☆節税に使える個人年金制度 (IRA) について☆
アメリカには老後に備えるための様々なリタイアメントアカウントがありますが、今回は個人で自由に加入ができ、 「節税」という観点で使えるリタイアメントアカウントの一つであるTraditional IRAとRoth IRAについてご紹介したいと思います。
リタイアメントプランの中で 401(k) や 403(b) などは雇用主によって提供されるプログラムであるのに対し、通常よく話に出てくるIRAは雇用主とは関係なく、銀行口座のように個人が自分で開くものです Individual Retirement Arrangements を略したものです。銀行、証券会社、保険会社、ミューチュアル・ファンドの多くが IRA プランを提供しています。
◆Traditional IRAについて
Traditional IRAを積み立てる資金は、所得税控除(Deduction)の対象となり毎年の税金を節約することが可能であり、さらに投資の利回りにかかる税金が、老後に資金を引き出すまで繰り延べられる(Tax deferral)ため節税しながら効率よく運用をしていくことが可能です。
そのようなメリットがある反面、Traditional IRAの注意点は、税金が引き出し時にその時点の所得税率によって税金を払うことになることと、あくまでもリタイアメント資金としての「TAX」の優遇ですので、もしも59歳半前に引き出したり、その他一定条件を満たさない引き出しをすると、引き出した金額に通常の課税がされた上さらに10%のペナルティが課せられます。また、72歳になった時点で、必要の有無にかかわらず、必ず規定の金額(Required Minimum Distribution)以上をを引き出し始めねばならないという規定もあり、こちらにも大きなペナルティー(引き出しをしなかった金額に対して50%)が課されます。
また、職場で401(K)プランなどのリタイヤメントプランに加入されている場合、総所得がIRSに定められる基準を上回ると、積立はできても、所得控除の対象から外されてしまいますので注意が必要です。(Nondeductible IRAとして積立は可能です)
◆Roth IRAについて
Roth IRAはAfter AXのお金で積立をするプランですので、現在の所得税の控除を受けることは出来ません。その代わり、老後に受け取るときには利回り部分を含めた全額をTAX Freeで受取る事が可能です。老後の税率に左右されず、貯めたお金が目減りすること無く確実に受け取れるのは強みです。また、自分で積み立てた部分のお金はいつでも自由に引き出すことが可能というフレキシブルさもあります。ただし、利回り部分に関しては59歳半前に引き出すと課税をされ、さらにペナルティーがかかります。59歳半を過ぎていても、開設から5年経っていない場合の引き出しはペナルティーの対象となるため注意が必要
です。
72歳以降の引出ルールもないため相続対策としても使うことも可能です。
また、401(K)プランなどとの併用も可能ですが一定金額以上の収入があるとRoth IRAへの積立は出来ません。ここにもペナルティーが生じますので注意しましょう。
◆IRAの運用先
IRAは、401(k)などと同様、貯蓄・投資をするための枠組みの名前です。IRAという枠組みのなかで、金融機関の提供する投資媒体を選択し、貯蓄・投資をしていきます。一般的に、401(k)を通して選択することができる投資媒体に比べて、IRAを通して選択できる投資媒体のほうが多種多様であるという利点があります。
◆IRA積立のルール
個人で開くIRA(Traditional、Roth、Nondeductible IRA)への積立は合計で1年につき$6,000(50歳以上の方であれば+$1,000可能)までです。ただし、収入がこれ以下である場合、収入が限度額となります。
また、働いていない配偶者も一定の条件を満たせばIRAに積み立てることが可能です。
◆税控除の効果はどれくらい?
先述したとおり、Traditional IRAのメリットは、積み立てる資金は、所得税控除の対象となることです。たとえば、所得税の税率(Tax Bracket)が 24% の方が $5,000 を積み立てる場合、$5,000×0.24=$1200 の所得税が節約できることになります。
これを20年、30年と長く続けるほど節税効果は大きくなります。
IRAには一定の条件はありますが、個人でアカウントを開設することが可能で、また積み立ては一年を通していつでもできます。締め切りは通常 Tax Return を済ませる前ですので翌年の4月15日(年によっては多少ずれることもあり)となります。2021年のIRAへの積み立ての締め切りは2022年4月15日です。つまり2022年になってから積み立てたとしても、2021年度のタックス・リターンで税控除を受けることができるということです。とはいえ、締め切りぎりぎりにならないように早め早めに動くことをお勧めいたします。
小粥 はるか(おがい はるか)
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