アメリカには様々なリタイアメントアカウントがありますが、今回は 「節税」という意味で使えるリタイアメントアカウントの一つであるTraditional IRAとAfter TAXのお金で積み立てていくRoth IRAについてご紹介したいと思います。
リタイアメントプランの中で401(k)は雇用主によって提供されるプログラムであるのに対し、通常よく話に出てくるIRAは雇用主とは関係なく、銀行口座のように個人が自分で開くものです(個人IRA)。銀行、証券会社、保険会社、ミューチュアル・ファンドの多くが、IRAプランを提供しています。
Traditional IRAについて
Traditional IRAを積み立てる資金は、所得税控除の対象となり毎年の税金を節約することが可能です。また、投資の利回りにかかる税金が、老後に資金を引き出すまで遅延される(tax deferred)ということです。反対に、IRAの欠点は、引き出し時にその時点の所得税率によって税金を払うことになることと、あくまでもリタイアメント資金としてのTAXの優遇ですので、もしも59歳半前に引き出したり、その他一定条件を満たさない引き出しをすると、10%のペナルティが課せられます。また、70歳半になった時点で、必要の有無にかかわらず、必ず最低額を引き出し始めねばならないという規定もあります。
Roth IRAについて
Roth IRAはAfter TAXのお金で積立をするプランですので、現在の所得税の控除を受けることは出来ません。ただし、老後に受け取るときには利回り部分を含めた全額をTAX Freeで受取る事が可能です。老後の税率に左右されず、目減りすること無く確実に受け取れるのは強みです。また、積立部分のお金はいつでも自由に引き出すことが可能です。(利回り部分に関しては59歳半前に引き出すとペナルティーがかかります)。また70歳半以降の引出ルールもないため相続対策としても使うことが可能です。
IRAの運用先
IRAは、401(k)などと同様、貯蓄・投資をするための枠組みプランです。IRAという枠組みのなかで、金融機関の提供する投資媒体を選択し、貯蓄・投資をしていきます。一般的に、401(k)を通して選択することができる投資媒体に比べて、IRAを通して選択できる投資媒体のほうが多種多様であるという利点があります。
IRA積立のルール
個人で開くIRA(Traditional、Roth、Nondeductible IRA)への積立は合計で、一年につき$5,500(2016年度の限度額。50歳以上であれば、$6,500)までです。ただし、収入がこれ以下である場合、収入が限度額となります。
また、働いていない配偶者でも、一定の条件を満たせばIRAに積み立てることが可能です。職場で401(K)プランなどのリタイヤメントプランに参加されている場合、総所得がIRSに定められる基準を上回ると、積立はできても、所得控除の対象から外されてしまいますので注意が必要です。
まだ間に合う?税控除
Traditional IRAの最大のメリットは、積み立てる資金は、所得税控除の対象となることです。たとえば、所得税ブラケットが25%の人が$3,000を積み立てる場合、$3,000×0.25=$750の所得税が節約できることになります。
IRAには収入の上限はありますが個人でアカウントを開設することが可能で、また積み立ては一年を通していつでもできます。締め切りは通常、翌年の4月15日(年によっては多少ずれることもあり)です。2016年のIRAへの積み立ての締め切りは2017 年4月15日です。つまり2017年の4月15日に$5,000積み立てたとしても、2016年のタックス・リターンで税控除を受けることができるということです。とはいえ、締め切りぎりぎりにならないように早め早めに動くことをお勧めいたします。