Fenox Venture Capital
Co-Founder / General Partner / CEO

アニス・ウッザマン さん

日本に恩返しがしたい


2018年8月24日
Fenox VCを創立したきっかけと会社の特徴

2011年5月にFenox Venture Capitalを設立したのですが、IBMでの経験が一番大きかったと思います。IBMには最初はエンジニアとして入ったのですが、その後は大企業における投資部門で数年間経験を積みました。大企業とスタートアップを繋ぐ仕事を通じてVCの意義を学んだり多くのVC業界の方と会うにつれて、独立してやってみたいという気持ちになりました。

Fenoxの大きな特徴は、CVCとして日本企業と二人三脚でファンドを組成してローカル企業に投資を行っていることです(2018年8月10日時点で、世界27の大手企業からLP出資を受け入れており、127社のスタートアップに対して投資実績があります)。現在8カ国に支社、合計14カ所にプレゼンスがあり90名のスタッフがおります。強みとしては、米国、アジア、日本、欧州との連携によって収集される情報量とそのスピード感があげられます。アイシングループ様(55億円)、帝人グループ(インフォコム)様(22億円)、日本経済新聞様、セガサミー様、バンダイナムコ様など日本の大企業様16社のFundをお預かりさせて頂いております。日本企業以外にも、台湾の世界大手PC製造企業(出荷台数世界4位)ASUS様(55億円)との実績もあります。Fenoxには毎日のように世界中から最新の情報、案件が入ってきますし、スタートアップの皆さんが米・ サンノゼにあるFenox本社を訪問されます。アイシングループ様や帝人グループ様からのシリコンバレー駐在員は、Fenox本社内に常駐されていますので、世界の最新情報をいち早く入手して日本側にレポートすることが可能となっています。さらに、情報収集にとどまらず、AutomotiveとHealthcareといった異なる業界の方が同じFenox本社内で働くことによって、異業種間での情報交換からイノベーションに繋がる仕組みとなっております。

Fenoxの社員構成も特徴的です。バックエンドは日本人スタッフ、フロントエンドはローカル米国スタッフを採用しており、日本から駐在員を派遣することが難しい日本企業様には、専任のスタッフをつけて毎日のようにシリコンバレーの情報をお届けするようにしております。

現時点のクライアントの数ですが、半分以上は日本の大企業となっております。その理由は、私が日本の大学でBSやPhdを取得した背景があるからです。文科省の補助金なども頂きながら日本の大学に通わせて頂きました。そういった意味でも、日本の企業の成功のお手伝いをし、日本の国に恩返しができればと思っております。

ここ数年の日本企業のCVCに対する考え方の変化は?

ここ数年で日本企業も投資先にかなりこだわるようになっております。Y-Combinator、500startups、Techstarsなど米国の有力なアクセラレーターの案件に投資をしたいとか、Yahoo創業者のJerry Yang、Facebook創業者のMark Zuckerberg、PayPal創業者のPeter Thielなどが投資をしている企業を探してきて欲しいといったように、スタートアップの数よりもその質に大変こだわるようになられております。我々もそういった希望に応えられるよう質の高い情報や人脈を提供できるようにしております。そして嬉しいことに、日本の大企業でも意思決定のスピードが以前と比較しても断然早くなってきています。投資金額にもよりますが、早ければ1週間以内、遅くても6週間以内には決裁がおりるシステムが確立しつつあり、中国や台湾、韓国など他のアジアの国々に負けない体制が整ってきていると思います。我々はまだ、たくさんある日本企業の内のほんの数十社しかお手伝いをしておりませんが、こうした流れが多くの日本企業に伝われば、日本の国自体もさらによい方向に変わっていくと思います。

Startup World Cup Eventでは Steve Wozniak氏や Reid Hoffman氏などが登壇。来年はクリントン夫妻登壇という噂も。その人脈作りの秘訣とは?

特別な事をしているとは思っておりません。一緒にお仕事をする方とは誠心誠意、一生懸命に取り組みたいと思っております。人と人とのビジネスなので、まずは人間性がしっかりしていないと駄目だと思います。お客様をサポートしたい気持ち、ディールを心からやり遂げたいという気持ち、FenoxやStartup World Cupのコンセプトに素晴らしいと共感してもらいたい、そういった気持ちがもしかしたら人一倍強いのかもしれませんね。勿論Fenox以外にも素晴らしいVCが沢山いらっしゃると思います。

投資案件におけるポリシー
主に、IT、ヘルスケア、AI(人工知能)、IoT、ロボティクス、ビッグデータ、VR / AR、FinTech、などの次世代テクノロジーを対象とした、アーリーステージからファイナルランドへ投資を行っています。ロボットとAIといった組み合わせもあります。最近のトレンドとしては、量子コンピューター(Quantum Computing)が注目を集めております。世の中の流れとして、膨大な情報量(ビッグデータ)を処理するには次世代のコンピューターが必要になってくるからです。日本の企業も実際に将来の成長分野に先行投資を行っている企業が増えております。

アニス氏の最終目標

当然ではありますが、Fenoxの事業をさらに拡大していきたいと考えております。しかし、単なるファイナンシャルリターンのみを求めていくのではなく、日本の技術と米国の技術の架け橋となり、それらがイノベーションを起こし世界を変えていく。そうすれば日本、日本企業もまだまだ成長していけると確信しております。そのお手伝いを皆さんと一緒に今後もしていきたいと思います。

日本を良くしたい、日本企業をよくしたいという言葉だけでなく実際にそれを実現されるために誰よりも努力しマーケティングに力をいれているアニスさん。とても流暢な日本語でインタビューに応じて頂き、日本企業の特徴、シリコンバレーの特徴を知り尽くしている印象でした。

アニス・ウッザマン
Fenox Venture Capital, General Partner & CEO
2000年 東京工業大学工学部開発システム工学科
2002年 オクラホマ州立大学工学部電気情報工学にて修士課程修了
IBM NYにてアプリケーションエンジニアとして経験を積み経営戦略、投資戦略部門を経る。
首都大学工学部情報通信学科にて博士課程修了
2011年 Fenox Venture Capitalを設立
General Partner & CEO
2016年 Startup World Cup Chairman


<主な著書>
講談社刊
「スタートアップ・バイブル シリコンバレー流・ベンチャー企業のつくりかた」
KADOKAWA刊
「世界の投資家は、日本企業の何を見ているのか?」