小粥(おがい)はるか
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資格老齢年金としてのソーシャルセキュリティーについて
今回は、リタイア後の資産運用を考える上で、非常に大切なアメリカの公的年金制度であるソーシャルセキュリティーについてお話していきたいと思います。
老齢年金(Retirement Benefits)以外にも、障害年金(Disability Benefits)や遺族年金(Survivors Benefits)、低所得者保障(Supplemental Security Income)などもありますが、今回は老齢年金に絞ってお話をしてきます。
◆ソーシャル・セキュリティーTAX
ソーシャルセキュリティーの給付を受けるためには、働いて税金を払いソーシャルセキュリティー「クレジット」を積み立てて行く必要があります。
2020年度は1クォーター(3ヶ月毎)に$1,410を稼ぐごとに1クレジットが貯まり、年間4クレジットまで貯められます。
会社員の場合は、給料から天引きで徴収されています。ソーシャルセキュリティー税12.4%を雇用主と雇用者で半分ずつ折半して負担しますのでソーシャルセキュリティー税6.2%を負担しています。2020年のソーシャルセキュリティーの課税対象収入の限度額は$137,700でこれを超えた部分は課税対象になりません。自営業者の場合、ソーシャルセキュリティー税12.4%を負担します。
◆Full Retirement Age
後述するBenefit の受給資格を満たしていれば、最短62歳からRetirement Benefitとして毎月の年金を一生涯受けとることができます。
ただし、老齢年金を満額受給できる年齢(Full Retirement Age)が生まれた年によって定められており 1960年以降の生まれの方は67歳となります。もしも62歳から繰り上げ受給をした場合年金が30%減額されてしまいます。(配偶者ベネフィットの場合35%減額)
また、それとは反対に70歳まで繰り下げ受給をした場合年金額が24%増額されます。(配偶者の場合はFull Retirement Age以降繰り下げても増額はありません。)
◆Retirement Benefitの受給資格
納税者本人…40クレジット(約10年分)貯まっており、62歳以上であること
※日米社会保障協定により、①米国で1年半(6クレジット)以上働き納税をしていて、②日米での年金加入期間が10年(40クレジット)以上ある場合にもソーシャルセキュリティーの受給資格があります。
<納税していた本人以外に老齢年金を受け取れる方>
・62歳以上の配偶者(16歳以下の子供がいる場合年齢不問)
・18歳以下の未婚の子供
・離婚した元配偶者(10年以上の婚姻期間があり、かつ62歳以上)
◆Retirement Benefitの受給額の計算方法
ソーシャルセキュリティーの受給金額の算出には過去35年間の収入(35年以上働いた方は、最も収入が高い35年分)の平均値が使われます。この時、35年前から現在までの貨幣価値がなるべく等しくなるように毎年の物価上昇も考慮されて計算されます。働いた年数が35年に満たない場合でも分母は35年(420ヶ月)で計算されますので働いた期間が短いほど受給金額は少なくなります。
また、社会的弱者を守るための制度であるため、過去の収入からRetirement Benefitへの置換率は、低所得者のほうが高所得者に比べて高くなるように設定されています。
2020年度のRetired Workerの平均受給額は、$1,503/月、Retired Coupleの平均受給額は、$2,531/月です。また、物価上昇に対応できるよう、COLA(Cost of living adjustment)によって毎年金額が調整されています。
◆棚ぼた防止規定(Windfall Elimination Provision)
先述したとおり低所得者のほうが高所得者に比べて置き換え率が高くなるように計算されるため、ソーシャルセキュリティーの支払期間が10年以上かつ30年に満たない方の場合、日本の年金のように他の年金も同時に受給するとソーシャルセキュリティーの年金額が減らされるというルールがあります。2020年は最大$480が減額されます。
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