GSM? 〜ブレンドの芸術を味わう〜

カリフォルニアワインで”GSM”と表記されたり呼ばれたりしている赤ワインを飲んだことはありますか?品種別に棚が分かれているワイン売り場ではあまり見かけない…産地別に棚が分かれている売り場でも見かけない…GSMとは一体何でしょうか?

答えは、赤ワイン3品種Grenache(グルナッシュ)、Syrah(シラー)、Mourvedre(ムールヴェードル)の略称で、この3品種をブレンドした赤ワインのこと。この3品種のブレンドは、フランス南東にあるワインの名産地、南ローヌ地方で昔から造られてきたブレンドスタイルなので、「ローヌブレンド」とか「ローヌスタイル」ともいわれています。

ヨーロッパの歴史あるワイン産地の多くでは、こうした複数品種をブレンドしたワインが数多く造られていますが、カリフォルニアでは単一品種のワインが主流。消費者も、お気に入りの単一品種の個性を楽しむ人が多く、GSMもSyrahとかGrenacheと単一品種名をいわれると、ピンとくる人はぐんと増えるはず。
 単一品種は味わいを想像できるから選びやすいけれど、ブレンドワインは各品種のブレンディング比率によって味も違うだろうから、期待する味わいと違ったらどうしよう…なんて躊躇していませんか?

複数の品種をブレンドする理由はいろいろありますが、それぞれの品種の長所が集まって相乗効果となり、足りない部分を補い合えるので、バランスが良く完成度の高い味わいに仕上げることができます。GSMでいうと、Grenacheは一般的にたっぷりとした果実味に、色素とタンニンは弱めの柔らかい味わい。そこにSyrahのスパイシーな風味とタンニンが複雑味と骨格を与え、さらにMourvedreの濃厚な色とタンニン、凝縮した果実味が骨太な飲みごたえある味わいにしてくれる。こんな風に、ブレンドワインは複数品種の相乗効果と調和を味わう、総合芸術を愛でるような楽しみがあると思います。

実は近年カリフォルニアでもブレンド赤ワインの人気が高まっていて、事実、名だたるワイナリーからも新しいブレンド銘柄が販売されています。もちろんGSM以外にも多様なブレンドワインがあります。ブレンドワインという、単一品種とは一味違う世界もぜひお楽しみください☆