COVID-19に関するトピック ~規制緩和、検査能力拡充、ソリューション開発~

米国時間3月11日、WHO(世界保健機構)がCOVID-19(新型コロナウィルス)をパンデミックと宣言して以降、COVID-19に対するTech企業の様々な取り組みが加速している。大規模イベントに関しては、SXSW,GDC,WWDC(Apple),F8(Facebook),I/O 2020(Google)などがキャンセルもしくはデジタルによる遠隔開催に移行し、大きな影響を伺わせる。本稿では、規制緩和、検査能力拡充、ソリューション開発などについての直近の動向を見ていく。

■ COVID-19診断検査への規制緩和

FDA(米国食品医薬品局)は米国時間2月29日、特定の期間に向けて、認可前の新しい診断技術を使ったCOVID-19検査を許可すると発表した。それと同時に、HHS(米国保健社会福祉省)が、公衆衛生上の緊急事態、あるいはそうした事態が発生する重大な可能性を認めた際に、医薬品の使用を許可し、病気の診断、治療、または予防に当たることのできるEUA [Emergency Use Authorization](緊急使用許可)を許可することを推進している。

3月13日現在、FDAはCOVID-19の検査診断に関して4つ目のEUAを発行している。3月13日に同EUAの発行を受けたThermo Fisher Scientific は、同日4月上旬までに500万個水準での検査キット生産能力を確保すると発表している。また、従来の方法の10倍のスピードであるおよそ4時間で検査結果を出せる Roche Holding AGの検査装置に対してもEUAが発行され、検査へのアクセスの重要性から、規制当局が迅速に対応していることが分かる。

■ COVID-19スクリーニングソリューション開発

米国時間3月13日のホワイトハウスでの記者会見でトランプ大統領は、Google(正確にはAlphabetのグループに属するヘルスケアデータ分析サービス子会社のVerily)と協力し、1700名のエンジニアがコロナウイルス感染症のチェックサイトを構築していると発表した。チェックサイトは初期スクリーニングの役割を果たし、症状が疑われる場合にはDrive Through形式でのオンサイトでの検査を行うフローを想定しているようである。

Verilyは、National Genetics Instituteを共同設立したAndrew Conradが運営しており、データを使用してヘルスケアを改善することに焦点を当て、過去には、ECG機能付きヘルスウォッチのFDA認可や、遺伝子テストのColor Genomicsとの提携などで話題になっている。

同社は、トランプ大統領の発表を受け、サイトがまだ開発初期段階にあること、ベイエリアから開始する予定があることを明かした。(3月14日現在)

引用:3月13日に実施されたWhite House記者会見より

■ Tech企業を中心に加速するWork from Home、遠隔会議の推奨、賃金保証

Twitterは、3月2日に在宅勤務を「強く奨励する」としていたが、3月11日のWHOの発表を受けて、米国時間3月11日に「COVID-19の懸念のため世界中の全社員に在宅を義務化とする」と発表した。加えて、時間給労働者や契約社員も含めて全社員のホームオフィスセットアップ費用を負担し、在宅勤務ができない契約社員やパート・アルバイトに対して、標準労働時間に対して賃金を支払うポリシーも発表している。
 
Twitterに続けと、Amazonも3月12日に全面在宅勤務を推奨、Appleも中国域外の全ストアの3月下旬までの閉鎖を発表している。また、遠隔会議システムを提供するZoomは、特に休校が相次ぐ、教育機関向けの無料サービスを強化する。米国では、3月13日現在、約60,000のK-12 小学校向けに基本のフリーアカウントでの40分の利用制限を撤廃している。また、日本でも、日本国内教育関係者に対して、1会議最大300名まで、時間制限なし回数制限なしで提供している。

図表 COVID-19に対するソリューション開発企業(出典:China International Optoelectronic Exposition HP及び各社Web、プレスリリースより筆者編集)