レポート:
第1回「Innovator & Innovations」 満場御礼にて開催 2017年9月22日

Nest GSV labsにて、9月18日(月)SUKIYAKI、 J weekly協賛イベント「lnnovator&Innovations Honda Innovationsの挑戦」が開催された。


ゲストスピー力一として、オープンイノベーションに取り組むシリコンバレーの日系企業として最も長い歴史を持ち、GoogleやApple、 VISAなどと提携を連続LていHonda R&D Innovations, Inc. CEO杉本直樹(Nick)氏が登壇。 会場には、100人を超える参加者が、SAPPORO、iichiko、伊藤園提供の飲み物を片手に会場を埋めた。

講演では、杉本氏のこれまでのキャリアから、 シリコンバレーでオープンイノベーションに取り組むことで、Hondaや世界に対して新しい価値提案をしている現在のお話まで、充実のコンテンツに会場の参加者は熱心に聞き入っていた。 後半には、SUKIYAKI代表木村将之氏とのセッションや参加者からの質疑応答の時間が設けられ、 ここぞとばかりに挙手をする参加者からの質問と、杉本氏のユニークな返答に会場は沸いた。

(左)SUKIYAK代表 木村氏 (右)Honda R&D Innovations, Inc CEO杉本氏

第1回:
「Innovator & Innovations」 2017年8月18日

「Innovator & Innovations」とは、シリコンバレー×イノベーションの分野で活躍する日本人にスポットライトを当てた講演イベント。本コラムでは、イベントに先立ち登壇者の経歴、実績、魅力をご紹介。

第1回 Innovator

Honda R&D Innovations, Inc. CEO 杉本直樹(Nick)氏



■現在の仕事
現在、シリコンバレーのスタートアップやイノベーター企業と一緒に、新しい価値を創造することをミッションとしています。チームは、大半をしめるローカルの人材と、日本から送られてきたメンバーで構成されています。ローカルメンバーは現地でのネットワークを活かして新しい価値を生む案件を発掘し、日本からのメンバーは、製品に展開できるよう形にし、日本と繋げる役割を持っています。ホンダには、車だけでなくオートバイ、発電機、芝刈り機、最近は飛行機など数多くの製品がありますが、我々はホンダの現在と将来の全てに対して新しい価値提案をしています。

■キャリアについて
―リクルートでの社内新規事業―

大学卒業後、リクルートに入社しました。当時のリクルートの情報誌は、ギネスブックに載るような情報量を誇る紙メディアでした。そんな中、インターネットというものを初めて見たのは1988年。当時リクルートは社内にスーパーコンピューターを持っていて、担当していたエンジニアの一人が、「インターネットって知ってますか。実はイリノイ大学の学生のフォルダに入れるんです」と見せてくれました。世界中の誰もがインターネットを通じてあらゆる情報を発信でき見れるということに衝撃を受け、その時、インターネットでリクルートは潰れると直感的に悟りました。当時の上司に事情を話すと、「だったら、お前がそのインターネットなるものを使ってリクルートを潰せ」と言われ、リクルートの既存ビジネスをことごとくインターネットに置き替えることを目標にした社内チームを作りました。社内競合ですし、新規ビジネスなので試行錯誤の連続でしたが、最終的にリクルートは紙からインターネットにうまく切り替わり、時代に淘汰される事なくさらなる発展を遂げました。当時、インターネットメディアに着手していなかったらと思うとぞっとします。

―ベイエリアでのベンチャー立上げ―
リクルート時代、紙からインターネットへの転換を経験して、このような世界を揺るがすイノベーションの本場である、アメリカ西海岸に行きたいと思いMBA取得のためUCバークレーに留学しました。2年目の時にユーザー自身が投稿したコンテンツ中心の、海外現地情報交流サイトを作り、卒業後リクルートの出資でパロアルトにYYplanetというベンチャーを立ち上げました。事業は順調に成長し、最終的にはリクルートが吸収し運営することになりました。

―ホンダとの出会い―
YYplanetの後、リクルートを退社し、シリコンバレーでベンチャー投資のコンサルタントの仕事をしていたのですが、その頃ホンダからCVCの立ち上げに参加しないかと声がかかりました。ホンダは自前主義が強いイメージがあったので、ベンチャー投資に興味があるの?と半信半疑でした。しかし今までの得意分野の「走る」「曲がる」「止まる」だけでなく、これからは「つながる」が重要で、この分野のイノベーター企業と協業したいとホンダは本気で考えていたので納得できました。ITやつながることをホンダの将来の競争力の源泉にするオープンイノベーションチームを作りたいと言われ、まさに私がやってきたことが発揮できると思い2005年に入社しました。  実はホンダとはもう一つ縁があります。創業者である本田宗一郎さんは、たくさんのフィロソフィーを残していらっしゃる方で、今でもホンダのDNAとして語り継がれています。有名な「成功は、99%の失敗に支えられた1%だ」という言葉はまさにシリコンバレーの精神。僕も昔から本田宗一郎さんの言葉が好きで、日本のリクルートで勤務していた頃に息子が生れた時、宗一郎さんにあやかって「宗太郎」と名付けました。その後アメリカのホンダで仕事するとは思ってもみませんでした。本当に不思議なご縁ですね。

■シリコンバレーでのホンダの挑戦
ホンダは、2000年にコンピューターサイエンスの部隊が、シリコンバレーに来て研究所を作りました。その後、面白いベンチャー企業がたくさんある事が分かり、CVCという手段を使って多くのベンチャー企業と面白いコラボを実現しました。一方で、既存の事業で忙しい日本側は、US側が提案してもコラボに至らないものもありました。そこで2011年、CVCを改編してシリコンバレーでプロトタイプの開発を実施できるようLabを作りました。最初は小さなチームでスタートし、開発したプロトタイプを車に実装し現物で価値を見せることができるようになると、日本側も積極的に新しいものを取り入れてくれるようになりました。これもCVCによりシリコンバレーでネットワークを構築できたからこそ、うまく乗り越えて来られたのだと思います。

■シリコンバレーで経験したこと
私がホンダのCVCに入った2005年頃は、シリコンバレーでは自動運転なんて影も形もなかったですし、車業界はシリコンバレーやイノベーションと接点がない産業でした。その後の時代の流れが自然と車へと移っていった感じです。シリコンバレーのイノベーションの中心は時代と共に、半導体からPC、インターネット、クリーンテック、モバイル、そして今はモビリティーへと移り変わってきました。最近脚光を浴びている業界に偶然にも身を置いていることに興奮しつつ、自動車という巨大産業の未来をデザインすることに関わっている責任に緊張もしています。

■ホンダのオープンイノベーション
今我々は、自動車産業が持つ知識・技術のみだけでは出来ないことに挑戦しようとしています。自動運転、シェアリング、コネクテッド、電動化のような分野において、秀でた企業と共同開発をし、新しい価値を生み出そうとしています。ホンダは共同開発した技術の囲い込みはしないため、いずれは他の自動車会社にも同様の新技術を使われてしまう可能性が伴いますが、それはそれで構わないと思っています。ベンチャーと新技術を開発し、ホンダが独占できたとしても、それはホンダの都合であって、お客様の為にもベンチャーの為にもなりません。全ての車と繋がり、誰でも使えるから大きな市場が生まれる。その為に、イノベーティブな技術を持っている企業と一緒に技術やビジネスを作り、いち早くお客様の元に届けることを重視しています。ホンダは、「最初に出し常に先頭を走ること」、常に次は何が来るのか、何がお客様のためになるかということを考え、最初に挑戦し、早くお客様に提供することにこそ価値があると思っています。 杉本さんのお話の続きは、「Innovator & Innovations」イベントにて「Honda Innovationsの挑戦」というテーマでお話しいただきます!

Innovator & Innovations
日時: 2017年9月18日(月) 18:00開場 18:30-19:30講演 20:00閉会 
Nest GSV Address: 585 Broadway, Redwood City, CA 94063
URL: sukiyaki_jw_iandi.eventbrite.com
杉本直樹(Nick)氏略歴
1984年リクルート入社。1994年にMBA留学のためシリコンバレーに移住。ベンチャー投資コンサルタントを経て、2005年にホンダのコーポレートVCの立ち上げに参加。2017年Honda R&D Innovations, Inc.をシリコンバレーに設立しCEOに就任。(株)本田技術研究所 執行役員も兼務。シリコンバレー在住23年。東京大学工学部卒業。UC Berkeley MBA修了。
www.linkedin.com/in/nicksugimoto/
SUKIYAKI
在シリコンバレー日系企業による新規事業開発を目的とした互助会。「日本を元気に!」をテーマに、シリコンバレースタートアップとの連携による新規事業開発に必要な、機会の創出、組織変革、個人の能力育成につながる活動を定期的に行う。
www.svsukiyaki.com