第7回 :アメリカの大学進学について〜ダブル・メジャーという選択肢〜

みなさま、こんにちは。シリコンバレーでピアノ教室を主宰している、有座なぎさです。昨秋から「音楽教育のススメ」と題したコラムを毎月第四週目に担当させていただいています。今回は、読者のみなさまからリクエストが多かった、アメリカの大学進学について、またダブル・メジャー(二つの専攻)について、お話したいと思います。アメリカには公立・私立、たくさんの大学があります。公立大学で私たちに馴染みが深いのは、UC系大学(Berkeley, LA, Santa Barbara, Irvine, Davis, San Diego, Santa Cruz, Riverside, Merced) ですが、その他に、State Univ.やCommunity Collegeもあります。私立大学には、アイビー・リーグやスタンフォード大学を始め、たくさんの大学があり、全米で私立大学だけでも2400校以上、公立大学を合わせると4300校以上の大学があります。 

高校時代までシリアスに音楽の勉強を続けてきた生徒さんは、大学進学の際、一般大学に進学すべきか、または音楽大学に進学すべきか、悩む場合も多いことでしょう。そしてその両方を勉強したい、という願いを可能にするのが、ダブル・メジャー、すなわち、二つの違った分野を同時に学ぶシステムです。日本であれば、大学での専攻は一つに限られ、もう一つ別の分野を勉強したければ、卒業後に新たに大学に入り直す必要がありますが、アメリカでは、同時に二つの違った分野を専攻する、または、二つの別の大学に同時に通う、ということが可能なのです。これは、アメリカならではの懐の深さを感じる教育システムです。できる人には、どんどんチャンスが与えられる、出る杭は打たれずにどんどん伸ばしていける。それがアメリカの教育です。一つの大学で、アカデミックな分野と音楽の両方の単位や学位を取得することができる総合大学も数多くありますし、また、近隣の一般大学と音楽院が提携して、両方の大学の学位を取得できるシステムを打ち出しているところもあります。その多くは東海岸になりますが、例えば、ボストンには、Harvard大学とNEC (ニューイングランド音楽院)、また、Harvard大学とBerklee音楽院が提携して、それぞれの学位(ハーバード学士(Bachelor)、NEC 修士/Berklee修士(Masters) を取得することができるプログラムがありますし、ニューヨークでは、Columbia大学とJuilliard音楽院が提携してコロンビア大学(学士)とジュリアード音楽院(修士)の両方の学位を得ることができるプログラムもあります。 

その他、Bard Collegeでは、5年で音楽とアカデミックの両方の学士を取得するプログラム、またCleveland 音楽院とCase Western Reserve Univ. では5年で、双方の大学の学士を取得できるプログラムが用意されています。その他、Northwestern大学、Oberlin College、Lawrence大学、USC (南カリフォルニア大学)などでも同様に5年間で、二つの学士が取得できるプログラムがあります。音楽の勉強も、アカデミックな勉強もどちらも続けたい、という高校生のみなさんは、ぜひ挑戦されてみてはいかがでしょうか。 

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