先日、「Amazonは『リアル』にもやってくる」と、内部文書から分かったAmazonの2,000店舗の食品スーパー参入計画の噂。それが Amazon Goだったというわけです。すでにご覧になった方も多いとは思いますが、まずはAmazonが発表したAmazon Goの動画、www.youtube.com/watch?v=NrmMk1Myrxcをご覧ください。
来年本社があるシアトルで一号店がオープンする予定だというAmazon Goに関しては、Amazonから提供されている情報は、この動画と少ないQ&Aだけで詳細は分かっていません。 しかし、2014年に申請され2015年に公開されている特許を元に、USA Todayがその仕組みを推測しているので、ご紹介したいと思います。
「センサーの組み合わせ」で実現した完全レジなし体験
① 入店 : まずは入店です。入店時には専用のアプリで発行されるバーコードをスキャンします。加えて、カメラなどのセンサーで入店者を特定します。これは通常の利用 者の決済に利用されると同時に、万引きなどの防止につながる仕組みになっています(店舗内での行動が常にトラッキングされているし、仮に店外に出てもクレ ジットカードから引き落とすことが可能)。
② 商品選択 : 棚から商品を選択すると、カメラがその商品のパッケージを認識して商品を特定します。画像認識は今回のre:Inventでも発表されましたが、2年前に Amazonが発売したスマホ(全く売れなくてすでに発売中止されています)にFireflyという名称で、すでに画像認識機能が搭載されていました。こ のレジなしコンビニは4年前から計画されていたようですから、当時からこうした活用も想定されていたのでしょう。
③ 商品選択 : また商品のパッケージだけでなく、「ユーザの手」も認識するようです。商品を手に取ったのか、戻したのかまで判別します。肌の色は個人でかなり違うということで、隣にいた人が同じ棚から商品を取り上げた時の識別などにも使われると想定されています。
④ 商品選択 : また店内には「カメラ」だけでなく「マイク」も多数設置されており、詳細な位置を音から特定するようです。音声認識技術は、こ存じ300万台以上を売り上 げた大ヒット商品AmazonEchoのコア技術の一つでもあり、Amazonが近年力を入れている技術です。カメラそしてマイクが何個設置されるのかは 分かっていませんが、店内にいる間どこをどのように動いているのかというものすごく詳細な情報が蓄積されることになりそうです。
⑤ 商品選択 : また、棚の側にも赤外線、圧力、重量センサーなど多数のセンサーが設置されており、商品の数や移動などを詳細にトラッキングしているようです。
⑥ 決済 : そして、支払いは出口のゲートを通過するだけ。Amazonのアカウントから購入した分が自動で引き落とされます。
あくまでこれらは特許の内容をベースにした推測に過ぎませんが、確かに技術的には十分に実現できそうな仕組みになっていそうです。
通常こうした仕組みが議論される際にRFIDの利用が検討されますが、単価の低い商品全てにRFIDを貼るというアプローチではないようです。 ただ、気になるのはコストです。センサーだけで処理をすると考えると精度を担保するためにもかなりの数のセンサーが必要なはずで、設置のコストはかなりか かりそうです。ただでさえ利益率の決して高くない食品スーパーのカテゴリーで、本当にビジネスとして成り立つのかは疑問も残ります。
実際数ヶ月後にはお店がオープンするので、詳しくはそれからということになりそうです。