戦争をやめる方法
戦の字の左は二股の矢で、右は矛の形。争は腕で引き合う形です。方の字は農具で、法の左は水で、右は昔裁判に用いった物。
大昔から人間は中々戦争をやめられません。日本の江戸時代には270年間戦争はありませんでしたが、その後多くの戦争があり、数え切れない人々が犠牲になりました。いかにして戦争を止める事が出来る方法があるか考えてみたいものです。
山下清画伯は人に連れられて、かつて第二次世界大戦で多くの犠牲者を出したグアム島に行きました。彼をグアムに連れて行った人は,彼に絵を描かせてお金にする為でした。しかし彼は人に頼まれてもだめで、自分から描きたいと思わないと描けない人でした。彼に絵を描かそうと強制するので、山下師はグアムのジャングルの中に逃げてしまいます。そこで出会ったのが、日本人残留兵でした。戦後25年経ってもまだジャングルの中には日本人の兵隊がいたのです。山下師はその兵士の住処に連れて行かれます。
山下師はその兵士が外に出て日本に帰る様にすすめますが,どうしても投降しません。其れで,山下師は東京の敗戦の状況や、富士山の絵を描いて彼に見せます。
富士山の絵を見て日本を懐かしく思い出し、涙を流します。山下師は彼に「人はなぜに多くの人を殺しあう戦争をするのか。両国の長が集ってジャンケンをして勝負を決めたらどうか」と言います。彼はそれを聞いて、今まで考えたことのない考えですから、とても感心します。
兵士は山下師との出会いで心を動かされますが、とうとう投降する事はありませんでした。世界中では今も戦争をしています。特に今、ロシアとウクライナ間では激しい戦闘が行われています。山下師が言う様に,両国の長が集い、ジャンケンで勝負を決めれば、多くの人が死んだり、家族がバラバラになることはないでしょう。人間は何千年という間戦い,苦しみ続けたにも関わらず,まだそこから学んではいないのです。
ジャンケンで勝敗を決めるのは、まるで子供のすることのようですが、実はとても崇高な考えで,人類はそのような事が出来るまで、これからも何百年も飽きる事なく、戦争を続けて行く事でしょう。私達は人間の我や欲を離し、この山下画伯の様な純粋な心にかえる必要があるでしょう。
*故人の 山下清画伯は日本のゴッホと呼ばれた方で、独特な画法で人々に感銘を与えられました。裸の放浪画家と呼ばれ、美を求めて日本中を,時には海外にも出かけたエピソードは映画化されました。