第43回 アメリカのコンサヴァトリー(音楽院)について <SFCM編>

 みなさま、こんにちは。シリコンバレーでピアノ教室を主宰している、有座なぎさです。「音楽教育のススメ」と題したコラムを毎月第四週目に担当させていただいています。

  今回は、我らが地元、SFにある、サンフランシスコ・コンサヴァトリー・オブ・ミュージックについてご紹介したいと思います。来年、創立100周年を迎える、San Francisco Conservatory of Music(以下SFCM)は、サンフランシスコ市街地の文化施設が立ち並ぶエリアにあり、SFベイエリアのクラシック音楽界を牽引してきました。近隣にはサンフランシスコ・シンフォニーの拠点であるDavies Symphony Hall、SFオペラハウス、SFバレエ、SF Jazz、City Hall、Civic Center Plaza、SFライブラリーなどが徒歩圏内にあり、さながらNYのリンカーンセンターのSF版とも言える環境です。また、2020年秋には、巨額の寄付を得てOak Streetの本館から徒歩数分のディビス・シンフォニーホールの真向かいに、二つ目の校舎である、The Bowes Centerを設立しました。二つのリサイタルホールの他、レコーディングスタジオも兼ね備え、最新の機器と設備が揃っています。

San Francisco Conservatory of Music
The Bowes Center (2020年設立)
SFCM周辺 MAP

  SFCMの始まりは、およそ100年前の1917年、ピアニストのAda ClementとLillian Hodgheadが、自宅を解放して音楽学校を始めたのがきっかけで、その後、1923年にSan Francisco Conservatory of Musicとして正式に開校しました。その五年後、1928年に、一つ前の校舎であるOrtega Streetへ移転し、2006年に現在のOak Streetの校舎へと移りました。余談ですが、筆者の子供がSFCMのバイオリンの先生に習っていた時に、初めてリサイタルを経験したのが、Ortega Streetの校舎でした。風格のある建物ではありましたが、如何せん、古い建物であったため、校内は暗く、リサイタルホールもあまりパッとしませんでした。それゆえ、現在の新しいOak Streetの校舎に初めて足を踏み入れたときには、そのモダンな造りに目を見張り、とても興奮したのを覚えています。ちなみに私の子供たちは二人とも、SFCM Pre-Collegeの卒業生です。

Ortega Street時代の校舎

 SFCMは、高校生以下の生徒たちが通う土曜日のPre-Collegeクラス、そして、Conservatory本体である、大学、大学院(マスター、アーティスト・ディプロマ)の各コースを有し、特にChamber Music(室内楽)では、優秀な成績を収めています。卒業生には、ピアニストのJeffrey Kahane (ʼ77)、バイオリニストのAmy Schwartz Moretti (ʼ94 pre-college)、Peabody Trioのピアニスト、Seth Knopp (ʼ88)、などがいます。コンサヴァトリ ーの学生数は、およそ460名、そのうちの99%が何かしらのスカラシップを受けており、校舎から徒歩数分のところに近代的なアパートタイプの寮が完備されています。将来音楽の道を目指している、生徒のみなさんは、全米屈指の近代的設備を備えた、地元SFCMで音楽を学んでみてはいかがでしょうか。

SFCM Hume Concert Hall
Penthouse Recital Hall

San Francisco Conservatory of Music https://sfcm.edu