パンデミックのワイン業界へのインパクト

コロナウイルス感染拡大防止のため、ベイエリアに外出・営業規制が発令されてから約半月。ワイン業界も大きな影響を受けています。

ワイナリーのテイスティングルームは営業停止となり、テイスティングルームの売上はゼロ。バーも営業停止、レストランも持ち帰りのみとなり、バーやレストランでワインが開くことがない。当然、飲食店へのワインの卸しがストップしています。

アメリカワイナリー連盟(The National Association of American Wineries)の試算によると、コロナウイルス・パンデミックの影響により、アメリカ全土のワイナリーが受けた損失は、3月だけで総額$400ミリオン以上にもなり得るとのこと。アメリカのワイナリーの8割以上はカリフォルニア州にあることを考えると、カリフォルニアワイン業界の損失も非常に大きいことが予想されます。

私もカリフォルニアワイン業界の中にいる者として、ワインのサプライチェーンの中の一端を担っている者として、とてもチャレンジングな状況であることを実感しています。特に、勤務しているワイン専門店はダウンタウンの中心にあるので、いつも世界中からこの街に来たお客様が、立ち寄ってワインを購入してくれるのが日常だったため、入国制限や外出制限で人がいなくなり、発令に従い店舗を閉めているこの半月は、店頭売上がないという厳しい現実と向き合っています。

一方で、この半月、アメリカ全体でインターネット経由でのワイン購入が急増しています。ワインの大手ネット販売店の売上は目覚ましく、競合ではあるけれど、同じ業界として頼もしい。ありがたいことに、私も日々ウェブサイトやEメールでの注文や問い合わせをいただき、ネット販売の必要性、重要性、可能性をこれまで以上に感じています。

外出が難しく家に篭る日が続き、パンデミックの収束が見えない不安もあって、気分が上がりにくい。そんな時だからこそ、日々のちょっとした楽しみに、気分転換に、お家ご飯をちょっと豪華に、、、ワインがこの日々を乗り越える一助となりますように。

【写真のワイン】
Liquid Farm, Chardonnay, Golden Slope, St. Rita Hills, 2016

Liquid Farmは、程よい熟度と酸味のバランスが良く、ブルゴーニュに慣れ親しんでいるヨーロッパ人からも定評のあるサンタバーバラのシャルドネの名手。銘醸畑の単一畑ラベルの方が高級扱いされる傾向にある中で、あくまで「味わい」に焦点を絞り、味わいのバランスを追究するために、複数畑をブレンドしています。