今回は、アメリカの65歳以上の方向けの健康保険として知られているメディケアの仕組みについてです。メディケアとは、65歳以上の高齢者及び障害者のための健康保険で、連邦政府が運営している制度です。メディケアは、Part A、PartB 、PartC、PartD、MediGap(Medicare Supplement)などの各パートに分かれていて、それぞれ保険の適用範囲が定められています。Part AとPart Bは「オリジナルメディケア」と呼ばれ、もっとも古くから存在し連邦政府により直接提供される部分です。
【オリジナルメディケア】
PartA:入院費用、ホスピスケア費用、在宅ケア費用をカバーします。
PartAはアメリカで10年以上働き納税をしていれば、無料で受けることができます。また、働いたことのない配偶者も妻や夫のクレジットを使って加入可能です。受給にあたっては一部の場合を除き、ご自身での申請が必要になっています。
無料でPart Aを得る資格がなくても、一定の基準(65歳以上でPart Bに加入しており、市民権or5年以上居住のグリーンカード保持者など.)を満たしていれば、納税期間に応じて$232もしくは$422(2018年度)の月額保険料を支払うことで加入可能です。
PartB:入院以外の外来医療(検査やリハビリ、救急車等)をカバーします。
PartBは、Part Aがカバーしない費用の大部分をカバーします。月々の保険料は基本的に$134(2018年度)ですが、所得に応じて保険料が高くなります。受給にあたっては決められた申請期間内の手続きが必要です。PartBは予防医療の費用など全額カバーするものもありますが、基本的に医療費の20%を自己負担(Coinsurance)、残りの80%をメディケアがカバーします。
*65歳以上で、他に加入している保険がない状態でメディケアに加入しない場合Late Enrollment Penaltyとして1年ごとに保険料が10%上乗せされ、それが一生涯続きます。
【オリジナルメディケアでカバーされないもの】
Deductible(保険会社免責額)
Part Aでは一回の入院につき$1,340、Part Bの年間$183のDeductibleがあり、自己負担となります。
Part Bの20%Coinsurance、Excess Charge
先述の通り、PartBに加入していてもほとんどの医療費に20%の自己負担(Coinsurance)が発生します。自己負担金額にOut Of Pocket Limit(上限額)がないため検査・診断・治療が重なるとかなりの高額の自己負担になってしまう可能性もあります。また、医師やクリニックによって通常の20%の自己負担に加え、追加料金を負担せねばならない可能性があります。(Excess Chargeの上限は15%です。)
・処方箋(Drug)の費用
・歯科、視力矯正、聴覚関係の費用
・長期介護費用
・代替医療費用
(一部の例外を除いたChiropractor・Acupunctureなど)
・米国以外の国での医療コスト
次回は、これらのオリジナルメディケアのカバーされない穴(gap)を埋めるために、利用することができる各種プランについてお話していきます。