第39回 一般大学の音楽プログラムについて<南カリフォルニア大学(USC)編>

 みなさま、こんにちは。シリコンバレーでピアノ教室を主宰している、有座なぎさです。「音楽教育のススメ」と題したコラムを毎月第四週目に担当させていただいています。

USC campus

 今回は、南カリフォルニアにある、University of Southern California (USC)についてご紹介したいと思います。

Entrance of USC

 1880 年にロサンジェルスに創立されたこの大学は、アメリカ西海岸で最も古い歴史を持つ私立大学の一つで、現在は、生徒数48,000、メディカル、ロースクール、ビジネススクールなどの大学院も擁する大規模総合大学です。中でも映画学科は特に有名で、ハリウッドのお膝元であり、ジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバーグなどの著名人が、大口寄付者として名を連ねています。

 エンターテイメント界にも大きな影響力を持ち、USCでは、音楽、美術、ダンス、ドラマ、シアターなどの芸術部門にも力を入れています。Thornton School of Music (音楽学部) では、クラシック音楽の各楽器の他、ジャズ、作曲、ポピュラー音楽、オルガンなどが学べ、特徴的なのが、音楽産業、音楽テクノロジーなど、即戦力として卒業後にすぐに仕事ができるプログラムが充実している点にあります。

USC Thornton School of Music

 また、USC はスカラシップを豊富に提供してくれる大学としても有名で、メリット・スカラーの他、大学が提供するスカラシップの数だけでも8種類を数えます。入学したほとんどの学生が何かしらのスカラシップを受けており、余談ですが、筆者の長女が USC を受験した際、フル・スカラシップ (授業料全額免除) の候補生として、大学が主催するパーティに招待され、学生はもちろん、親にもフルコースの料理が振る舞われたことは記憶に新しく、その歓待ぶりは大学が財政的に豊かなことを証明しています。その後、娘は残念ながら別の大学に進学したのですが。

2016 Piatigorsky International Cello Festival at USC/Disney Hall  (Photo by Dario Griffin)

 クラシック音楽の教授陣は、ロサンゼルス・フィルハーモニックのコンサートマスターを始め、各楽器の奏者たちが教鞭を執っており、鍵盤楽器では、Jeffrey Kahane、Stewart Gordonの他8名、弦楽器では、Martin Chalifour (violin)、Ralph Kirshbaum (cello)の他10名など、音楽科全体では、総勢85名の教授陣たちが指導に当たっています。大学では、音楽メジャーの他、音楽と他の学科とのダブル・メジャー、またはマイナーとして音楽を学ぶこともできます。USC は、全米の大学の中でも、卒業生が成功している割合が最も高いとも言われており、それが潤沢なスカラシップを多くの学生に提供できる所以でもあると言えます。

USC Thornton School of Music
https://music.usc.edu

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