【新型コロナウイルス対策NEWS】 事業者・ビジネス関連措置の 最新状況を日本語でアップデート!

感染者全米最多のカリフォルニアで、デジタル化・リモートワークが進展

コロナ禍対応に追われる日系企業

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2020/c9fa240add8304c7.html

2020年8月26日

カリフォルニア州の新型コロナウイルスの累計感染者数は、8月下旬時点で66万人に上る。全米の州で最多だ。経済活動の制限が続き、企業は厳しいビジネス環境下に置かれている。本稿では、在カリフォルニア州日系企業の売り上げや雇用への影響、オフィス再開の見通し、「アフターコロナ」の事業戦略などについて、アンケート結果やヒアリングを基に報告する。

経済再開は後退へ

カリフォルニア州では7月以降、新型コロナウイルスの感染状況が再び悪化した。感染の再拡大を受けて、ギャビン・ニューサム知事と公衆衛生局は7月13日、州内の全ての郡に対して、レストランや映画館の屋内営業の再停止や、バー、パブなどの再閉鎖を命じた(2020年7月16日付ビジネス短信参照、注1)。これにより、5月8日から段階的に進めてきた州の経済活動の再開が後退した。

屋内営業が停止されているカリフォルニア州の飲食店には、ソーシャルディスタンスに配慮しながら、屋外スペースに机や椅子、テントなどを設けて、営業を継続している店舗もある。これら事業者は、サンフランシスコなど各自治体が飲食店や小売業など向けに実施する、支援プログラムを活用しているとみられる。このプログラムでは、歩道、駐車スペース、道路などの公共スペースでビジネス目的の利用が許可される。

屋外スペースを活用し、営業する飲食店の様子(ジェトロ撮影)

感染拡大がより深刻な郡は、経済活動が一段と厳しく制限されている。州政府が公表する新型コロナウイルスに関する重点監視郡のリストに3日連続で掲載された郡での規制は、レストランなどの営業制限(前述)に留まらない。加えて、フィットネスセンターや理美容院、ショッピングモールなどの営業(注2)や、重要なインフラ部門に該当しない事業(注3)のオフィスの閉鎖が求められる。同リストには、感染者数や入院率、医療機関の患者受け入れ態勢などの指標で、州政府が設定した基準に満たない郡が掲載される。ロサンゼルスやサンフランシスコ、サンタクララなど、州内で人口の多い主要都市はほとんど含まれているのが現状だ(8月19日現在)。感染が続く地域では、感染への懸念などから住民による公共交通機関の利用も減っている。例えば、サンフランシスコを含むベイエリア5郡(注4)を結ぶ鉄道BARTの利用客数は、3月中旬以降、運営会社の想定に比べて80%以上減の日が続く(注5)。

日系企業の現状、約8割は雇用継続に影響なし

経済活動への制限が続く中、カリフォルニア州に所在する日系企業はどのような影響を受けているのか。ここでは、ジェトロが6~7月に在米日系企業を対象に実施した新型コロナウイルスに関するアンケート調査結果(注6)から、在カリフォルニア州企業(回答数:208社)の回答結果を抽出し、「売り上げ」「雇用」「今後の事業戦略」の3つの観点からみる。

第1に、売り上げへの影響はどうか。6月の売り上げ(見込み)について、前年同月比で「減少」と回答した企業は約6割(61.6%)に上った(図1参照)。厳しい経営状況が続いていることがわかる。もっとも、その割合は全米平均(71.7%)より約10ポイント低かった。また、前年同月比で「増加」と回答した企業も12.3%と、全米平均(7.2%)を上回った。アンケート結果やジェトロ・サンフランシスコ事務所が各企業に行ったヒアリングを踏まえると、売り上げが伸びているビジネスは、新型コロナ対策に付随した需要やオンライン需要をうまく取り込んでいるといえそうだ。また、「エッシェンシャル・ビジネス」に含まれる企業の売り上げは底堅いようだ。

図1:在カリフォルニア州日系企業の2020年6月の売り上げ状況
(前年同月比)

出所:ジェトロ「第5回在米日系企業の新型コロナウイルス対策に関わる緊急・クイックアンケート調査結果」

第2に、雇用への影響をみる。アンケート調査では、カリフォルニア州企業の約8割(78.7%)が「雇用継続に影響なし」と回答した。全米平均(68.2%)に比べ、約10ポイント高かった。実際にジェトロのヒアリングでは、「解雇や一時解雇は行っていない」とする企業は多い。ただし、小売業や飲食業をはじめ、従業員の解雇や一時解雇を迫られる事業者が出ていることも事実だ。

デジタル化、リモートワークを拡大する企業は全米平均を上回る

第3に、「アフターコロナ」の事業戦略に関して、在カリフォルニア州日系企業はデジタル化に前向きだ。アンケート調査結果では、4社に1社が「デジタルマーケティング、人工知能(AI)利用などデジタル化の推進」(28.7%)や「バーチャル展示会、オンライン商談会などの活用推進」(28.2%)と回答した。また、これらそれぞれの回答割合は、全米平均を上回った(図2参照)。実際、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、企業にとって販路開拓やネットワーク拡大のツールとなる展示会やカンファレンスでは、オンライン形式への移行が相次いでいる。例えば、当初カリフォルニア州で開催する予定だったスタートアップ・カンファレンス「Disrupt 2020」(2020年9月14~18日)やモノのインターネット(IoT)技術に関する展示会「IoT Tech Expo 2020」(2020年11月4~5日)、ネバダ州ラスベガスで開催を予定したハイテク技術見本市「CES 2021」(2021年1月6~9日、2020年7月30日付ビジネス短信参照)などは、オンライン開催が発表されている。

図2:コロナ後に対応した事業の見直し(複数回答)

出所:ジェトロ「第5回在米日系企業の新型コロナウイルス対策に関わる緊急・クイックアンケート調査結果」

在カリフォルニア日系企業では、在宅勤務やリモートワークの拡大を考えているところも多い。カリフォルニア州では、3月半ばに発令された自宅待機令は依然解除されていない。このため、エッシェンシャル・ビジネスなどの従業員以外は、原則として在宅勤務が求められている。アンケート調査では、コロナ後の業務態勢の見直しについて、「在宅勤務やテレワークの活用拡大」と回答した在カリフォルニア日系企業が8割(80.4%)に達した(全米平均:74.1%)。また、ジェトロが2~3月にベイエリア所在の日系企業向けに実施した調査(注7)によると、新型コロナウイルス感染拡大前から、回答企業のうち約4割が在宅勤務を導入済みだ(2020年8月6日付ビジネス短信参照)。感染拡大前から在宅勤務態勢を取っていた企業に話を聞くと、「在宅勤務の拡大がスムーズにできた」、さらには「新型コロナウイルスの終息の有無にかかわらず、引き続き在宅勤務を実施する」といった声が聞かれた。

他方で、カリフォルニア州のベイエリアには、研究開発拠点を持つ企業も多い。そうした企業からは、「在宅だと業務の制約がある」という指摘もある。また、コロナ後も在宅勤務を認めることを考えている企業には、「在宅体制が定着した中で、コロナ以前の勤務環境へ完全に戻すことは難しい」「感染が完全に払拭(ふっしょく)できない環境下では、在宅を続けざるを得ない。現地従業員からの不安の声もある」といった考えを漏らす企業もある。オフィス再開の見通しを聞くと、「5月以降、カリフォルニア州が経済再開を段階的に進める中で、7月中旬からのオフィス再開を考えていた。しかし、再開計画が頓挫し、今は先が見通せない。州や所在する郡の今後の動向を注視したい」と、経済活動再開が計画どおり進まないことに懸念を示す企業も多い。

7月からはCCPA執行開始への対応も課題に

在カリフォルニア州日系企業にとっては、個人情報の取り扱いも難しい問題だ。カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA:California Consumer Privacy Act、注8)は、新型コロナウイルスとの関係でも課題となっているのだ。

CCPAは、2020年1月に施行された。その後、ザビエル・ベセラ州司法長官は6月30日、CCPAの執行を7月1日から開始すると発表した(2020年7月9日付ビジネス短信参照)。多くの企業が感染対策に追われるタイミングでの執行開始となった。このため、企業からは対応に苦慮する声も聞かれる。例えば、感染対策として体温など従業員の健康状態を把握する場合、取得した健康情報の一部がCCPAの定義する「個人情報」に該当する可能性がある。企業は感染予防とCCPA、両にらみで対策を打つことを迫られている。


注1:バー、パブは屋内・屋外とも原則閉鎖。ただし、屋外席で食事を提供する場合などは営業可能。
注2:店舗前での商品受け渡しや屋外スペースでの営業は可。
注3:「重要なインフラ部門」は、州政府が指定する。
注4:サンフランシスコ、アラメダ、コントラコスタ、サンマテオ、サンタクララの5郡。
注5:人の移動数については、移動手段によって状況に違いがある。感染リスクが低い車での移動量は回復傾向にある。各国の車両交通量(走行距離)のデータを公表しているインリックス(Inrix)によると、カリフォルニア州全体の交通量は、経済再開を始めた5月以降増え始め、7月上旬時点で新型コロナウイルス拡大前の8割、サンフランシスコ都市圏は同7割程度の水準まで回復した。
注6:6月26日~7月1日に実施し、961社から回答を得た。アンケート結果の全文は、北米における新型コロナウイルス対応状況のページの「第5回在米日系企業の新型コロナウイルス対策に関わる緊急・クイックアンケート調査結果」(1.91MB)から閲覧できる。
注7:2月21日~3月13日に実施し、237社から回答を得た。アンケート結果の全文は、ジェトロウェブサイトで閲覧できる。
注8:CCPAや規則については、2019年6月6日付地域・分析レポートや「CCPA実務ハンドブック」も参照。


執筆者紹介ジェトロ・サンフランシスコ事務所
石橋 裕貴(いしばし ゆうき)2011年、ジェトロ入構。海外調査部(2011年~2016年)、ジェトロ沖縄(2016年~2018年)を経て、2018年7月より現職。


サンフランシスコ市・郡が独自の経済再開計画を発表、店内飲食は6月15日再開の可能性 

https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/06/b38a1b748c996671.html

サンフランシスコ市・郡は5月28日、段階的な経済再開に向けた計画を発表した。同市・郡は既に5月中旬から一部経済活動を再開したが、今回の計画は6月以降の長期的な内容を含む。同市・郡では、カリフォルニア州が発表した4段階の再開計画「再開へのロードマップ(Update on California’s Pandemic Roadmap)」に基づき、同計画の第2段階をさらに3つの段階(2A、2B、2C)に分けて、徐々にビジネス再開を行う。同市・郡の計画の各段階で再開が認められる主なビジネスは次のとおり。

【第1段階から第2A段階(~6月14日)】

・全ての建設プロジェクト
・従業員50人以下の必要不可欠な製造業、卸売業、賃貸業、運送業
・不動産取引の対面でのサービス
 (社会的距離の確保とフェイスカバー着用の必要あり)
・小売業のカーブサイド・サービス(注1)による営業
・屋外娯楽活動向けの備品レンタル
・不要不急のビジネスに従事する従業員は在宅勤務を行うことが求められる

【第2B段階(6月15日の移行が目標)】

・従業員50人超の全ての製造業、卸売業、賃貸業、運送業
・レストラン、バーの屋外での飲食提供
・屋内の小売業
 (ただし、ショッピングモールは再開計画の承認が必要)
・屋外でのフィットネス
・業務上必要な場合を除き、在宅勤務が引き続き求められる

【第2C段階(7月13日の移行が目標)】

・理美容院
・屋内での飲食提供(レストランを念頭)
・不動産のオープンハウス(予約制のみ)

【第3段階(8月中旬の移行が目標、注2)】

・ジムやフィットネス施設
・映画館、ビリヤード、ボーリング場など限定的な屋内の娯楽施設
・第2段階までに再開が認められていなかった全ての個人向けサービス(ネイルサロン、マッサージ店、タトゥー店など)
・バー

【第4段階(移行時期未定)】

・ナイトクラブや観客を入れたスポーツの試合、ホテルなどを含む全てのビジネス活動が再開可能
なお、サンフランシスコ市・郡で現在発令中の自宅退避令について、ロンドン・ブリード市長は5月28日の会見で、「無期限に延長する。再開計画は実行されるが、住民には引き続き自宅退避を求める」と述べた。

経済再開の1つの節目となる飲食店の着席サービスの再開状況をみると、北カリフォルニアのベイエリア9郡(注3)のうち、ナパ郡(屋外・屋内ともに可、バーなどを除く)やソラノ郡(屋外・屋内ともに可、バーなどを除く)、ソノマ郡(屋外のみ可、バーなどを含む)が制限付きで再開を認めている(5月28日時点)。ジェトロが確認したところ、ソラノ郡の飲食店では依然、休業やデリバリーや持ち帰りのみで営業している店も多い。

(注1)消費者がオンラインで注文した商品を実店舗の駐車場などで車から降りることなく受け取れるサービス。
(注2)第3段階の中で段階をより細かく分ける可能性がある。
(注3)アラメダ郡、コントラコスタ郡、マリン郡、ナパ郡、サンフランシスコ郡、サンマテオ郡、サンタクララ郡、ソラノ郡、ソノマ郡
(ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴)

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