第43回 :ソーシャルセキュリティーとは?その2

前回は、アメリカの公的年金制度であるソーシャルセキュリティーの仕組みや老齢年金Retirement Benefitsの受給資格についてお話いたしました。今回は、Retirement Benefitsの算出方法や、その他のBenefitについてお話します。

前回、受給開始のタイミングによって受給金額が増減するとお話しましたが、そもそもの受給金額の算出には過去35年間の収入(35年間以上働いている方は、もっとも収入が高い35年間分)の平均値が使われます。この時、35年前から現在までの貨幣価値がなるべく等しくなるように毎年のインフレーションも考慮し、計算します。

また、働いた年数が35年間に満たない場合でも分母は35年(420ヶ月)で計算されますので、当然働いた期間が短いほど受給金額は少なくなります。

また社会的弱者を守るための制度という側面から、過去の収入からRetirement Benefitsへの置換率(還元率)は、低所得者のほうが高所得者に比べて高くなるように設定されています。下記の表は、現在の年収と変わりなく35年間働いた場合の受取額の目安と置換率を表したものです。2019年のRetired Workerの平均受給額は$1,422/月です。

Disabilityと認定を受けた場合、本人以外にも62歳以上の配偶者、16歳以下の子のいる配偶者、19歳未満の子供、22歳以前にDisabilityの認定を受けた18歳以上の子供もBenefitを受け取ることが可能です。

35年働いた場合の受取額の目安と置換率の表

障害年金(Disability Benefits)

Retirement Benefitを受給する前に、本人が「Disabled」となってしまった場合に障害年金を受給できる可能性が生じます。ソーシャルセキュリティーのDisabilityの条件は、民間の保険会社のDisabilityの条件と比較すると非常に厳しく定義されています。1年以上Disabledであることに加え、様々な審査をクリアする必要があります。また、受給が認められるためにはDisabledである条件に加えて「最近まで働いていること」「十分な年数を働いていること」も満たす必要があります。こちらは若者であるほど条件は易しく、例えば24歳の方であれば3年のうち1.5年以上働いていれば2つの条件を満たします。50歳の方の場合は過去10年のうち5年以上働き、かつ合算で7年以上働いていることが条件となります。

遺族年金(Survivors Benefits)

ソーシャルセキュリティーTAXを支払っていた方が亡くなった時、残された配偶者(あるいは子供)は死亡一時金として$225が支給され、受給要件を満たす場合には遺族年金を受給出来ます。受給に必要なクレジットは年齢によって異なりますが、10年以上働いていれば必ず受け取れます。10年に満たない方も、最低3年のうち1.5年以上働いていれば特例による受給が可能です。

このBenefitは収入によって決まり、受取る方の年齢や本人との関係によって計算されます。遺族年金の該当者は以下のとおりです。

・60歳以上の配偶者(または50歳以上で障害のある配偶者)
・16歳以下か、障害のある子供のいる配偶者(年齢問わず)
・10年以上の婚姻期間があり再婚していない、
60歳以上の元配偶者(または50歳以上で障害のある元配偶者)
・16歳以下か、障害のある子供のいる元配偶者(年齢問わず)
・18歳以下の未婚の子供(12年生までのフルタイムの学生の場合19歳以下)
・22歳以前にDisabilityの認定を受けた18歳以上の子供
・62歳以上で扶養していた親

ソーシャルセキュリティーには万が一のときの様々な保障があります。これを機に、自分にはどのような保障を受ける資格があるのか、把握しておきましょう。