赤ワイン用ブドウから白ワイン

最近ちょっとユニークなワインを入荷しました。Hollyhock Lodgeというまだ新しいワイナリーからリリースされた「ガメイ・ノワール・ブラン“No.04” 2018年」。使われているブドウ品種は100%ガメイ・ノワール( Gamay Noir)という日本人にはボージョレー・ヌーボーでお馴染みの赤ワイン用黒ブドウ。でも、白ワイン。

赤ワインの赤色は、ブドウの果皮から抽出されるので、つまりこのワインは、果皮の色素が付かないように造られたワインということ。とはいえ、 例えばほんの数時間果皮に浸けるだけでも薄いピンク色のロゼワインになるほど、黒ブドウはすぐに色が出るので、黒ブドウから白ワインを造るのは結構大変。

このワインの場合、まず、収穫後直ちに果汁を抜き取る作業をしています。収穫されたブドウは、容器の下の方のブドウは上にあるブドウの重みで潰されてじわりじわりと果汁が染み出し、そのままにしておくと染み出した果汁に果皮の色がついてしまうため、すぐに果汁を抜き取るのです。

また、果汁も「フリーランジュース」と呼ばれる、ブドウの重みで自然と出てきた果汁だけを使っていて、圧搾機などで圧力をかけて絞ったジュースは一切使っていません。圧力をかけてギュッと絞ると、果皮の色素も抽出されて色が付いてしまうため。一番フレッシュでピュアな果汁のみが使われているという贅沢さ。

さらに付け加えると、ブドウの熟度が進むと果皮が柔らかくなって色素が出やすくなるので、このワイン用のブドウは熟度が高くなりすぎない早めの時期に収穫されています。

こうして注意深く色素抽出を避けて抜き取られた果汁で造られたワインは、黒ブドウを使いながらも色が淡いだけでなく、果皮や種から出るタンニンもない、フレッシュでアルコール度も低め(12%)のとても軽やかな白ワインに仕上がっています。

カリフォルニアワインは赤も白もどっしりとした重厚感ある味わいというのは一昔前。今回のようなユニークなワイン、 軽やかなワインもたくさんあります。造り手に自由さがあり、クオリティの高い多様なワインが造れることこそカリフォルニアワインの良さだと思うのです。