今回は、アメリカの公的年金制度であるソーシャルセキュリティーについてお話していきたいと思います。
ソーシャルセキュリティーはその名の通り、米国政府が行っている社会保障制度です。リタイアメント時にもらえる老齢年金(Retirement Benefits)のことだと思われる方が多いですが、その他にも障害を負って働けなくなった時の障害年金(Disability Benefits)や働き手が亡くなった場合の残された家族への遺族年金(Survivors Benefits)、低所得者保障(Supplemental Security Income)、メディケア(Medicare)など様々な保障制度があります。
ソーシャル・セキュリティー・TAX
ソーシャルセキュリティーの給付を受けるためには、働いて税金を払いソーシャルセキュリティー「クレジット」を積み立てて行く必要があります。2019 年度は1クォーターで$1,360を稼ぐごとに1クレジットが貯まり、年間4クレジットまで貯められます。
被雇用者の場合は、給料から天引きで徴収されています。ソーシャルセキュリティー税(12.4%)とメディケア税(2.9%)を雇用主と雇用者で半分ずつ折半して負担しますのでそれぞれソーシャルセキュリティー税6.2%、メディケア税1.45%となります。
2019 年のソーシャルセキュリティーの課税対象収入の限度額は$132,900でこれを超えた部分は課税対象になりません。メディケアは限度額の設定はなく、全ての収入が課税対象となります。
自営業者の場合、ソーシャルセキュリティー税(12.4%)とメディケア税(2.9%)のトータル15.3%を負担します。
ソーシャルセキュリティーの保障内容
❶ 老齢年金(Retirement Benefit) Benefit を受ける資格を満たしていれば、最短62歳からRetirement Benefitとして毎月の年金を受けとることができます。また、10年以上婚姻関係にあった配偶者も、配偶者のクレジットを使って最短62歳から年金を受け取る資格ができます。例え離婚をしていても、10年以上の婚姻関係があり再婚をしていなければ年金を受ける資格が維持されます。
生まれ年によって、Full Retirement Ageが定められており、1937年以前の生まれであれば65歳、1960年以降生まれであれば67歳、その間の生まれの方は65歳から67歳の間になります。
62歳から年金の受給資格はありますが、もしも62歳から年金を受け取った場合Full Retirement Ageで受け取る場合よりも30%減額されてしまいます。(配偶者の場合は35%減額)また、年金の受給は最大70歳まで繰り延べが出来、この場合はFull Retirement Ageで受け取る場合よりも24%増額されます。(配偶者の場合はFull Retirement Age以降の増額はありません。)
老齢年金の受給資格
● 納税者本人…40クレジット(約10年分)貯まると老齢年金受給資格を得ます。
※日米社会保障協定により、①米国で1年半(6クレジット)以上働き納税をしていて②日米での年金加入期間が10年(40クレジット)以上ある場合にも受給資格があります。
● 納税していた本人以外の老齢年金該当者
・62歳以上の配偶者
・16歳以下の子供がいる配偶者(62歳 以上である必要はありません)
・18歳以下の未婚の子供
・離婚相手(10年以上の婚姻期間があり、 かつ62歳以上)
次回は、ソーシャルセキュリティーの老齢年金の続き、その他のBenefitについて詳しく説明いたします。