新総領事 / 宇山 智哉

人と人、コミュニティ同士の橋渡しが領事館の役目の一つ

今年二月に在サンフランシスコ日本総領事館の総領事として着任された宇山智哉氏。世界中の様々な国に赴任し、外交官として日本政府を代表して赴任国の政府 と交渉したり、経済関係の仕事に携わることが多かったという宇山新総領事。外交官として生きる道を選んだ理由や総領事としての抱負などについてお話を伺っ た。

外務省で働く道を選ばれたきっかけは何ですか?

私の親は第二次世界大戦を経験した世代で、色々な意味で子供の頃から国際関係に興味があり、日本を出て外国と関わるような仕事がしたいと思ったことがきっ かけです。大学3年生の時に、初めてアメリカに来てホームステイをしたのですが、それがベイエリアのマリンカウンティでした。サンフランシスコやバーク レーなど、様々な場所を訪れ大変貴重な思い出になっております。

これまで、様々な国に赴任しておられますが、サンフランシスコならではの魅力は何だと思われますか?

赴任してまだ1ヶ月程ですが、太平洋を隔てた遠い地であるにも関わらず、経済、文化、政治、教育交流など、本当にあらゆる面で日本との繋がりが非常に深いと感じています。また、人種の多様性も大きな特徴だと思います。

これまでの任務で特に印象に残っていることは、どのような事がありますか?

今までは基本的に日本政府を代表して赴任先の政府との交渉など、外交官同士のやりとりが多くを占めていました。総領事館での仕事は今回が初めてなのです が、ここに住んでおられる方々と直に接する機会が多く、私にとっては新しい経験です。先日、私共が主催した「年賀状コンテスト」の表彰で、日本語プログラ ムのあるサンフランシスコの現地校を訪れたのですが、生徒さんが一生懸命日本語を勉強して、日本語で年賀状を書き、「さくら、さくら」や「気球に乗って」 など日本の歌を歌って下さいました。外国の文化を吸収しようという異文化に対する懐の深さが印象的です。

在任期間中のミッションを教えて頂けますでしょうか。

在任期間が通常数年と限られているので,大それたことは出来ないとは思いますが、咸臨丸がサンフランシスコに来航した1860年以降、日系人が苦難の歴史 を経て築きあげて来られた、アメリカ社会における日本への信用や評価をいかに発展させるか、皆様と一緒に模索しながら、全力で取り組んで参りたいと思いま す。また、日本文化は生け花などの伝統文化もあれば、J POPや漫画など引き出しが非常に多く、アメリカの幅広い世代から関心を集めています。日本文化が、アメリカの文化に貢献する価値ある要素として高く評価 される為の活動をより深めていく所存です。

ミッション達成のために、具体的にどのような取り組みを考えておられますでしょうか?

赴任してまだ1ヶ月程なので、どういう部分に更に伸び代があり、どこにもっと光を当てる必要があるのか模索中な部分もあります。総領事館だけで何かを成し 遂げるということではなく、例えばこちらでビジネスを展開している日系企業に対し、もう一歩地域に踏み込んで関わって頂けるようサポートしたり、日系人の 方々と更に交流を深めたり、アジア諸国の方々と、もう一歩進んだ協力関係を築く方法等を思案中です。総領事館は様々な人と接点がありますので、これまで同 じ場所にいながら結びついていなかった人々を結びつける役割を担って参りたいと思います。

シリコンバレーのようなイノベーションを日本で起こしていくためには、どのような取り組みが必要だと思われますか?

新しいことを生み出す起業家を支援する土壌、失敗を許容する文化などは、この地域で長年培われてきた伝統で、一朝一夕にして出来るものではなく、簡単にあ る公式を当てはめれば出来るというものでもないと感じています。日本の伝統的な経済活動や研究のやり方と比較すると、あまりにも違う点もあるようですし、 まずはシリコンバレーで起こっていることをよく理解する必要があると思います。総領事館としては、各界における日本とシリコンバレーの交流を促進したり、 ここで起こっていることを日本に伝えるといった役割の一旦を担う必要があると考えています。そのようなきっかけを増やす方法を模索しながら、才能ある方々 が活躍できる環境を整えるお手伝いをしていきたいと思います。

今後の日米関係は、どのような事を大切にしていくべきでしょうか?

日米間には強い同盟関係があります。東アジアの政治的安全保障情勢は油断のできない難しい問題を抱えており、日米関係を強化していくことが、これほど重要 な時期はないと言えます。また、日米関係がこれほどしっかり結びついた時期もなかったのではないでしょうか。政府と政府の関係といえども、それを支える国 民同士の結びつきも非常に重要だと思っており、日米の国民同士の架け橋となることも総領事館の役目だと思っています。歴史上、カリフォルニアは日米関係に おいて非常に大きな役割を果たしてきたので、日カリフォルニア関係を強化していくことが日米関係の強化に繋がると考えています。

サンフランシスコ滞在中の休日の楽しみは何でしょうか?

音楽鑑賞やスポーツ観戦などでしょうか。アメリカンフットボールは細かいルールは分かりませんが、素早い動きやフェイク、激しい部分があって非常に魅力的なスポーツですね。カリフォルニアには素晴らしいワイナリーもありますので、機会があれば是非行ってみたいです。

ベイエリアの日系コミュニティーに対してメッセージをお願いします。

サンフランシスコ到着直後にコルマの日本人墓地を訪問いたしましたが、何世代にも渡って日系人の方々が築き上げて来られた信用が、今日のアメリカ社会で多 方面に渡り日系人や日本人が活躍出来る基盤になっているということを忘れてはならないと強く思います。また、日系人や日本人の皆様方におかれましては、 色々な立場で活躍されておられる方がいらっしゃいますが、それぞれの分野でさらにご活躍頂けるよう支援して参りたい所存です。総領事館は人と人、コミュニ ティとコミュニティを繋げていく立場にありますので、アメリカ社会における日系あるいは日本人コミュニティの在り方について、皆様方と一緒に考えながら、 新しい時代に見合った形に発展させていければと考えております。

宇山智哉
1963年生まれ。一橋大学法学部卒業後、1986年外務省入省。エジプト,フィリピン、韓国等の日本大使館や在ジュネーブ国際機関日本政府代表部での勤務を経て、2018年2月に在サンフランシスコ日本総領事として着任。