カリフォルニアには、世界中から才能あるワインメーカーたちが集まっています。
モレ・ファミリー・ヴィンヤード(Morlet Family vineyard)のオーナー兼ワインメーカー、ルーク・モレ(Luc Morlet)氏もそんな一人。ルーク氏は、シャンパーニュのピエール・モレ(Pierre Morlet)を造るモレ家の5代目として生まれ育ちました。長男として 幼い頃からモレ家の所有するブドウ畑やワイン造りを手伝い、大学ではワイン醸造学を学んで、ボルドーやブルゴーニュのワイナリーでも研鑽を積みました。Pierre Morletの跡取りとして着実に知識と経験を身につけていく中、フランス旅行中のアメリカ人女性ジョディと出会ったことで運命が変わります。彼女と結婚するために、Pierre Morletの跡取りを弟たちに託して、自身はジョディの出身地であるカリフォルニアへ移住し、そこでカリフォルニアワインの造り手として再出発したのです。
ニュートン(Newton)ワイナリーで醸造責任者を務めた後、ピーター・マイケル(Peter Michael)ワイナリーでトップクラスのワインを生み出し続けたことで、カリフォルニアを代表するワインメーカーの一人となります。そうして 2006年に満を持して立ち上げたのが、自身のワイナリー、モレ・ファミリー・ヴィンヤード(Morlet Family vineyard)。
「良いワインを造るには良いブドウ造りが肝要だ」とは、今やワイン造りの常識と言われていますが、特にカリフォルニアは分業体制がはっきりしていて、ブドウ栽培管理者とワインメーカーは別々であることが多いです。このため、ワインメーカーが実際にどれ程ブドウ栽培に手出し口出ししているのかはケースバイケース。
ルーク氏は、自家畑(生産量の2/3相当)は全て自身が管理責任者として、専属のスタッフを抱え、ブドウ栽培全ての指揮を自らとっています。残りの1/3は長期リースの畑からブドウを調達しているものの、細かい栽培方法から収穫まで全てルーク氏の方針が反映される契約になっているとのこと。また、収穫後の作業も、ブドウへの負荷を最小限に抑えるよう細部までこだわり抜かれていて、例えばブドウ果汁が最も自然な重力で流れるよう圧搾機の高さを改良しています。
そうして仕上げられるMorletのワインは、熟度と凝縮感がしっかりありながら、適度な酸度が保たれ、最小限の負荷で抽出された果汁らしい滑らかな口当たりの、洗練された贅沢な味わい。フランスとアメリカ両方での経験が適用された、ルーク氏ならではのワインと言えます。