第3回: 米国訴訟と日本企業2015年1月9日

現地法人を設立することには、日本の法人ではなく米国の法人が米国で活動するようにすることで、米国での司法所轄が日本の親会社に及んでしまうことを避ける、という効果があります。Partnership・LLCでは親会社がpartner・LLC memberとなって積極的に経営に参画すると、親会社が米国でtrade or businessに携わっているということになってしまうので、それを避ける為にはcorporation (株式会社)が最も適しているので、現地法人を株式会社として設立するのが適当、というご意見には全く同感です。しかし、会社の責務を考える際には、親会社だけでなく、その役員や従業員についても考慮すべきだと思います。

日本企業が米国子会社を設立した場合、そのBoard of Directors (取締役会)やOfficers (執行役員)には、親会社の役員や非取締役従業員が名を連ねています。そうすると、米国でその事業体の事業活動に関して第三者が訴えようという場合、現地法人の子会社だけでなく、資力のある親元つまり賠償金をたくさん取れる可能性のある、親会社をも訴えようということになります。

現地法人の子会社がなければ、米国にはjurisdiction (司法所轄権)のない日本法人の親会社に対して有効なService of Process (訴状の送達)をして訴訟を開始するためには、ヘイグ協定に定められた国際紛争手続きにもとづく手順を経なければならず、しかも米国には親会社の資産は何もありませんから、例えService of Processがヘイグ協定の手続きなしに有効とされても、さほど戦々恐々とすることはありませんが、子会社が存在するとService of Processは子会社に対しては簡単にできてしまい、訴訟に対応せざるを得なくなります。しかも子会社のディレクターや執行役員に親会社の社長や役員が名を連ねていれば、子会社の住所がそれらの個人の住所として登記されている場合がほとんどですから、それらの個人に対する送達は、子会社の住所に行うだけで有効、ついては、親会社の代表権を持つ個人への送達なので親会社への訴状送達として有効であるという主張をされてしまい、少なくともそのことを争うためだけでもSpecial Appearance (司法所轄を争うためだけの出廷)をしなければならず、結局親会社も訴訟に巻き込まれてしまいます。


次回は「現地法人のデメリット – 維持コスト」について!

山本 与志人 カリフォルニア州・テキサス州弁護士


滋賀大学卒業後、松下電工株式会社(現在はパナソニックに吸収合併)入社。米国出向後、仕事を通じて法律に関心を持ち、弁護士になることを決意。テキサス州とカリフォルニア州の弁護士免許を取得し、University of Alabama School of LawにてLL.M (Master of Law)の学位も取得。日米の企業文化・慣習や法律の差異の理解を活用し、税務・法律に加え、会計・企業経理に関する豊富な知識と経験を活かし、シリコンバレーのベンチャーキャピタルにCFOとして参画した経験もある。独立後の現在はシリコンバレーを拠点に、シリコンバレーの日系コミュニティー、又は日本に起点を置き、アメリカで新規に活動を展開する企業を支援する。また、アメリカにて活動拠点を持つ企業の税務・会計・経理など、会社経営で大切な事務 処理を「ワン・ストップ・サービス」で提供できる便利なサービスも展開中。


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