bitFlyer 米国拠点長

浜田 英揮 さん

世界を席巻するビットコイン
「使える」仮想通貨の普及を目指して


2017年12月28日
世界中で起きていることの全てを見回してみれば、ビットコインが最大のニュースの一つであることは確かだ。ビットコインに関するニュースを聞く度に、様々な反応が周囲から届くようになった。果たして、ビットコインとは一体何か?  今回、J weeklyはビットコイン取引所bitFlyer米国拠点長・浜田英揮氏に詳しくお話を伺った。

■ビットコインとは?
「仮想通貨」の一種。「通貨」、「お金」なので、円やドルのように通貨の単位が存在する。ビットコインの単位は、BTC(ビーティーシー) と表記され、1円や1ドルのように、1BTC(1ビットコイン)と数える。しかし、「仮想」ということから、目に見える姿形が存在しない。
概念としては、オンラインゲーム内で使える通貨や、特定のウェブサイトで使えるポイントなどが仮想通貨にあたるが、ビットコインは、国家単位で運営されている円やドルと同じく、経済活動を円滑に進めるために作られた「仮想通貨」であり、世界中で日常生活に「使える」ようにすることを目標に作られた。紙幣や硬貨は存在しないが、パソコンやスマートフォンをお財布代わりにして、物の売買が実現できるように作られている。

浜田さんの主な業務内容について教えて下さい。
米国での会員数を増やすのが主なミッションです。弊社の商品は個人様向けと法人様向けがございます。個人向けは仮想通貨の取引所でアメリカの場合ですとドルでビットコインを売買して頂く事が可能です。日本では成功しているのでアメリカでの市場も開拓していくのが主な目的となります。一方法人様向けには弊社独自のブロックチェーン技術(ビットコインの裏側にあるシステム)を開発しおり、企業や政府のデータベース管理においても使えるという事が言われておりますので弊社の技術をB to Bとして紹介していければと考えております。

ビットコインはどうすれば売買できますか?
オンラインのビットコイン取引所に口座を開設することで取引が可能です。弊社bitFlyerは2017年11月より米国居住者の方向けに取引所を開設しました(bitflyer.com/en-us)。取引所にてご自身の情報登録が完了した後に、銀行口座から振り込んだ米ドルでビットコインを購入する事が可能です。取引所によってはクレジットカードによる購入を可能にしている所もありますが、その場合は割高な手数料が課されることになります。

ビットコインの歴史と、運用開始となった経緯について教えて下さい。
ビットコインのアイデアは、2008年11月にSatoshi Nakamotoと名乗る人物が発表した論文に記載されています。ビットコインは、中央銀行のような台帳を一括して存在する機関がなく、有志が同じ内容の台帳を持ち合う特徴を持っていますが、その有志向けのソフトウェアが公開されたのが2009年で、同年1月3日に世界初のビットコインが発行されています。当初は実験的な意味合いが強かったのですが、ビットコインが初めて通貨として使われたのは2010年5月22日と言われています。この日、ネット上で「ビットコインでピザを買いたい」と発言した人に他の人が応じ、1万ビットコイン(2017年12月19日時点の価値では約1億6000万ドル)とピザ2枚を交換するという取引が成立しました。この日は現在、Bitcoin Pizza Dayと呼ばれています。

開発者の名前が日本人のようですが、ビットコインは日本発祥なのでしょうか。
先述の開発者Satoshi Nakamoto氏が日本的な名前であること、世界で最初にメジャーな取引所となったマウントゴックスが日本にあったことから、日本がビットコインの発祥地とも思われがちですが、一般的にはそう考えられていません。そもそもビットコインはインターネット上の通貨で発祥地という考え方がそぐわないのですが、2008年から2009年にビットコインの改良・普及に当たった技術者にはアメリカ人が多かったようです。

最近はビットコインの急騰・続落の乱高下が激しいですが、なぜでしょうか。また、株式との違いも教えて下さい。
株式とビットコインの共通点は、発行・流通量が一定に決まっている点と、需要と供給で価格が変わる点です。一方、株式についてくる配当という仕組みはビットコインにはありません。ビットコインの価格変動は主に需要の増減によるのですが、最近その動きが激しい理由は主に2つ考えられます。
1つはビットコインの分岐と呼ばれるものです。実は、ビットコインのソフトウェアは2009年の発行以降有志によって様々な改良がされているのですが、最近は特定の変更が全関係者によって合意されないケースが出てきました。そのような場合、稀に1つのビットコインが2つのビットコイン(旧来の機能を維持したものと、特定の変更を加えたもの)に分岐する事があります。分岐後は上記の2つのビットコインの価値が元のビットコインの価値を上回るケースがあり、それを見込んで分岐前に価格が上がるというケースがありました。
もう1つは政府の規制によるものです。ビットコインは新しい資産なので明確な規制の枠組みを持っている国が少ないのですが、特定の国がビットコイン投資への規制を強化すると、需要が減って価格が下がる場合があります。今年は中国が何回かにわたって規制を強化しました。

マウントゴックス破綻がありましたが(*注1)、ビットコイン取引所が破綻する可能性はありますか。また、世界中の取引所の数は現在どのくらいでしょうか。
ビットコインの取引所は世界に100以上あると言われています。
マウントゴックスの破綻については様々な説がありますが、一般的にはハッカーが同社の技術的脆弱性を悪用して、ビットコインを盗みとったのが最大の原因とされています。ビットコインの取引所であった同社は、要望に応じて顧客が購入したビットコインの引き落としに応じていたのですが、ハッカーの改竄によって同社のシステムが実際に完了している引き落としを未完了と認識し、何度も引き落としを実施してしまったことにより、同社が保有するビットコインと帳簿上の残高が合わなくなったというものです。
証券取引所との違いとしてあげられるのは、ビットコイン取引所の多くが取引の円滑化等のために顧客の資産を直接に預かっている事です。株式であれば、通常は証券会社が顧客資産の管理を行なっています。そのため、ハッカーがビットコイン取引所のコインを盗み出そうとする事案は今も見受けられ、取引所としては、セキュリティの徹底に加え、ビットコインをインターネットから謝絶された環境に保管する、ハッキングを補填する保険に加入する(当社も昨年から保険に加入しています)等の対策を行なっています。

各国のビットコイン関連法案について教えて下さい。
日本では、2017年4月1日から通称仮想通貨法が施行されています。これは正確には「資金決済に関する法律」に仮想通貨に関する定めが追加されたもので、国レベルで仮想通貨の取り扱いを明確に定義したのは日本が世界初だと言われています。この法律に基づき、日本では仮想通貨交換業を行う事業者が金融庁に登録することが義務付けられており、9月末に最初に登録を受けた11社が発表されました(当社もその1社です)。
アメリカでは、国レベルでの法律はないのですが州毎に検討されており、最初に明確な定めを発表したのはニューヨークでした。同州は2015年にBitLicenseと呼ばれるライセンス制度を制定しており、事業者からの登録申請を受け付けていますが、同ライセンスを取得した企業は弊社を含めこれまでに4社しかありません。それ以外の州は概ね既存の資金移動業のライセンスを仮想通貨交換業に適用しており、当社はアメリカでは現在42州にて事業運営の許可を取得しています。

2018年、ビットコインはどう進化していくと考えられますか。
最近はウォール・ストリートの金融機関が仮想通貨の取り扱いについて真剣に検討を始め、各社がそのポジションをコメントしていますが、来年は金融機関・個人の双方にてビットコインの普及がさらに進めばと思っています。また、弊社は日本でビットコイン決済のサービスを提供していて、ビックカメラ様など大手企業にもご採用いただいていますが、アメリカでは全国的に未だ事例が少ないので、来年以降ビットコインが実際に決済や送金で使える場面が増えてくればと思っています。

Jweekly 読者に、ビットコインについて一言お願いをします。
当社は、ビットコインとその基盤技術であるブロックチェーンで世界をもっと便利にするというビジョンを掲げています。今もマウントゴックス事件の印象からか、ビットコインはいつなくなるか分からないという不安を持つ方がいらっしゃいますが、当社は取引所として、充実したセキュリティ施策の導入や政府の規制順守を通して、より多くの方が安心して仮想通貨取引をできる環境づくりをさらに進めていきたいと考えています。

*注1)ビットコイン取引所「マウントゴックス」を運営するMTGOX(東京・渋谷)が、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。債務が資産を上回る債務超過に陥っていた。顧客が保有する75万ビットコインのほか、購入用の預かり金も最大28億円程度消失していたことが判明した事件。「マウントゴックス破綻 ビットコイン114億円消失」(2014年2月28日付 日本経済新聞より)

浜田英揮(Hideki Hamada)
bitFlyer米国拠点長。
2005 年、東京大学法学部卒業。
2005 年から 11 年間三井物産で IT 分野の事業開発・新規投資を担当。
2012 年、ハーバード大学 MBA 課程修了。
2016年、bitFlyerに転職。
2017年3月 渡米。