第36回 アメリカ・夏の音楽祭 <中編>

 みなさま、こんにちは。シリコンバレーでピアノ教室を主宰している、有座なぎさです。「音楽教育のススメ」と題したコラムを毎月第四週目に担当させていただいています。
新学期が始まり、生徒のみなさんはまた新たな気持ちで学年の始まりを迎えられたことでしょう。今回も、コラムでは夏の音楽祭・ミュージックスクールについてご紹介しようと思います。現在は、今年の夏のプログラムが終わったばかりですが、来年の夏に向けての準備は早いに越したことはありません。なぜなら、多くのミュージックスクールが、来年の夏の申し込みを今年の10月、11月からオープンさせ、年明け早々に締め切るところがほとんどだからです。ですから、夏が終わったばかりとのんびり構えていると、来年の夏のキャンプの申し込みに間に合わなくなってしまいます。今回も、高校生までの音楽学習者たちが参加できるプログラムを中心にご紹介します。来年の夏に向けて、是非参考になさってみてください。

❶ Meadowmount School of Music  < https://www.meadowmount.com >

有名なバイオリン教授のIvan Galamianが 1944年の夏、約30名の生徒を集めてレッスンを行ったのが始まりと言われている。6月下旬から8月上旬まで7週間開催され、NY州の北、エリザベスタウンの郊外に拠点を置く。フェスティバルはなく、レッスンと生徒たちによるパフォーマンスが行われる。参加可能年齢は13歳以上。生徒たちに毎日4〜5時間の練習を課す、夏のミュージックスクールとして有名で、弦楽器が中心。ソロの他、室内楽も学べる。

❷Heifetz International Music Institute  < https://heifetzinstitute.org >

かの有名なバイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツの遠縁にあたるとされるダニエル・ハイフェッツが 1996 年に始めた若き音楽家のための Institute で、メインプログラムは、14 歳以上。6月下旬から8月上旬までの6週間、バージニア州Mary Baldwin Univ.で行われ、弦楽器とピアノが対象。個人レッスンの他、ソロ・パフォーマンス、室内楽の機会もある。また、9 〜13 歳 (弦楽器のみ) が対象の HeifetzPEG も注目される。

❸Southeastern Piano Festival  < http://sepf.music.sc.edu >

6月に University South Carolina で 2 週間に渡って行われる、ピアノ・フェスティバル。13〜18 歳対象。個人レッスンの他、コンチェルトコンペティション、ファカルティーコンサートなどが行われる。また、National YoungArts Festival との提携により、同コンペティションの入賞者は、自動的に National YoungArts の地区予選が合格となる。

The Perlman Music Program < https://www.perlmanmusicprogram.org >

バイオリニスト Itzhak Perlman とその夫人である、Toby Perlman が 1994 年に創設した若き音楽家育成のためのプログラム。NY 州 Shelter Island で行われ、対象は 12〜18 歳で、弦楽器とピアノ、合わせて 40 名の生徒たちが参加している。毎年夏と冬に行われ、合格者は、再オーディションなしで、夏・冬のプログラムにリピート参加できる。週2〜3回の個人レッスンの他、オーケストラ、ソロパフォーマンス、コーラス、室内楽など、幅広く学べる。指導教授にはジュリアード音楽院のファカルティーがずらりと名を連ねる。

❺Interlochen Center for the Arts  < https://www.interlochen.org >

全米最大規模を誇る大型のアーツ・スクールで、サマープログラム以外に通年のプログラムもあり、音楽のみならず、ダンス、文学、フィルム、シアター、美術など多岐に渡る。音楽だけをとっても、オーケストラ、バンド、オルガン、パーカッション、ピアノ、ロックやポップス、シンガーソングライター、ボイス、弦楽器、管楽器など広範囲をカバーする。また対象年齢も、3rd grade から High School までと幅広い。プログラムは、1 週間〜3 週間と総じて短く、ミシガン州の湖に囲まれた自然豊かな広大な敷地に数多くのコンサート会場と教室を有する。

❻Bowdoin International Music Festival  < https://www.bowdoinfestival.org >

Bowdoin Music Festival の歴史は古く、1964 年 Bowdoin College の音楽科主任教授が、 コンサートシリーズを行ったのが始まりとされる。夏の Institute は、6月下旬から 3 週間の前半のセッションと、7月中旬から3週間の後半のセッションとに分かれ、高校生までは3週間のプログラムだが、21歳以上のフェローシップ・プログラムでは、全 6 週間となり、全額スカラシップで賄われる。オーケストラの各楽器とピアノが対象で、個人レッスンの他、室内楽もあり、またマスタークラスや各先生によるスタジオクラスも開かれる。

(次号につづく)

第35回 :アメリカ・夏の音楽祭 <前編>