米国での自動車購入について

車のプロフェッショナルに聞く賢い購入のしかた

現在のアメリカの車業界について

 この原稿を書いている時点で全米で(日本も同じ)新車の在庫不足が起きていて各メーカーデイーラーが通常の1割以下程度の在庫しかなくほとんどの車が入荷待ちという状態です。

 理由は昨年来のコロナ禍でステイホームの学生やワークホームで自宅勤務が増えてラップトップやモービル機器の需要が急増し半導体が自動車産業に回りきらなくなっている事、今年春の日本の半導体工場火災の影響で供給不足、さらには東南アジアの国々でコロナ禍で工場閉鎖が続き各種の車搭載用パーツの供給に支障が生じているためメーカーによっては 30%–40% の減産に追い込まてれいる状態です。その為各デイーラーで新車に金額を上乗せするプレミアムというのが当たり前になっており人気車は MSRP (メーカー希望小売価格)プラス$3,000-5,000 というのが現状です。今現在乗っている車があって買い替えなくてもよい人は取りあえず来年まで待つのがベターのようですが、日本から来られたばかりとかで車の無い方は買わざるを得ないのでその場合は中古車も視野に入れざるを得ないかもしれません。当然ですが中古車もある程度値上がりをしていますので選択には十分気を付けてください。

中古車を購入する場合

 中古車を購入する場合の方法は大きく分けて4つあります。
1)メーカー系列ディーラー
2)中古車ディーラー
3)個人売買
4)会社・知り合いからなど

 ディーラーから買うメリットは整備・点検・洗浄が済んでいて必要であれば保証も購入できる事。中古車ディーラーはメーカー系列店ほど大きくはないので販売価格は少し低いであろうと推定されます。個人売買は当然ですがディーラー価格より大幅に安いはずですが整備、点検等は自分で調べる必要があります。会社内や外の知り合いから買うのは個人売買と同じですが、人間関係によっては値段交渉などがしずらい場合もありますので要注意です。

 ここ数年の傾向として日系メーカーのディーラーは中古車販売用の車の数が足りない為にわざわざ他の州から車を購入して持ってきているようです。特に2–3年落ちのリースから戻ってきた車が中部、東海岸のデイーラーからカリフォルニアに多く流れて来ています。

 別に他の州から来た車が悪い事はありませんが CARFAX のレポートを見ればどこで登録された車なのか、レンタカー会社が使った車なのかなどの記録が見れます。最近ではメーカー系列、非系列さらには個人売買もインターネット利用が盛んになりました。やり方には若干の差がありますがインターネットで見た在庫の車について申し込むと担当者から電話やメールで連絡があり購入の商談に進みます。インターネット経由の買い物はアマゾンなどもそうですが手続きが簡単で商品を配送してくれるので便利ですが自動車に関しては高い商品を現物を見ずに買うのでよほど信用できる販売会社でない限りはお勧めしません。

 またクレーグズリストのような個人売買のサイトの場合は興味のある車の持ち主と連絡し合って持ち主のところへ出向いて車を調べた上で交渉します。

 メーカー系のディーラー中古車の場合はクルマの情報や CARFAX のレポートも見れるようになっているので安心感がありますがクレーグズリストはあちこちの個人が載せているので先ず距離的にあまり遠くないところで現物を見に行ける距離にあるクルマを選択するのが第一です。

 クレーグズリストや個人で載せている売買サイトの場合は極端に安い値段の場合は先ず要注意です。クレーグズリストでここ数年市場相場が$20,000 前後の車を$5,000–6,000 で広告を出して見に来た人から金を奪うという事件が多発しています。最近ではサイト運営者が疑いのある掲載をすぐ消すようになりましたがそれでもウマイ話には裏があるので気をつけて下さい。

 またよく予算はどのくらいでこういう車を探していますという連絡を受けますが値段が概して現地の市場価格とマッチしていない場合があります。まず自分の考えている希望価格が妥当なのかどうか www.KBB.com や Edmunds.com などのサイトで中古車価格を検索する事ができるのでここで先ず下調べをしてみるのがベターです。

 ディーラーからの購入の利点は陸運局の登録手続きをすべてやってもらえるという事です。個人売買の場合は売り手から必要書類をもらいそれを持って自分で陸運局へ行かなくてはりません。クレーグズリストでも知り合いの日本人から買う場合もタイトル(ピンクスリップ)とスモッグ検査の合格証(4年以上古い車)がある事を先ず確認して下さい。日本人でよくタイトルがどこにあるのか覚えていない人が居ますがこれが無いと購入者が登録変更の際に面倒なので先ず第一に確認して下さい。

 車のオーナーがリースをしている場合はリース会社の承諾なしでは車を売る事はできません。現存のリースを『テークオーバーしてくれる人を探しています』という広告もたまに見ますが日本から来られたばかりの人は難かしいのでこの手の話は時間の無駄になると思います。

 オーナーがオートローンの支払いが終わっていなくてピンクスリップがない人から購入する場合は(1)先にローン残を払ってもらってピンクスリップがある状態にしてから売ってもらうか、(2)ローン会社に購入者が残金を支払いピンクスリップを渡してもらいます。この場合地元の銀行などで出向いて支払いやピンクスリップの受け渡しが対面できればベストですがメーカー系列ファイナンス会社は殆ど州外にあるので電話、ファックスでのやり取りとなりますのでその場合は上記(1)がベストだと思います。

 支払い方法ですが米国では中古車の売買は現金か銀行振出しキャッシャーズチェックと決まっています。車をもらってあとから銀行送金とかは考えられないので購入を考えている人はまず米国の銀行に資金が入っていることが最低条件です。日本からお金を持ってくるので時間がかりますと言う方に多々お会いしいますがお金の準備なしで購入は不可能ですしまして最近のように新車、中古車の在庫が少ない時期にはまずこの準備を先にしてから車探しをして下さい。また当然ですが数千ドル〜1万数千ドルという現金を持ち歩くのは非常に危険ですので気をつけてください。値段交渉は先に済ませて決まった金額を銀行振り出し小切手で準備して後日引渡しをするのが安全だと思います。

 スモッグチェックの検査証を準備するのは法律上売る側の責任です。なぜならば名義変更登録の際に4年以上古い中古車はスモッグ検査通過が義務づけられています。万が一通らなかった場合、その修理費用は$100で済む場合もありますが大きな修理が必要で何百ドル、何千ドルとかかる可能性もあります。その為に購入者を保護する為に検査通過証は売る側の責任となっているのです。個人から中古車を買う場合はまずオーナーがピンクスリップとスモッグ検査証、CARFAX 記録があるかをまず確認してから話を進めた方が時間の無駄がないかと思います。

 オーナーがCARFAXの記録を持っていない場合は$30–40かかっても自分で調べる事をお勧めします。CARFAX 記録で必ずしも事故とか修理記録のすべてが出てくるわけではないので100%完全に信用する事はできませんが大きな事故や、ディーラーでのメンテンナンス記録が出てきます。場合によってはバンパーをこすって直した程度の修理も記録に出てくることがありますがMinor Repairとして出てくるものは必要以上に神経質になる必要はないと思います。

 メーカー系列ディーラーの中古車はCertified Used Carとして保証付きで売られているものもあります。日本車で5年落ちくらいであれば殆ど問題はないかと思われますがヨーロッパ車、アメ車は新車時より故障が多いので気をつけられた方が良いかと思います。新車時は3年あるいは4年まで完全保証が付いているので故障してもお金はかかりませんが中古車の場合は追加保証を買わないと修理代は自腹なのでディーラーであれ個人であれあまり古い車、走行距離が多い車は避けられた方が無難です。数年後にさらに転売することを考えると日本車、4ドア、あるいはSUV、ミニバン、オートマ、基本的なパワー装備つきが無難と思われます。日本と違い米国では車の外装カラーは購入・販売ともに値段に殆ど影響はありません。個人から購入する場合は車の状態を自分で確かめなくてはなりません。調べるコツは全体的な汚れがないかを見る事。内装やシートが極端に汚れている車は持ち主があまり手入れをしてなかった証拠です。内装の汚れに気を使わない人は通常ボンネットの中もあまり手入れをしていない可能性が多いです。当然の事ですが事故の形跡が無いかを調べる事。ドア、ボンネット、トランクを開け閉めしてたてつけが悪いのはボディダメージがあった可能性があります。保険会社やディーラーが使う査定では1年間に平均1万2,000マイルから1万5,000マイル走ると想定します。したがって3年落ちで8万マイル走っていれば走りすぎているし10年落ちで3万マイルしか走っていないものはなぜ走っていないかを聞いて納得のいく説明をもらう事が重要です。ボンネットを開けてエンジン周りにオイル漏れが無いかを確認します。またエンジンをかけて音がスムーズかどうかをチェックします。次に走ってみてブレーキの状態はどうかを確認し、車が片側に寄ったりしないかを確認します。当然売る側は全てが調子が良いというでしょうから車の判断に自信のない方はメカニックを連れていくか、車に詳しい知り合いに同行してもらうのも良いかと思います。


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