会計士・尾崎真由美氏に聞く【出国税について 】
専門家が解説!日本への帰国前に準備すべき出国税、FBAR、FATCAとは?
日本に帰国する前、多くの人が悩むのが、永住権・市民権の保持または放棄の選択。そこには税金が大きく関係してきます。会計士の尾崎真由美さんに、帰国前に気を付けるべき税金と申告について解説いただきました。
Expatriation Tax
実はかなり多くの日本人が、日本へ帰国する際、アメリカの永住権や市民権をアメリカ政府に返還しています。この際、気を付けたいのは、Expatriation Tax(出国税)と言う税金です。永住権または市民権を放棄する人が次のどちらかを満たせばExpatriation Taxの対象になります。
①過去5年の平均課税額が一定の金額以上(例:2015年は16万ドル以上)。
②全世界の財産の価値が200万ドル以上ある。
また、この税を払う前に、過去5年の確定申告書は提出し、納税を全て終えておく必要があります。
帰国前の節税
先ほど説明したExpatriation Taxのの条件①ですが、たとえ妻だけが永住権を手放すとしても、確定申告を夫婦ジョイントで行なっている場合、ジョイントの税額が対象になります。なので、永住権を手放すと決めた時点で、夫婦別で確定申告をするのは、一つの税金対策になります。
また401(k)を持っている場合、401(k)に最大限の財産を入れておくのは一案です。
401(k)は、その資産を引き出した時に課税されるので、Expatriation Taxの対象外になります。
なお、永住権や市民権を返還・放棄する場合、「Form 8854」という書類をIRS(内国歳入庁)に提出する必要があります。この書類を提出しなかった場合、罰金が1万ドルと高額なのでご注意ください。
FBARとFATCA
アメリカ国外にある財産が1万ドル以上の人は、FBARでアメリカ政府に毎年報告しなければいけません。そして、年末のアメリカ国外の金融資産の残高が5万ドル以上であれば、FATCAも必要になります。
Expatriation Taxを払う前に、過去5年の確定申告を提出していなければいけないので、これまでにFBARやFATCAの申告が全てなされているかを確認する必要があります。もし、していない場合は修正申告を行います。
また、永住権を保持したまま日本に帰国する人は、毎年、全世界の所得をアメリカ政府に対して確定申告する必要があると同時に、FBARとFATCAで全世界の資産をアメリカ政府に報告する必要があります。
FBARとFATCAの対象
FBARの対象は、その年の年末の口座残高です。お持ちの銀行口座の全口座の残高の合計が1万ドル以上の場合は全部の銀行口座を申告します。例えば、口座Aの残高が1000ドル、口座Bの残高が9000ドルだと、AもBも1万ドル以下ですが、合計すると1万ドルなので、両口座とも申告します。利子の額や有無は関係ありません。
FATCAの対象は、FBARの対象に加え、満期型の保険の口座や、証券、ゴールドなどの投資も対象です。仮に申告時点で残高がゼロだとしても、その口座が有効で、口座のアクセス権を持つ場合は、その年の口座の最高残高を申告します。
これまで申告をしてこなかった人が、罰金を回避できる条件として、未申告が故意ではないこと(Taxpayers must certify that conduct was not willful.)を証明する必要があります。IRSが監査を始めてしまうと、罰金の回避は難しいので、監査の対象になる前に、早めに申告をする必要があります。
弊社では、日本人であるお客様のビザ、収入、お住まいの州や国に合わせたサービスの展開と料金をご用意しております。特に、過去のFBARの申告は、申告書作成が煩雑で、申告に制限もあり、個人では対応が難しいと思います。私たちは代理人として、書類の作成から提出まで全て対応していますので、心配な方はご連絡ください。
Mayumi Ozaki(尾崎 真由美)
Todd’s Accounting Services
TEL: 877.827.1040
メール:[email protected]
ウェブサイト:1040ca.com