第4回:
シリコンバレー発SUKIYAKIレポート 2017年11月17日

本コーナーでは、事業開発コミュニティSUKIYAKIが実施したイベント、テクノロジーのトレンドなどについてレポートします。

AR、VR業界の今後の動向について



GREE VR Capital, LLC CEOの筒井代表
アップル、グーグル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックのBIG5を中心とする大手IT企業が続々と取り組みを発表し話題を集めているAR、VR。グローバルでの業界トレンド、注目のスタートアップについて、AR,VRに特化したファンド、GVR Fund(http://www.gvrfund.com/)を立ち上げ、シリコンバレーを中心に過去16件(2017年10月末時点)の投資を実施しているGREE VR Capital, LLC CEOの筒井代表に話を聞いた。

主なグローバル企業のAR,VR領域での取り組み
■AR、VR業界のグローバル大手企業の動向
VRはヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)などのデバイスを通じて「もう一つの現実」をユーザーに提供する技術。ARは現実世界の中に仮想世界を投影する技術である。分かりやすいARの例としては、街中にあふれるモンスターをユーザーが捕まえに探検に出る大ヒットゲーム「ポケモンGO」が挙げられる。
ブームを作った立役者はオキュラス(2014年フェイスブックが約20億ドルで買収)。2012年8月クラウドファンディングサービスでVRヘッドセット「Oculus Rift」のキャンペーンを開始し、目標である25万米ドルをわずか1日で達成、240万米ドルあまりを集めた。以来大手の同業界への参入が相次いでいる。  

■AR、VRハードウェア普及の鍵
VRの2017年初めの累計出荷台数はおよそ700万台、ARに至っては、累計出荷台数は多く見積もっても10万台を超えるかであるという。VR普及のポイントは、ケーブルを接続する必要のないスタンドアローン型の開発。高性能なゲーム用PCを使うことを前提にしているPC接続型の本体価格は7万~10万円であり、接続ケーブルがユーザーの動きを限定してしまう。また、携帯をはめ込む形のVRセットでは今一つ没入感が得にくかった。これを解決するハードウェアとして、接続ケーブル無しでスマートフォンを組み込まずに動くスタンドアローン型が開発されている。先陣を切るOculusGoの価格は2万円台になる見込みであり、ユーザビリティと価格を両立した同ハードウェアの普及が期待されるという。
ARデバイスについては、デバイスの位置を認識して、利用者の動きや視線の方向に合わせて映像を動かす「ポジショナルトラッキング」機能を持ったデバイスが開発されている。これにより利用者が動いても投影した文字や映像をずらさずに正しい位置に映し続けることができるようになる。価格面では、「ポケモンGO」のようにスマートフォンをディスプレー兼コンテンツ再生装置に使う、モバイルARに期待が高まる。直近数カ月でフェイスブック、スナップ、グーグル、アップルの4社が、空間認識、環境認識、画像生成などが可能なモバイルARの開発環境、機能を発表。数十億人のモバイルユーザーに対してサービス提供が可能な環境が整い、コンテンツ開発が加速することが見込まれる。

■コンテンツ、アプリケーション開発とスタートアップ
ハードウェアの普及が進んだ上で、期待されるのは、良質なコンテンツ、アプリケーション開発。VRのコンテンツでは、ソーシャルの要素が入っているゲーム、内覧を行う事のできる不動産、患者の脳に対して刺激を与える治療やシミュレーションに利用できるメディカル分野でのアプリケーションが増えている。ARでは、製造業向けに遠隔地から共同作業や指示ができる「リモートアシスタンス」や現場の設備などにマニュアルを投影できる「バーチャルマニュアル」のサービスの導入が進んでいるという。ここでは筒井氏が注目するスタートアップを紹介する。

・Scope AR (2010年、カナダ、2.1Mドル調達)
Scope ARは、リモートアシスタンスとバーチャルマニュアルのサービスを提供する。マイクロソフトのHoloLensを使い、CADのモデルを実物オブジェクトの上に重ね合わせ、ARによるインストラクションを簡単に付加できるソフトウェアを開発した。遠隔地の従業員が専門家からの作業指示を受けたり、現地の状況を報告することができるツールを発表している。同社はNASA、 Boeing、Lockheed Martin、Toyotaなどを顧客にもつ。
・Sturfee (2015年、カリフォルニア、745Kドル調達)
Sturfeeは、スマートフォン、ARグラス等のカメラを通して次世代のARクラウドプラットフォームを提供する。衛星写真等を活用して、空間上の位置情報を正確に把握・保存することが可能なのため、同社の技術を使えば、デベロッパーは街の道路や建物にバーチャル看板や友人向けのメッセージ等を、車のミラー越しの現実世界に制作したコンテンツを貼付けるアプリを作ることができる。例えば、車向けのアプリケーション開発者は、車で走行中の街中の景色に様々なコンテンツを投影することが可能になり、ユーザーはコンテンツとのインタラクションを楽しむことも可能となる。
(参考)シリコンバレーVR通信 http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/17/052800216/

SUKIYAKI
木村将之
SUKIYAKI代表。 トーマツベンチャーサポート株式会社シリコンバレー事務所Managing Director。筑波大学院非常勤講師。
在シリコンバレー日系企業による新規事業開発を目的とした互助会。「日本を元気に!」をテーマに、シリコンバレースタートアップとの連携による新規事業開発に必要な、機会の創出、組織変革、個人の能力育成につながる活動を定期的に行う。
www.svsukiyaki.com