【新型コロナウイルス対策NEWS】 事業者・ビジネス関連措置の 最新状況を日本語でアップデート! – ジェトロ、米加州の個人情報保護法対策オンラインセミナー開催、BtoB企業向け

ジェトロ、米加州の個人情報保護法対策オンラインセミナー開催、BtoB企業向け

>>>JETRO オリジナルの記事はこちらから (1/25/2021 Updated)

ジェトロは1月13日、米国カリフォルニア州のプライバシー権法(CPRA:Consumer Privacy Right Act)に関するBtoB企業向け解説オンラインセミナーを開催した(注1)。日本企業関係者など300人以上が視聴した。

同州では、2020年11月3日の住民投票で、同年1月に施行されたカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA:California Consumer Privacy Act)改正の提議が賛成多数で可決された(2020年11月11日記事参照)。CCPAの改正法となるCPRAは2023年1月1日からの適用開始予定で、その1年前の2022年1月1日以降に収集された個人情報が対象となる。CCPAと比較してCPRAでは、プライバシー保護がより強化される。消費者に企業の持つ個人情報の修正を要求する権利などを新たに付与するほか、16歳未満の消費者の個人情報に関する法令違反に対する罰則強化や、プライバシー法を執行する権限を持つ州の個人情報保護機関の設立などを定める。

ジェトロがこれまで開催したCCPAに関するオンラインセミナーの参加者からは、「BtoB企業が備えておくべき対策を知りたい」「BtoBビジネスのみの企業は何をすればいいのか」など、BtoB分野での実務対応に関する情報を求める声が多かった。そこで今回のセミナーでは、BtoBの企業が収集している個人情報へのCPRAの適用とその実務対応について専門家が解説した。

CPRAでは、役職員などの雇用に関連する個人情報や取引先の従業員の個人情報に対して、個人による開示請求権や削除権など一部規定の適用が2023年1月1日まで猶予されている(注2)。セミナー講師のS&K Brussels法律事務所の杉本武重弁護士は、役職員などの個人情報について「雇用関連以外の目的で利用した場合は、猶予の対象ではなくなる。適用猶予となる利用目的をしっかり理解する必要がある」と説明した。また、取引先の従業員の個人情報についても「BtoB文脈で収集した取引先の担当者の個人情報を商品やサービスの提供や受領とは異なる文脈でマーケティングに用いた場合などは、猶予の対象から外れる」と説明した。さらに、クッキーを通じてウェブサイト訪問者の個人情報を取得するケースなどは、CPRAの全面的な対象になるという。

(注1)オンラインセミナーの資料は添付資料参照。

(注2)役職員などの雇用に関連する個人情報や取引先の従業員の個人情報については、2020年9月にカリフォルニア州知事が署名したCCPAの改正法(AB1281)で、11月の住民投票が否決された場合には一部規定の適用が2022年1月1日まで猶予されると定められていた。11月の住民投票可決に伴うCPRAの規定により、それら個人情報に対する一部規定の適用は2023年1月1日まで猶予されることとなった。

執筆者紹介:
ジェトロ・サンフランシスコ事務所 石橋 裕貴(いしばし ゆうき)
2011年、ジェトロ入構。海外調査部(2011年~2016年)、ジェトロ沖縄(2016年~2018年)を経て、2018年7月より現職。

在宅勤務拡大でベイエリアの経済環境に変化

オフィス賃料下落や都市部からの人口流出が進む

>>>JETRO オリジナルの記事はこちらから (1/5/2021 Updated)

米国で新型コロナウイルス感染が拡大して以降、北カリフォルニアのベイエリア(注1)では、オフィス市況の悪化、都市部からの人の流出、公共交通機関の利用者数の低迷が続く。これら経済環境の変化の要因の1つと考えられるのが、企業の在宅勤務の拡大だ。現地進出日系企業向けのアンケート調査結果やベイエリア地域が掲げる長期目標をみると、感染終息後も、ベイエリアでは在宅勤務が定着・拡大する可能性も考えられる。

ベイエリアで一層広がる在宅勤務

新型コロナウイルス感染拡大を契機に、ベイエリアでも企業の在宅勤務が拡大した。例えば、ツイッターやドロップボックスが、希望する従業員に対して永続的に在宅勤務を認める方針を打ち出した。このほか、グーグルやフェイスブック、ウーバーテクノロジーズも、2021年夏まで在宅勤務を認めるという。このように、ベイエリアに本社を構える大手テック企業は、オフィスへの通勤を前提としない働き方を一気に実践に移した。ベイエリアではこれまでも、柔軟な勤務体制をとる企業は少なくなかったが、新型コロナウイルスに伴う経済活動制限が、それに拍車をかけたといえる。

また、ベイエリアの日系企業も、2020年3月以降の新型コロナウイルス感染拡大で、在宅勤務体制を敷き、その後、感染状況やカリフォルニア州、所在する郡の命令の動向にも左右されながら、在宅勤務体制を続ける企業が多い。

オフィス市況の悪化による賃料下落

在宅勤務の拡大は、ベイエリア経済に大きな影響を及ぼしている。その1つが、オフィス需要の減少だ。不動産サービス大手CBREによると、サンフランシスコ中心部のオフィス空室率は近年、低下基調にあった。しかし、2020年第3四半期(7~9月)には8.3%と、前年同期(3.8%)から2倍以上に跳ね上がった(都市圏全域でも4.8%から9.0%に上昇)。また、吸収需要(Net Absorption、一定期間で占有された面積の合計から手放された面積の合計を減じた差)をみると、サンフランシスコは2020年第1~第3四半期までに、約マイナス420万平方フィート(約39万平方メートル)だった。全米の主要都市の中でもマイナスが大きかったことになる。サンフランシスコに本社を構える企業の中には、既に持つオフィスを売却する例がある。それだけでなく、写真共有サイトを運営するピンタレストのように、新規オフィスのリース契約を取りやめる事例も出ている(2020年9月4日付ビジネス短信参照)。

こうしたオフィス需要の低迷は、賃料の下落を招いた。CBREによると、サンフランシスコ中心部の2020年第3四半期の平均オフィス賃料は、1平方フィート当たり80.64ドル。前年同期比8.0%減だった。今後のオフィス市況に関して、現地不動産関係者は、「サンフランシスコでは、市況の回復に時間がかかるのではないか」「オフィスの立地が郊外へより広がる可能性があり、中心部のオフィス需要は低い状態が続く」との見方を示している。

加速する都市部からの人口流出

在宅勤務の機会が増え、都市中心部からの人口流出も進む。引っ越し関連サービスなどを提供するマイ・ムーブが米国郵便公社(USPS)に提出された住所変更届のデータを分析したところ、2020年2月1日~7月31日の期間に移住した人数は、米国全体で前年同期比3.9%増の1,590万人だった。都市別に増減をみると、大都市部で流出が顕著だ。サンフランシスコからは、全米4位の規模となる約2万7,000人が移転した(図1参照)。在宅勤務の拡大や人口流出の影響もあり、新型コロナ禍でベイエリア5郡(注2)を結ぶ鉄道BARTの利用客数は、3月中旬以降、運営会社の想定に比べて80%以上少ない日が続いている。

流入数上位10都市は、1位から順にケイティー(テキサス州)4,414人、リッチモンド(テキサス州)3,000人、フリスコ(テキサス州)2,604人、イースト・ハンプトン(ニューヨーク州)2,476人、ジョージタウン(テキサス州)2,337人、リアンダー(テキサス州)2,294人、サイプレス(テキサス州)2,147人、カミング(ジョージア州)2,128人、リバービュー(フロリダ州)2,093人、メリディアン(アイダホ州)2,088人。流出数上位10都市は、1位から順にニューヨーク(ニューヨーク州)11万978人、ブルックリン(ニューヨーク州)4万3,006人、シカゴ(イリノイ州)3万1,347人、サンフランシスコ(カリフォルニア州)2万7,187人、ロサンゼルス(カリフォルニア州)2万6,438人、ネープルス(フロリダ州)2万2,100人、ワシントンDC1万5,520人、ヒューストン(テキサス州)1万4,883人、フィラデルフィア(ペンシルベニア州)1万2,833人、フォート・マイヤーズ(フロリダ)1万1,889人。
図1:米国の移住者流出入数上位10都市(2020年2月1日~7月31日)

また、ベイエリアのテック企業の従業員を対象に実施されたアンケート(注3)によると、「在宅勤務開始以降、ベイエリア外へ移転したか」という質問に、15%が「移転した」と回答した(回答者数:3,334人)。さらに、未移転の回答者に「好きなだけ在宅勤務ができるなら、ベイエリアからの移転を検討するか」と聞いたところ、「移転を検討する」との回答が59%に上った(回答者数:2,418人、図2参照)。ベイエリアからの人口流出には、こうしたテック系人材の移動も寄与しているとみられる。さらにテック業界では、ヒューレット・パッカード・エンタープライズやオラクルなど大手テック企業が、本社をベイエリアから移す動きもみられるようになってきた(2020年12月21日付ビジネス短信参照)。

「在宅勤務開始以降、ベイエリア外へ移転したか」という質問に対して、回答者3,334人のうち、15%が「はい」、85%が「いいえ」と回答した。また、「好きなだけ在宅勤務ができるなら、ベイエリアからの移転を検討するか」という質問に対して、回答者2,418人のうち、59%が「はい」、41%が「いいえ」と回答した。
図2:ベイエリアからの移転に関するテック系企業の従業員の意識

コロナ後も在宅勤務が定着・拡大する可能性も

新型コロナウイルス感染の再拡大を受け、カリフォルニア州では2020年12月に入り、地域単位の自宅待機令(2020年12月9日付ビジネス短信参照)が発令された。12月現在、州内の多くの地域で、在宅勤務ができない重要なインフラ部門(注4)以外の企業は、在宅勤務が求められている。しかし、新型コロナ禍が終息しこうした経済制限措置が解除されたとしても、在宅勤務は維持または拡大する可能性がある。ジェトロが11月に在カリフォルニア州の日系企業向けに実施したアンケート調査(注5)で今後の勤務体制を聞いたところ、半数以上(55%)が、新型コロナウイルスの完全終息後に「オフィス勤務と在宅勤務を組み合わせた勤務体制を検討している」と回答した(2020年12月4日付ビジネス短信参照)。地域別には、ベイエリア(60%)は、ロサンゼルス都市圏(51%)よりもその割合が高かった。

また、ベイエリアの地域目標として、長期的に在宅勤務の拡大が図られる可能性もある。都市交通委員会(MTC、注6)が策定中のベイエリアの長期ビジョン「Plan Bay Area 2050」では、目標の1つに「排出ガスの削減」を掲げた。2020年12月にMTCが発表した最終計画に関する資料によると、2015年時点で通勤手段の71%を占める「車」の割合を2050年までに53%に減らし、その分を公共交通機関や徒歩・自転車での通勤、在宅勤務の拡大で代えることを目指す、とした。環境対策の一環として、在宅勤務の活用が位置付けられたかたちだ。今後の在宅勤務に関係する政策の行方が注目される。


注1:サンフランシスコ湾を囲む9郡(サンフランシスコ、サンマテオ、サンタクララ、アラメダ、コントラコスタ、ソラノ、ナパ、ソノマ、マリン)を含む地域の総称。ベイエリアの人口は2018時点で約775万人(米国勢調査局)、域内総生産は1兆364億ドル(米商務省経済分析局)。ベイエリア日系企業調査の動向については、ジェトロの「ベイエリア(北カリフォルニア)日系企業実態調査2020年」も参照。注2:サンフランシスコ、アラメダ、コントラコスタ、サンマテオ、サンタクララの5郡。注3:人材関連プラットフォームを運営するブラインドが実施。調査結果は、2020年8月に発表された。注4:必要不可欠なインフラ部門に該当するのは、医療関係、緊急サービス部門、食品・農業、エネルギー、上下水道、輸送・物流、情報通信など。注5:調査実施期間は11月16~20日。回答企業数は284社。回答企業には、現地在住の日本人が起業した会社など、日本に本社を構える企業の現地法人以外も含まれる。注6:ベイエリア9郡の輸送機関の計画策定や資金調達などを担う公的機関。各自治体幹部も参加する。MTCは、Metropolitan Transportation Commissionの略。


執筆者紹介ジェトロ・サンフランシスコ事務所
石橋 裕貴(いしばし ゆうき)2011年、ジェトロ入構。海外調査部(2011年~2016年)、ジェトロ沖縄(2016年~2018年)を経て、2018年7月より現職。

感染者全米最多のカリフォルニアで、デジタル化・リモートワークが進展

コロナ禍対応に追われる日系企業

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2020/c9fa240add8304c7.html

2020年8月26日

カリフォルニア州の新型コロナウイルスの累計感染者数は、8月下旬時点で66万人に上る。全米の州で最多だ。経済活動の制限が続き、企業は厳しいビジネス環境下に置かれている。本稿では、在カリフォルニア州日系企業の売り上げや雇用への影響、オフィス再開の見通し、「アフターコロナ」の事業戦略などについて、アンケート結果やヒアリングを基に報告する。

経済再開は後退へ

カリフォルニア州では7月以降、新型コロナウイルスの感染状況が再び悪化した。感染の再拡大を受けて、ギャビン・ニューサム知事と公衆衛生局は7月13日、州内の全ての郡に対して、レストランや映画館の屋内営業の再停止や、バー、パブなどの再閉鎖を命じた(2020年7月16日付ビジネス短信参照、注1)。これにより、5月8日から段階的に進めてきた州の経済活動の再開が後退した。

屋内営業が停止されているカリフォルニア州の飲食店には、ソーシャルディスタンスに配慮しながら、屋外スペースに机や椅子、テントなどを設けて、営業を継続している店舗もある。これら事業者は、サンフランシスコなど各自治体が飲食店や小売業など向けに実施する、支援プログラムを活用しているとみられる。このプログラムでは、歩道、駐車スペース、道路などの公共スペースでビジネス目的の利用が許可される。

屋外スペースを活用し、営業する飲食店の様子(ジェトロ撮影)

感染拡大がより深刻な郡は、経済活動が一段と厳しく制限されている。州政府が公表する新型コロナウイルスに関する重点監視郡のリストに3日連続で掲載された郡での規制は、レストランなどの営業制限(前述)に留まらない。加えて、フィットネスセンターや理美容院、ショッピングモールなどの営業(注2)や、重要なインフラ部門に該当しない事業(注3)のオフィスの閉鎖が求められる。同リストには、感染者数や入院率、医療機関の患者受け入れ態勢などの指標で、州政府が設定した基準に満たない郡が掲載される。ロサンゼルスやサンフランシスコ、サンタクララなど、州内で人口の多い主要都市はほとんど含まれているのが現状だ(8月19日現在)。感染が続く地域では、感染への懸念などから住民による公共交通機関の利用も減っている。例えば、サンフランシスコを含むベイエリア5郡(注4)を結ぶ鉄道BARTの利用客数は、3月中旬以降、運営会社の想定に比べて80%以上減の日が続く(注5)。

日系企業の現状、約8割は雇用継続に影響なし

経済活動への制限が続く中、カリフォルニア州に所在する日系企業はどのような影響を受けているのか。ここでは、ジェトロが6~7月に在米日系企業を対象に実施した新型コロナウイルスに関するアンケート調査結果(注6)から、在カリフォルニア州企業(回答数:208社)の回答結果を抽出し、「売り上げ」「雇用」「今後の事業戦略」の3つの観点からみる。

第1に、売り上げへの影響はどうか。6月の売り上げ(見込み)について、前年同月比で「減少」と回答した企業は約6割(61.6%)に上った(図1参照)。厳しい経営状況が続いていることがわかる。もっとも、その割合は全米平均(71.7%)より約10ポイント低かった。また、前年同月比で「増加」と回答した企業も12.3%と、全米平均(7.2%)を上回った。アンケート結果やジェトロ・サンフランシスコ事務所が各企業に行ったヒアリングを踏まえると、売り上げが伸びているビジネスは、新型コロナ対策に付随した需要やオンライン需要をうまく取り込んでいるといえそうだ。また、「エッシェンシャル・ビジネス」に含まれる企業の売り上げは底堅いようだ。

図1:在カリフォルニア州日系企業の2020年6月の売り上げ状況
(前年同月比)

出所:ジェトロ「第5回在米日系企業の新型コロナウイルス対策に関わる緊急・クイックアンケート調査結果」

第2に、雇用への影響をみる。アンケート調査では、カリフォルニア州企業の約8割(78.7%)が「雇用継続に影響なし」と回答した。全米平均(68.2%)に比べ、約10ポイント高かった。実際にジェトロのヒアリングでは、「解雇や一時解雇は行っていない」とする企業は多い。ただし、小売業や飲食業をはじめ、従業員の解雇や一時解雇を迫られる事業者が出ていることも事実だ。

デジタル化、リモートワークを拡大する企業は全米平均を上回る

第3に、「アフターコロナ」の事業戦略に関して、在カリフォルニア州日系企業はデジタル化に前向きだ。アンケート調査結果では、4社に1社が「デジタルマーケティング、人工知能(AI)利用などデジタル化の推進」(28.7%)や「バーチャル展示会、オンライン商談会などの活用推進」(28.2%)と回答した。また、これらそれぞれの回答割合は、全米平均を上回った(図2参照)。実際、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、企業にとって販路開拓やネットワーク拡大のツールとなる展示会やカンファレンスでは、オンライン形式への移行が相次いでいる。例えば、当初カリフォルニア州で開催する予定だったスタートアップ・カンファレンス「Disrupt 2020」(2020年9月14~18日)やモノのインターネット(IoT)技術に関する展示会「IoT Tech Expo 2020」(2020年11月4~5日)、ネバダ州ラスベガスで開催を予定したハイテク技術見本市「CES 2021」(2021年1月6~9日、2020年7月30日付ビジネス短信参照)などは、オンライン開催が発表されている。

図2:コロナ後に対応した事業の見直し(複数回答)

出所:ジェトロ「第5回在米日系企業の新型コロナウイルス対策に関わる緊急・クイックアンケート調査結果」

在カリフォルニア日系企業では、在宅勤務やリモートワークの拡大を考えているところも多い。カリフォルニア州では、3月半ばに発令された自宅待機令は依然解除されていない。このため、エッシェンシャル・ビジネスなどの従業員以外は、原則として在宅勤務が求められている。アンケート調査では、コロナ後の業務態勢の見直しについて、「在宅勤務やテレワークの活用拡大」と回答した在カリフォルニア日系企業が8割(80.4%)に達した(全米平均:74.1%)。また、ジェトロが2~3月にベイエリア所在の日系企業向けに実施した調査(注7)によると、新型コロナウイルス感染拡大前から、回答企業のうち約4割が在宅勤務を導入済みだ(2020年8月6日付ビジネス短信参照)。感染拡大前から在宅勤務態勢を取っていた企業に話を聞くと、「在宅勤務の拡大がスムーズにできた」、さらには「新型コロナウイルスの終息の有無にかかわらず、引き続き在宅勤務を実施する」といった声が聞かれた。

他方で、カリフォルニア州のベイエリアには、研究開発拠点を持つ企業も多い。そうした企業からは、「在宅だと業務の制約がある」という指摘もある。また、コロナ後も在宅勤務を認めることを考えている企業には、「在宅体制が定着した中で、コロナ以前の勤務環境へ完全に戻すことは難しい」「感染が完全に払拭(ふっしょく)できない環境下では、在宅を続けざるを得ない。現地従業員からの不安の声もある」といった考えを漏らす企業もある。オフィス再開の見通しを聞くと、「5月以降、カリフォルニア州が経済再開を段階的に進める中で、7月中旬からのオフィス再開を考えていた。しかし、再開計画が頓挫し、今は先が見通せない。州や所在する郡の今後の動向を注視したい」と、経済活動再開が計画どおり進まないことに懸念を示す企業も多い。

7月からはCCPA執行開始への対応も課題に

在カリフォルニア州日系企業にとっては、個人情報の取り扱いも難しい問題だ。カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA:California Consumer Privacy Act、注8)は、新型コロナウイルスとの関係でも課題となっているのだ。

CCPAは、2020年1月に施行された。その後、ザビエル・ベセラ州司法長官は6月30日、CCPAの執行を7月1日から開始すると発表した(2020年7月9日付ビジネス短信参照)。多くの企業が感染対策に追われるタイミングでの執行開始となった。このため、企業からは対応に苦慮する声も聞かれる。例えば、感染対策として体温など従業員の健康状態を把握する場合、取得した健康情報の一部がCCPAの定義する「個人情報」に該当する可能性がある。企業は感染予防とCCPA、両にらみで対策を打つことを迫られている。


注1:バー、パブは屋内・屋外とも原則閉鎖。ただし、屋外席で食事を提供する場合などは営業可能。
注2:店舗前での商品受け渡しや屋外スペースでの営業は可。
注3:「重要なインフラ部門」は、州政府が指定する。
注4:サンフランシスコ、アラメダ、コントラコスタ、サンマテオ、サンタクララの5郡。
注5:人の移動数については、移動手段によって状況に違いがある。感染リスクが低い車での移動量は回復傾向にある。各国の車両交通量(走行距離)のデータを公表しているインリックス(Inrix)によると、カリフォルニア州全体の交通量は、経済再開を始めた5月以降増え始め、7月上旬時点で新型コロナウイルス拡大前の8割、サンフランシスコ都市圏は同7割程度の水準まで回復した。
注6:6月26日~7月1日に実施し、961社から回答を得た。アンケート結果の全文は、北米における新型コロナウイルス対応状況のページの「第5回在米日系企業の新型コロナウイルス対策に関わる緊急・クイックアンケート調査結果」(1.91MB)から閲覧できる。
注7:2月21日~3月13日に実施し、237社から回答を得た。アンケート結果の全文は、ジェトロウェブサイトで閲覧できる。
注8:CCPAや規則については、2019年6月6日付地域・分析レポートや「CCPA実務ハンドブック」も参照。


執筆者紹介ジェトロ・サンフランシスコ事務所
石橋 裕貴(いしばし ゆうき)2011年、ジェトロ入構。海外調査部(2011年~2016年)、ジェトロ沖縄(2016年~2018年)を経て、2018年7月より現職。


サンフランシスコ市・郡が独自の経済再開計画を発表、店内飲食は6月15日再開の可能性 

https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/06/b38a1b748c996671.html

サンフランシスコ市・郡は5月28日、段階的な経済再開に向けた計画を発表した。同市・郡は既に5月中旬から一部経済活動を再開したが、今回の計画は6月以降の長期的な内容を含む。同市・郡では、カリフォルニア州が発表した4段階の再開計画「再開へのロードマップ(Update on California’s Pandemic Roadmap)」に基づき、同計画の第2段階をさらに3つの段階(2A、2B、2C)に分けて、徐々にビジネス再開を行う。同市・郡の計画の各段階で再開が認められる主なビジネスは次のとおり。

【第1段階から第2A段階(~6月14日)】

・全ての建設プロジェクト
・従業員50人以下の必要不可欠な製造業、卸売業、賃貸業、運送業
・不動産取引の対面でのサービス
 (社会的距離の確保とフェイスカバー着用の必要あり)
・小売業のカーブサイド・サービス(注1)による営業
・屋外娯楽活動向けの備品レンタル
・不要不急のビジネスに従事する従業員は在宅勤務を行うことが求められる

【第2B段階(6月15日の移行が目標)】

・従業員50人超の全ての製造業、卸売業、賃貸業、運送業
・レストラン、バーの屋外での飲食提供
・屋内の小売業
 (ただし、ショッピングモールは再開計画の承認が必要)
・屋外でのフィットネス
・業務上必要な場合を除き、在宅勤務が引き続き求められる

【第2C段階(7月13日の移行が目標)】

・理美容院
・屋内での飲食提供(レストランを念頭)
・不動産のオープンハウス(予約制のみ)

【第3段階(8月中旬の移行が目標、注2)】

・ジムやフィットネス施設
・映画館、ビリヤード、ボーリング場など限定的な屋内の娯楽施設
・第2段階までに再開が認められていなかった全ての個人向けサービス(ネイルサロン、マッサージ店、タトゥー店など)
・バー

【第4段階(移行時期未定)】

・ナイトクラブや観客を入れたスポーツの試合、ホテルなどを含む全てのビジネス活動が再開可能
なお、サンフランシスコ市・郡で現在発令中の自宅退避令について、ロンドン・ブリード市長は5月28日の会見で、「無期限に延長する。再開計画は実行されるが、住民には引き続き自宅退避を求める」と述べた。

経済再開の1つの節目となる飲食店の着席サービスの再開状況をみると、北カリフォルニアのベイエリア9郡(注3)のうち、ナパ郡(屋外・屋内ともに可、バーなどを除く)やソラノ郡(屋外・屋内ともに可、バーなどを除く)、ソノマ郡(屋外のみ可、バーなどを含む)が制限付きで再開を認めている(5月28日時点)。ジェトロが確認したところ、ソラノ郡の飲食店では依然、休業やデリバリーや持ち帰りのみで営業している店も多い。

(注1)消費者がオンラインで注文した商品を実店舗の駐車場などで車から降りることなく受け取れるサービス。
(注2)第3段階の中で段階をより細かく分ける可能性がある。
(注3)アラメダ郡、コントラコスタ郡、マリン郡、ナパ郡、サンフランシスコ郡、サンマテオ郡、サンタクララ郡、ソラノ郡、ソノマ郡
(ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴)

■ジェトロ オープンイノベーション事業について考えるウェビナーを6月開催
https://jweeklyusa.com/7450/event/release/

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