第21回:
AI時代のリテールUX Amazon Go体験記(後編)
注目のAmazonGoを実際に体験! 2018年3月16日

約一年前に発表され、これまでAmazon社員向けだけに公開されてきた、Amazonの「レジなしスーパー」AmazonGoですが、1月22日にようやく一般向けに公開されたので、早速体験してきました。先月と今月にわたり、「レジなしスーパー」でのショッピング体験を一連の流れに沿ってご紹介しています。先月は、①アプリのダウンロード、②入店、③商品選択までをこの記事で掲載いたしました。
後編の今回は、④決済、⑤レシートを受け取るまでの流れをご紹介します。

  • 4.決済
  • 商品選択が終了したら、次は決済です。決済とは言っても当然レジはないので、買い物バッグやポケットに商品を入れて、入店時に通ったゲートを通るだけです。分かってはいたことですが、これは全く新しい体験でした。
    6〜7年前に初めてUBERを使った時と同じような体験。能動的にお金を支払うという動作なしに、自然に課金がされるというスマートな決済体験です。
    UBERの決済が全世界でスタンダードとなったように、この決済UXは今後確実にスタンダードとなっていくと思います。


  • 5.レシート
  • そして、お店から出た後に、レシートが来るのを待ちます。
    残念ながら、これが意外と遅い。左の写真が私が最初に来店した際のレシートです。商品と金額に加えて、滞在時間がわかるのもちょっと新しいですね。結局、お店を出てからレシートが届くまで、約5分程度かかりました。 お店のサイズもそこそこあるので、在庫データなどとの付け合わせなどで決済の確定に時間がかかるのかもしれませんが、ここはぜひ改善して欲しいポイントです。
    ちなみに、購入した商品を返品したい場合は、アプリから処理をすることもできます。



AI時代の新しい買い物UXのスタンダード
以上、簡単ではありますが、AmazonGo一号店の買い物体験をまとめてみました。現時点でのAmazonGoの特徴は、以下の3つのポイントになるかと思います。

【1. スマート決済】 一番大きなポイントですが、「レジがない」ことです。
ユーザ体験から見たときに、一般的なスーパーやコンビニでの最大の課題は「レジ待ち時間」なので、これが完全に解消されるというのは非常に大きいです。
結果としてスペース的にも余裕が出るため、商品の陳列可能点数も増えているような気がします。
万引きなどのリスクはゼロではありませんが、AIの認識精度がことの他高いこと、AmazonIDと連携して入店していることを考えると、無視できるレベルだと思います。

【2. Amazn ID連携】 オンラインで強大な力を誇るAmazon IDと紐づいていることです。先行してスタートしているAmazon Booksなどではプライム会員向けに大幅な値引きを行なっていますが、今後AmazonGoでも同様の値引きやレコメンデーションが行われるものと思われます。
これで、Amazon Echoと合わせて、「オンライン」「家」「店舗」というAmazon ID包囲網がさらに広がったことになります。

【3. 店舗内トラッキング】 店舗内におけるユーザの行動が全てトラッキングされていることです。
 一般的なスーパーなどでもトライしようとしていることではありますが、AmazonGoでは詳細なユーザ属性と棚におけるアクション、さらには目線、手の動きなどまでトラッキングが可能です。何を見てから何を買ったかなど、ウェブサイトのデザイン的な発想で店舗のデザイン、メーカーとの交渉を行うことが可能となります。

まだ実験的な位置付けも強いとは思いますが、改めて、利用するユーザ、小売店、メーカー、それぞれにとって新しいメリットのある店舗だと感じました。まだまだ技術的にもオペレーション的にも改善すべき点はたくさんあるでしょうし、コスト的な課題もあるとは思いますが、今後の展開が非常に気になります。
AmazonGoブランドで多店舗展開するのも面白いと思いますが、個人的には、ぜひ「AWSの一機能」として幅広く提供していただき、全世界でこの「AI時代の新しい買い物UXのスタンダード」を拡げて欲しいと思います。 ちなみに、リテール、決済などに関わる事業をされている方は、すぐに体験されることをお勧めします。

Amazon Go
2131 7th Ave Seattle, WA 98121
Open: Mon-Fri 7am-9pm

宮田 拓弥(Tak Miyata)
Scrum Ventures General Partner


MiyataMiyata 1972年、神奈川県生まれ。1997年早稲田大学大学院理工学研究科薄膜材料工学修了、同年にはロス・ペロー率いるElectronic Data Systems (EDS)に入社。26歳で起業を決意。日米両方での起業&Exit経験を経て、2009年ミクシィのアライアンス担当役員に就任し、Mixi America CEOを務める。2013年Scrum Venturesを創業。


Scrum Ventures
http://scrum.vc/
Zen Square/DG717
717 Market St, #100
San Francisco CA 94103