第4回: 現地法人のデメリット – 維持コスト2015年2月13日

リスク管理以外にも、現地法人のデメリットとしては、些少なことかもしれませんが、その維持コストがあります。

子会社とはいえ、現地法人は独立した法人格を持つわけですから、単独の財務諸表も準備しなければならず、毎年の決算・税務申告書を承認し取締役・執行役員の改選と指名をする取締役会の議事録・株主総会の決議録をきちんととって、いわゆるcorporate formality を保たねばなりません。まずこれは結構手間暇かかりますし、弁護士事務所に依頼すれば1~2時間位のfeeはすぐかかってしまいます。弁護士事務所に依頼せずに適当にdraftを作ればいいじゃないか、と言う方もいらっしゃいますが、決議の内容によってはDelawareのSection 144やCaliforniaのSection 310に引っかかってちょっと複雑なものもあるので、きちんとやらないと決議自体が無効になったり、必要な決議がなされていなかったり、ということになるのはしょっちゅうです。

決議書類だけでなく、単独の財務諸表を作成するのも、子会社で経理担当者を雇用するか、会計事務所に依頼するかしなければならず、結構面倒でコストがかかります。やっと財務諸表ができたら、今度はそれをもとにして税務申告書を作成しなければなりません。これも数千ドルのコストがかかります。もしCalifornia corporationでなく、Delaware corporationとして設立してあれば、Delaware州のFranchise Tax Reportの作成とfiling及びDelaware州のFranchise Taxの支払も必要です。そしてやっと終わったと思う頃に小さなお葉書がCalifornia州のSecretary of Stateから届き、Statement of Infor-mationのfilingがdelinquent(遅延)だと言われて慌てふためいたことのある方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?あるいは取引先から、「Secretary of Stateのwebsiteで御社のstatusがSuspendedになっている」と言われてびっくり仰天、というご経験のある方も中にはいらっしゃると思います。ホンの数人の従業員が勤務し、実はカスタマーサポート・マーケティング・パブリックリレーションズ等の非常に限られた機能しか持たない現地法人なのに、これだけのことに留意しながら本来業務を執り行ってゆくというのは結構疲れると思いませんか?


山本 与志人 カリフォルニア州・テキサス州弁護士


滋賀大学卒業後、松下電工株式会社(現在はパナソニックに吸収合併)入社。米国出向後、仕事を通じて法律に関心を持ち、弁護士になることを決意。テキサス州とカリフォルニア州の弁護士免許を取得し、University of Alabama School of LawにてLL.M (Master of Law)の学位も取得。日米の企業文化・慣習や法律の差異の理解を活用し、税務・法律に加え、会計・企業経理に関する豊富な知識と経験を活かし、シリコンバレーのベンチャーキャピタルにCFOとして参画した経験もある。独立後の現在はシリコンバレーを拠点に、シリコンバレーの日系コミュニティー、又は日本に起点を置き、アメリカで新規に活動を展開する企業を支援する。また、アメリカにて活動拠点を持つ企業の税務・会計・経理など、会社経営で大切な事務 処理を「ワン・ストップ・サービス」で提供できる便利なサービスも展開中。


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