第72 回 :☆ソーシャルセキュリティーとは?その2☆

 前回は、アメリカの公的年金制度であるソーシャルセキュリティーの仕組みや老齢年金Retirement Benefits の受給資格についてお話いたしました。今回は、Retirement Benefits の算出方法やその他のBenefit についてお話していきます。

 前回、受給開始のタイミングによって受給金額が増減するとお話ししましたが、そもそもの受給金額の算出には過去35 年間の収入(35 年以上働いている方は、もっとも収入が高い35 年分)の平均値が使われます。この時、35 年前から現在までの貨幣価値がなるべく等しくなるように毎年のインフレーションも考慮されて計算がされます。

 また、働いた年数が35 年に満たない場合でも分母は35 年(420 ヶ月)で計算されますので働いた期間が短いほど受給金額は少なくなります。

 また社会的弱者を守るための制度であるため、過去の収入からRetirement Benefits への置換率(還元率)は、低所得者のほうが高所得者に比べて高くなるように設定されています。下記が現在の年収で35 年働いた場合の受取額の目安と置換率野表です。

 2021 年のRetirement Benefis の平均受給額は$1,513.26 月、Retired Couple の平均受給額は$2,559/ 月です。

障害年金(Disability Benefits)

 Retirement Benefit を受給する前に、本人は「Disabled」となってしまった場合に障害年金を受給できる可能性が生じます。ソーシャルセキュリティーのDisability の条件民間の保険会社のDisability の条件と比較しては非常に厳しく定義されています。1 年以上Disabled であることに加え様々な審査をクリアする必要があります。また、受給が認められるためにはDisabled である条件に加えて「最近まで働いていること」「十分な年数働いていること」も満たす必要があります。こちらは若者であるほど条件は易しく例えば24歳の方であれば3 年のうち1.5 年以上働いていれば2 つの条件を満たします。50 歳の方の場合は過去10 年のうち5 年以上働き、かつ合算で7 年以上働いていることが条件となります。

 Disability と認定を受けた場合、本人以外にも62 歳以上の配偶者、16 歳以下の子のいる配偶者、19 歳未満の子供、22 歳以前にDisability の認定を受けた18 歳以上の子供もBenefit を受け取ることが可能です。

遺族年金(Survivors Benefits)

 ソーシャルセキュリティーTAX を支払っていた方が亡くなった時、残された配偶者(あるいは子供)は死亡一時金として$225 が支給され、受給要件をみ致す場合には遺族年金を受給出来ます。受給に必要なクレジットは年齢によって異なりますが、10 年以上働いていれば必ず受け取れます。10 年に満たない方も、最低3 年のうち1.5 年以上働いていれば特例による受給が可能です。

 このBenefit は収入によって決まり、受取る方の年齢や本人との関係によって計算されます。遺族年金の該当者は以下のとおりです。

• 60 歳以上の配偶者(または50 歳以上で障害のあり配偶者) 

• 16 歳以下か、障害のある子供のいる配偶者(年齢問わず) 

• 10 年以上の婚姻期間があり再婚していない、60 歳以上の元配偶者(または50 歳以上で障害のある元配偶者) 

• 16 歳以下か、障害のある子供のいる元配偶者(年齢問わず) 

• 18 歳以下の未婚の子供(12 年生までのフルタイムの学生の場合19 歳以下) 

• 22 歳以前にDisability の認定を受けた18 歳以上の子供

• 62 歳以上で扶養していた親

 ソーシャルセキュリティーには万が一のときの様々な保障があります。これを機に、自分にはどのような保障を受ける資格があるのか、把握しておきましょう。