Aedan 叡伝 創業者兼代表取締役

摩利子Grady氏

世界に誇る日本のマイクロオーガニズム
「麹菌」を演出する食の女性起業家


2018年5月4日
塩麹から甘酒へと、日本での麹ブームが止まらない。なぜか?答えはシンプル、美味しいからだ。なぜ美味しいか?そう、あなたの体が欲しているからだ。
そもそも麹菌とは、日本酒、焼酎、味噌、醤油など日本人の毎日の食卓に欠かせない発酵食品を作る上で主役を演じる菌であり、2006年に日本醸造協会によって国菌に指定されている。この日本固有の麹菌を使い、ベイエリアで手作りの発酵食品を製造している摩利子Grady氏にお話を伺った。

味噌を販売するきっかけは何ですか?

幼少の頃の思い出
父の実家が味噌屋を営んでおり大きな味噌樽がたくさんあって、子供の頃訪れると父が自慢気に「登ってもいいぞ!」といって登らせてもらって匂いを嗅いだりして遊んでいたのを覚えています。そのためか母は自宅で自家製の味噌を仕込んでいて、私は毎日味噌汁を飲んで育ちました。
特に製法を伝授してもらった記憶はないのですが、私もアメリカに来てから手作りをしたいと思うようになり、常に家族のために仕込んでいました。

長女の学校でのボランティア
2010年のことですが、 その当時長女が通っていたサンフランシスコの小学校の先生からボランティアで料理クラスをしてくれないかとの要請がありまして、それを受けてお寿司を作ったり、天然酵母を起こしてパンを作ったりしていたんですね。最後のクラスで味噌を作りまして、それを先生が教室の棚で熟成してくれて。生徒はみんな「いつ食べられるの?」とか熟成の過程での色の変化などを観察してとても楽しく学習する機会になっていたんです。
ちょうどこのお味噌が出来上がった3月、日本で東日本大震災が起こりまして、学校で「Origami Night」というチャリティーイベントを開催することになりました。その際、先生が「摩利子、このお味噌を使って」と言ってくださって、他の10名の日本人家族と味噌にぎりを作ったり、折り鶴を作り支援活動をすることが出来ました。 そのイベント後、義援金を作るため自家製発酵食品を友人に購入してもらったことがきっかけで、お味噌の注文を多数いただくようになりました。自然の力を生かしシンプルな生活をどう楽しむかをテーマに、味噌作り、天然酵母パン作り、お箸作り、布の染色などのクラスも開催。クラスの告知、発酵食品の説明、注文受け取りのため、「叡伝」ニュースレターを定期的に配信するようになり、最終的には350名ほどの人にレターを受け取ってもらっていました。

ビジネスを立ち上げた経緯を教えてください。

「ラ・コシーナ」との出会い
そんな時にある方から「家庭で作った物を販売するのは違法行為なんだよ」というアドバイスを受けて驚きました!知らなかったんですね。(笑)もう、大変だ!ということで保険に入るためにどこかキッチンがないかと探し始めまして、ミッション地区にあるインキュベーター・キッチン「ラ・コシーナ」を紹介していただきました。
「ラ・コシーナ」は移民の女性をサポートする、とても素晴らしいプログラムがあるんですが、誰でもインキュベータープログラムの一員としてキッチンを借りられるというのではないんですね。最初に書類選考があり、その後、実際の食品を試食してもらうオーディションがあります。受かりますと、自分のビジネスについてじっくり考えるための宿題が出され、同時に、キッチンの使い方、ロゴのデザイナーの紹介、写真撮影、ビジネス開始に必要な手続きなど、販売するまでに必要な準備のサポートをしてくれます。「Fancy Factory Tour」というものもありまして、アメリカにどんな製品があるのか現場を周りディストリビューターと直接会い話しをする機会もあります。

SFフェリービルディングのファーマーズマーケットに出店
このような経緯で「ラ・コシーナ」のキッチンを使うようになったのですが、当初はビジネスをしたいという気持ちよりも、とにかく保険を取らなくてはと思っていたので先のことを考えておらず、スタッフに「摩利子、あなたはいつ商品を売るの?」と聞かれてしまって。(笑)今度はお店か?といった具合ですね。
まずは「ラ・コシーナ」がフェリービルディングで毎週土曜日に開かれるファーマーズマーケットに1つブースを持っていたので、そこで販売を開始しました。その後自社のブースを持つ事になるのですが、あのファーマーズマーケットはシェフの方が自分のレストランで使う食材を買い求めに来ている場所でもあるんですね。実際に味噌や塩麹を使っていただいて、今ではミッション地区のミシュランの星を獲得しているレストランなどに使っていただいています。口コミで他にもレインボー・グローサリーやバークレーボールなど、「あなたの商品を使いたい」と言ってくださるお店から問合せをいただいて、少しずつですね、まるで麹菌のように弊社の商品が広がっています。

舞台女優をされていたと伺いましたが、どのような活動をされていたのですか?

小池博史氏との出会い
大学の入学式で、学生劇団の話しを伺っていたところその劇団を立ち上げた小池博史氏にスカウトをされました。それまでの受験勉強に疑問を抱き、「私はこのままではダメかもしれない」と感じていたので、自分をリセットしたいと思いがあったからでしょうか、小池氏と供に「タラフマラ劇場」を設立することになりました。
受験勉強って頭で考えて、定められている正しい答えを導き出す訓練じゃないですか。自分が本当に感じていることはなんだろうって、頭と気持ち、声や表情、色々なものが、バラバラになっているんじゃないかと不安でした。そこから離れて、もっと自分の内なる声を聞く作業をしたい、自分に眠る野生の力を取り戻したいと感じていました。小池氏の舞台は、役者一人一人の個性を生かすものだったので常に自分を掘り下げることが要求され、10年20年間体を動かし、思いっきり声を出すことで自分の中で「あっ、これだ」との感覚を掴むことが出来ました。そう言った意味で、舞台に上がっていた30年間は自分と向き合う時間でしたね。その経験がなければ、今の自分はないわけで、本当に感謝しています。

摩利子氏にとって味噌作りは何を意味していますか?

麹菌が私のパフォーマー
舞台に立っていた時は私がパフォーマーで、自分の気持ち、心、そこからの出て来る演技、声に集中していましたが、今は私が演出家で麹菌がパフォーマーです。毎日24時間、私の手で育てる麹菌がどのように成長してくれるのか見守っています。
何もかもが過剰でスピード化された世界にあって、麹の命がゆっくりと育ち、またそれがゆっくり味噌などに変わっていく過程は、効率だけでは測れない時間のあり方やゆっくり待つこと、時間の豊かさを感じさせてくれます。
このシンプルで叡知に満ちた発酵食品の魅力をみなさんに知っていただけたらと思っています。

夢は「味噌カフェ」
私の味噌作りは、「美味しいものを作り、みんなで楽しいことをシェアしよう」という思いから始まりましたので、これからも手作りの小規模生産にこだわっていきたいと思っています。発酵食品は本当に生き物の塊で、その良い菌を体にたくさん入れてあげることが健康維持に大切です。麹は消化吸収を助けるので、肉や魚が食べられなくベジタリアンになるという選択をしている人でも、1年間麹を使った料理を毎日食べていると肉や魚が食べられるようになったという嬉しい報告をいただきました。また外食の際は米麹をひとつまみ食べてから食事をすると胃がもたれないという人もいます。お客様からこのような効能を聞くこともあるんですよ。新しいことが常に始まっています。
将来は発酵食品で作った料理を食べられたり、買えたり、料理教室などを開催出来るカフェを開けたらと思っています。2011年の震災は大きく私の人生を変え、シンプルに生きること、健康で幸せに生きること、全てを何かに委ねるのではなく、自分でクリエイトすることの大切さを教えてくれました。そして将来を背負って立つ子供達に、命の糧となる食べ物も自分で作ることが出来るんだよと伝えていきたいです。ベイエリアで「一家庭に一味噌樽!」をモットーに、2011年の震災以来休まず今日まで進んできました。出張の味噌作り教室も承りますので、お問い合わせください。

Aedan
Phone: (415) 260-9435
Email: mariko@aedansf.com
Website: aedansf.com
Facebook:
facebook.com/AedanFermentedFoods


Aedanの味噌がお求めいただけるお店
Rainbow Grocery Berkeley Bowl Oregon St. Tokyo Fish Market
1745 Folsom St.
San Francisco, CA 94103
2020 Oregon St.
Berkeley, CA 94703
1220 San Pablo Ave
Berkeley, CA 94706

他のお店の情報はこちらから ▶aedansf.com/find-us


摩利子Grady(Mariko Grady)
日本、アジア、南北アメリカ、ヨーロッパで活動した女優、パフォーマー。叡伝発酵食品代表取締役。サンフランシスコ在住。