第14回 アメリカの音楽大学入試・実技試験について(中編)

みなさま、こんにちは。シリコンバレーでピアノ教室を主宰している、有座なぎさです。昨秋から「音楽教育のススメ」と題したコラムを毎月第四週目に担当させていただいています。

今月は、先月(第13回 アメリカの音楽大学入試・実技試験について:前編)に引き続き、大学進学で音楽をメジャー(専攻)にする場合についてお話ししています。

さて、プレ・スクリーニング(予備審査)を通って、次のステップへとコマを進めた場合、ライブ・オーディションに替わる、もう一つの選択肢に、リージョナル・オーディションがあります。これは、生徒の方が、大学へ出向くのではなく、大学側から、生徒の住んでいる近くの都市へ職員を派遣し、そこでオーディションをしてくれるものです。大学でのライブ・オーディションに行くのに比べ、旅費や宿泊費、時間などが節約できます。ただし、すべての音楽大学がリージョナル・オーディションを行ってくれるわけではありませんので、注意が必要です。リージョナル・オーディションでは、サンフランシスコやロサンジェルスなどの都市部にある、指定された場所に、職員が訪れ、受験者はそこで演奏をします。職員はその演奏ビデオを撮り、それを自分の大学に持ち帰って、大学の先生が見ることにより合否が判断されます。わざわざ遠い州の大学まで足を運ばなくてよい反面、会場が、小さな学校の教室だったり、ピアノが古くて調律していなかったりと、満足のいく演奏ができる環境とは言い難い場合もあります。それらのリスクも十分に理解した上で、リージョナル・オーディションに申し込むべきでしょう。そしてもう一つは、レコーディングによるオーディションです。この場合はどこにも出向く必要はなく、プレ・スクリーニングで提出したビデオを転用、あるいは更に追加ビデオを提出する形でオーディションが完了します。

もしも受験する音楽大学が、学内におけるライブ・オーディション、都市部でのリージョナル・オーディション、そしてレコーディングによるオーディションのすべてを受け付けているのでしたら、当然のことながら、学内で行われるライブ・オーディションの優先順位が最も高く、次いで、リージョナル・オーディション、そしてレコーディングによるオーディションという具合になります。大学側としても、学校まで旅費を掛けて、足を運んでくれる生徒を優先するのは、尤もと言えます。それら合否における優先順位についても理解して、どの方法で実技試験を受けるのかを考慮する必要があります。第一志望、第二志望、など本命度の違いによって、どのような方法で受けるのかを検討するのも賢い方法と言えるでしょう。(次号へ続く)