より安く早い移動を実現することを目指す。現在、在籍する700名のパイロットと乗客のマッチングサービスを展開しており、カリフォルニア域内を中心に50から500マイルの距離での移動を中心にターゲットとする。セスナでのSan FranciscoからNapa Valleyの見積もりは30分$88であり、Uberでの移動より安価な金額となっている。早く便利に移動したいという顧客ニーズを実現すると考えられる空の飛行に関して、従来の考え方と全く異なるアプローチをとる同社が成功できるか興味深い。

【 Waymoのオープン化の兆し 】
Waymoは、自動運転技術開発において、運転に対する自動運転中のドライバーの介入機会※の少なさ及び実験走行距離でトップを走るリーディングカンパニーである。昨年12月にアリゾナで自動運転タクシーサービスの課金を開始しており、全米のタクシーの4分の1に相当する82,000台の自動運転車の車体発注を行っており、2030年に3兆円に達するとされるロボタクシー市場の覇者に最も近い存在とみられている。

 Waymoは自ら技術を培ってきた自動運転のコア部品となるLidarセンサーを外販するという。Lidarを、ロボット、セキュリティ、農業業界に外販し、規模の経済による低価格化を狙う。今回外販の対象となるのは、近距離の物体を検知するshort-range LiDARで、主に低速度の用途での物体検知に活用が見込まれるものであり、既に顧客がついているといわれる。2017年にWaymoはLidarセンサーのコストを従来の10分の1に低価格化することに成功したと発表しており、報道によると現在は$5,000以下での提供が可能であるという。

また、Waymoが外部から資金調達を行う可能性が話題になっている。資金調達を行った場合、Waymoの時価総額は、モルガンスタンレーのアナリストが昨年予想したWaymoの時価総額見積り1,750億ドルを超える可能性があるという。当該評価額の内訳は、❶2040年までにグローバルで4%の走行距離を獲得するとの見込みで自動運転タクシー部門800億ドル❷アマゾンに対抗する小売店に対する自動運転でのラストワンマイルデリバリーの提供900億ドル、となっている。自動運転技術関連では、GMの自動運転子会社であるCruiseがソフトバンクビジョンファンドから22.5億ドルの出資を受け、自動運転技術をソフトバンクが出資するライドシェア企業に提供する可能性が話題となった。Waymoも自動運転技術の外部提供を視野に入れ、外部からの資金調達に踏み切るか注目である。

【 Mobility企業から生活プラットフォーム企業へ】
東南アジアで、ライドシェアを中心としたモビリティサービスを提供することで知られるGrab Holgdingsの勢いが止まらない。同社は、3月6日、ソフトバンク・ビジョン・ファンドから14.6億ドルの調達を発表した。GrabのシリーズHの資金調達ラウンドの合計調達額は45億ドルを超える。モビリティを超えて日々の生活に欠かすことのできないプラットフォームとなるという構想が、同社の急成長を支えている。

Grabは、物流及びフードデリバリーサービスなどから決済領域に拡大し、モバイルペイメントサービス、決済サービスをローンチしている。昨年に、決済、配送に加えて、ユーザー認証、マッピングなどといったGrabの技術の構成要素へアクセス

することを可能にする一連のAPIであるGrab Platformを発表しており、様々なパートナ―を巻き込んで事業を展開する。 今後は、ストリーミングプラットフォームを手がけるシンガポールのHOOQ、総合健康プラットフォームを提供する中国・平安好医生、保険のIT化に取り組む中国・衆安国際などと連携し、オンデマンド・ビデオサービス、デジタルヘルスケア、保険サービス、オンライン予約サービスなども始める予定であるという。モビリティ分野から生活全般への拡張を狙うGrabのアプローチは興味深い。

※自動運転モードの車に対してドライバーが危険を察知しハンドルを握るなどの介入を行う機会

SUKIYAKI
木村将之
SUKIYAKI代表。 トーマツベンチャーサポート株式会社シリコンバレー事務所Managing Director。筑波大学院非常勤講師。
在シリコンバレー日系企業による新規事業開発を目的とした互助会。「日本を元気に!」をテーマに、シリコンバレースタートアップとの連携による新規事業開発に必要な、機会の創出、組織変革、個人の能力育成につながる活動を定期的に行う。
www.svsukiyaki.com