「戸建て」と「マンション」高齢者にとってどちらが住みやすい?
最近は、子供がいる・いないにかかわらず、老後を自由にイキイキと生活するライフスタイルを望む高齢者が増えています。
家族に迷惑をかけずに元気に楽しく暮らす。それが、これからの高齢者の生活スタイルになるといえるでしょう。
ただし、高齢で夫婦だけ、もしくはひとり暮らしをするとなると、体調を崩したときや、足腰が悪くなったときのことを考えた住宅選びが重要となります。
そこで、老後を快適に過ごすには、戸建てとマンションのどちらがよいのか考えてみましょう。~目次~
1.高齢者の住まいのポイント
2.メリットが多いのはマンション?それとも一戸建て
3.都市部か郊外か?立地も重要なポイントです
4.高齢になったら都心部のマンションが理想的!
高齢者の住まいのポイント
老後の住居を考える際に押さえておきたいポイントは、「住みやすさ」、そして「安全性」。身体にかかる負担を最低限に抑えられること、そして、体調不良など万が一のときにも生活を継続できることが重要です。
これらを踏まえて、高齢者にとって安心できる住まいのポイントを挙げてみましょう。
◆段差がなく転倒を防ぐ造りになっていること
階段がなく、バリアフリーになっていたり手すりがついていたりすることが大事です。浴室は滑らない材質が使用されているかも要チェック。今は必要ない状態だとしても、先々のことを考えて、安全性を重視した環境にしておく必要があります。
◆部屋の設備が整っていること
高齢になると、将来、認知症などのリスクが高まることもあり、念のためにも火を使わない生活が理想的。IHが導入されていると安心です。
◆住まいの手入れなどの負担が少ないこと
生活に必要な家事だけでも高齢者にとっては重労働。家の外観や庭など余計な負担がかからない住環境が理想的です。
◆病院が近くにあること
体調を崩したときに、徒歩圏内に病院があると安心です。個人病院(内科、整形外科、歯医者、接骨院など)だけでなく、救急病院の場所なども確認しておくとよいでしょう。
◆スーパーなどの店舗があること
徒歩圏内に食料品、生活用品を購入できる店舗があるかどうかも重要なポイントです。
高齢者にとってメリットが多いのはマンション?それとも一戸建て?
高齢者が安心・安全に生活を続けていくために、一戸建てからマンションに住み替えるケース、ファミリータイプのマンションからコンパクトなマンションに住み替えるケースが多くあります。
高齢者の住まいのポイントや、一戸建て、マンションそれぞれのメリット・デメリットを踏まえ、その理由を考えてみましょう。
一戸建てのメリット・デメリット
一戸建ての場合、マンションとは違い隣家とある程度の距離があるので大きな騒音トラブルが起こりにくく、管理費や駐車場代など、毎月かかる経費もありません。管理規約に縛られることもなく、庭があればガーデニングなども楽しめます。
このように、自由な暮らしを形成することか可能な反面、わずらわしい点もあります。建物の修繕が必要になったときにまとまった費用がかかりますし、2階建て以上の建物の場合、階段の上り下りが身体に負担となります。
また、楽しめる庭も、春夏には雑草の種が飛んだり植木の枝が伸びたりして近所に迷惑をかけることも。雪が降ったら雪かきをしなければならず、それが原因で足腰を傷めたり滑って怪我をしたりすることもあります。セキュリティに関しても、自分で施錠などの管理をしなければならず、安全性に欠ける部分もあるでしょう。
マンションのメリット・デメリット
マンションは一戸建てとは違い、管理費や修繕積立金、駐車場など毎月出ていく出費が発生。管理規約の範囲で生活する必要があるので、ペットが飼えないなどの制約も出てきます。上下左右の世帯との騒音トラブルに悩むこともあるでしょう。
しかし、共用部分の清掃や修繕については、管理会社が管理してくれるので手間がかかりません。2階以上の庭がないタイプであれば、手入れも必要なし。エレベーターがついているマンションであれば移動も楽ですし、生活スペースはワンフロアとなり、階段の上り下りによる身体への負担もありません。マンションによっては、ゴミ出しが24時間可能な専用スペースも用意されており、まさに鍵1本あればOKという利便性が高い暮らしが実現します。
都市部か郊外か?立地も重要なポイントです
年を重ねると身体機能が低下してくるため、住居はもちろん、生活していく上で便利なところを選ぶ必要があります。
郊外であれば静かに生活できるというメリットがあるので、元気なうちはよいかもしれませんが、交通の便がよくないところが多いので、車がないと不便なことも。しかも、高齢者の運転はリスクを伴うため注意が必要ですし、車を所有せずに足腰が弱くなると、ちょっとした外出にもタクシーを使わなければならなくなります。
都市部であれば交通の便がよいため、駅に近い、もしくはバスで出やすい場所であれば、どこに行くにも便利。子供や友人の家に遊びに行ったり、観光に出かけたりする際も、楽に移動できるでしょう。
高齢になったら都心部のマンションが理想的!
子どもがいるうちは、庭で遊ばせることができ、近隣への騒音を気にすることのない一戸建てが理想の住まいといえますが、子どもが巣立ち、徐々に階段が上りづらくなったり、庭の手入れがしづらくなったりしてくると住みやすい住居のポイントが変わってきます。
その結果、一戸建てから安全性、利便性の高い「都心部のマンション」に住み替えることを選択する人が増えてくるようですが、住み替えのためにマンションを購入するのは、金銭的にも精神的にも大きな負担となりがち。もし失敗したら…という不安を抱えてちゅうちょする人もいるでしょう。
そのような方には、家を処分せずに、高齢者向けの賃貸マンションに住んで体験してみるという選択肢も…。
実際に住んでみて、やはり元の家に戻りたい場合は、いつでも帰ることができるので安心です。
また、身の回りのサービスを付加することが可能な「高齢者向け賃貸」を選択するのも1つの方法です。
高齢者向け賃貸なら、IHの導入、バリアフリー、緊急通報システムなど高齢者向けの設備が整っているので更に安心できるでしょう。
高齢になったら階段がなく、庭の手入れも必要ない住居が理想的。病院が近くにあり買い物も便利な都心部にある「マンション」や「高齢者向け賃貸」なら一年を通して安心・安全に生活できますね。
不安な方は、まずは数ヶ月の期間限定で試してみてはいかがでしょうか。
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(文:グッドライフシニア編集部 ライター大野 道代)