山火事からの教訓

ナパやソノマなど近場のワインカントリーへ出かける時は、いつもサンフランシスコから日帰りで行くことが多いのですが、先日10月14日は、久しぶりにゆっくりナパで一泊して、収穫時期のワイナリーをじっくり回る予定にしていました。

当日は、毎年この時期に数日間訪れるインディアンサマーと呼ばれる暑い1日で、普段常に肌寒い日々を送っている身としては嬉しい暑さの中、収穫期の活気あるワインカントリーの様子を見ながら宿泊先へ。

宿泊先はナパの北部、温泉地としても有名なカリストガ地区にあるホテル。夕食時間までホテルのプールでひと泳ぎして部屋へ戻ったところ、留守番電話にレストランからメッセージが。「8時過ぎに停電になるので、できるだけ早くレストランへお越しください」とのこと。時刻はすでに8時過ぎ。急いでレストランへ向かいましたが、着いたと同時に停電となり、キャンドルライトの中、非常時用のパワーで作ることができる限られたメニューで、とりあえずお腹を満たしました。なんとか食事は済ませたものの、レストラン以外のホテル内外、もちろん部屋も真っ暗。非常用の小さな懐中電灯1個では動くのも不自由で、いつ停電解除になるかも不明だったため、結局部屋をキャンセルしてサンフランシスコへ帰宅しました。

この日は気温が上がり、空気も乾燥して風も強く、ちょうど去年の同時期にナパ・ソノマで山火事が発生した時と非常によく似た気象条件となったため、電力会社PG&Eが山火事予防策として、ナパ北部からソノマの一部地域への送電を止めたというのが今回の停電理由でした。去年の大惨事を思うと、この停電へは多くの理解がある一方で、事前連絡や情報のアップデートがあまりにもお粗末だったという意見も多く、この騒動を経験した私も同感です。

山火事が起こる前に予防策を発動できたことは大きな前進。次は、停電時の情報提供や、停電中も住民やツーリストたちができるだけ不安なく快適に過ごすための対策が今後取られていくことを期待したいと思います。

1年前火事で施設が全焼してしまったParadise Ridge wineryやSignorello wineryでは、再建に向けての手続きが進み、1年後には新ワイナリーオープンの目処が立ったなど明るいニュースも聞きます。山火事を教訓にした、持続可能なワイン産地であり続けるための努力は続いています。