第25回 アメリカの大学受験の概要 (中編)

 みなさま、こんにちは。シリコンバレーでピアノ教室を主宰している、有座なぎさです。「音楽教育のススメ」と題したコラムを毎月第四週目に担当させていただいています。
 今回は、前回に引き続き、アメリカの大学受験についてお話しようと思います。今年はコロナ禍の中で、受験生のみなさんはとても大変な思いをされていることと思います。SAT/ACTテストを受けたくても、近くの会場では試験をやっていない、テストを受けるためには、車で長時間ドライブしたり、飛行機に乗って他州までいかなくてはならない、という話もよく耳にします。また、これまでは、スキーウィークや春休みには、学校見学ツアーなどで、実際に大学の構内を歩いたり、在校生の説明を受けたりすることができましたが、今年はそうはいきません。大学の授業がオンラインに切り替わっていて、キャンパスが閉鎖され、中に入れない学校も多いのです。そんな状況の中で、どうやって自分の進学したい大学を決めるのか、どうしたら、その大学が自分に合っているのかを判断できるのか、受験生にとってはまさに試練の時ですね。

Photo: Kevin Chiu

 私は、このSIP中にさまざまな大学受験のためのプレップスクールが行っているウェビナーに参加しました。それらカレッジカウンセラーや大学のアドミッション・オフィスの人たちの意見を総合すると、SAT/ACTテストは、たとえオプションであっても、できる限り、受けた方がよい、ということでした。例年と違い、テストを受けるために大変な思いをしなくてはならないこと、そして出費もかさむことは、誰もが分かっています。しかし、それを押してでも、大学受験のために、遠くのSAT/ACT 受験会場までテストを受けに行った、飛行機に乗って、泊まりがけでテストを受けに行った、ということが、すなわち、大学側にとって、やる気のある生徒、とみなしてもらえるというのです。オプションだから、やらなくてもよい、ではなくて、オプションのものは、全部取り組む、という姿勢が、あなたをワンランク上の受験生へと押し上げてくれるでしょう。合格通知をもらうためには、何万人もいる受験生の中から、あなたを選んでもらわなくてはならないのです。そのためには、できることはすべてやる!という意気込みが大切です。

また、どんな大学が自分に合っているのか分からない、という人は、まずは、高校の先輩や、身近にいる大学生の友人や知人に、いろいろ聞いてみましょう。彼らが通っている大学はどんな大学なのか、授業はどんな様子で、他の学生たちはどんな人たちが多いのか、大学に入って、これまでと何が変わったのか、楽しいことはどんなことか、また高校時代と比べて大変なことはどんなことか、など。きっと彼らの話の中から、自分に合った大学を見つけるヒントが見つかることでしょう。学生数が何万人もいる大きな大学、University で学びたいのか、あるいは、もっと少人数のリベラル・アーツ系の大学で学びたいのか? 大学の専攻分野が決まっている人は、それらの専門分野での評価が高い大学を選ぶのも一案です。〇〇大学は、総合ランキングでは上位ではないけれど、自分の勉強したい分野では、とても評価が高い、というのは良いニュースです。そのような大学は、その分野では設備が整った環境で、よい教授陣が質の高い授業を提供してくれることでしょう。周囲のステレオタイプの情報に惑わされず、自分の直感や思考を信じて、興味のある大学をリストアップしてみましょう。きっとその中にあなたが行きたいと思う大学が見つかるはずです。

 さて、次回は、アーリーアドミッション(早期出願)についてお話しましょう。これら大学に関するコラムが、少しでもあなたの大学受験のヒントになれば幸いです。