B.J. Foxさん / NHK”Home Sweet Tokyo”主演俳優 スタンダップコメディアン・俳優・脚本家 – 日本でのコメディ活動について聞く!

B.J Fox ビー・ジェー・フォックス
アメリカ・ニュージャージー生まれ。5歳の時に家族でロンドンへ移住。スタンダップコメディアンとしてロンドンはもちろん、シンガポールやアジアで活躍し、日本へ4年前に拠点を移す。プロデューサー、脚本家、俳優としての顔を持ち、コメディアン集団「okomedyaki」(おコメディ焼き)に所属。政治や文化や社会問題など、様々なトピックへのユニークな切り込みで大人気を博している。

来日したきっかけを教えてください。

シンプルに答えると2015年にシンガポールから日本に拠点を移したのがきっかけです。長く答えると、ずっと日本と日本語に興味があって、ラッキーなことに学生の時に1年間東京に留学できたんです。そのあとも若い頃2年間静岡でワーキングホリデイで働けたのも大きな転機でした。4年前に日本に拠点を移したのは、日本との長い関係の新しい章が開けたような気分でした。

日本で生活して、一番驚いたことはありますか?

ワーキングホリデイの間に静岡に住んでいた頃と今とでは、それぞれ違う驚きがあります。今一番驚いているのは、なんて東京は住みやすくて、便利で、色々な所で英語が通じるんだろう、ということです。これは旅行者にはとてもいいことだと言えますが反対に、おそらく日本語を勉強したい人には不利ですよね。10年前の自分だったらこの答えに「英語が通じる」というのを省いて答えると思います。でも総合的に言って、いつも日本で生活していて驚くのは、そして深く感心するのは、日本がとても上手に伝統を日常生活の中に取り入れていることです。ご飯を食べる前に必ず「ごちそうさま」を言ったり、東京の慌ただしい通りに美しいお寺がまだ現存していたり。

その後スタンダップコメディアンとして日本で活動するようになったきっかけは?

もともと日本に来る前からスタンダップコメディをしていたので、それを続けるのは僕にとってとても自然なことだったんです。こんなに早く受け入れてもらえるとは思っていませんでしたが。僕は日本語が大好きだし、コメディを日本語でやるというチャレンジにわくわくしていたので、「郷に入れば郷に従え」の精神で挑戦することに決めたんです。ここ(日本)にはコメディーを求める人が多いようですし、とても楽しいです。

イギリスのコメディと日本のコメディはどう違うと思いますか?

日本のコメディはルールや伝統でよく構成されていて、イギリスのコメディはもっと自由な感じです。それに、イギリスのコメディは観客にジョークを積極的に理解してもらうことを期待するんです。どこにジョークがちりばめてあるのかよく「見る」必要があります。日本のコメディでは、2人のパフォーマーがいて、そのうちの1人(ボケ)がどこで観客が笑えばいいのか、シグナルを出している。そういう意味では日本のお笑いはイギリスのコメディより親切だと思います!

どういうきっかけで、NHKの「Home Sweet Tokyo」に出演する事になったのでしょうか。

僕があのショーを書いて作ったんです!NHKのプロデューサーが僕のスタンダップコメディのショーを観に来て、ずっと英語の連続ホームコメディを作るのが夢だったと、あとで連絡をくれました。それでアイデアをまとめて、2〜3カ月何度もミーティングを重ねた後、ついにお披露目ができることになりました。ショーを自分で書いて、僕と似たような名前であるブライアンと名付け、同じ歳でロンドン出身の主人公を作ったにもかかわらず、面白いことに僕も主役のオーディションに参加したんです!凄く緊張したけど、ラッキーな事に全部うまくいき、見事ブライアン役の座をゲットできました!2017年よりSeason1がスタートし、現在はSeason3を公開中です。Seasonごとにepisodeは4話ずつありますが、約20分程なので、是非NHKのサイトでご覧になってみてください。

撮影現場での雰囲気やエピソードなどを教えてください。

撮影現場での雰囲気はとても楽しいけれど、同時にストレスも多いです。短い撮影のうちに色々なことをするんです。でも素晴らしいチームにかこまれています。リード俳優の木村佳乃さんはイギリス・ロンドン生まれで素晴らしい英語力ですし(毎日の撮影ごとに上達しています!)僕の娘役を演じているアイラ・ローズさんはとても面白くて元気いっぱいなんです。夜ごはんのシーンの度ににそれがクラゲだろうとイナゴだろうと、アイラはなんでも食べたがります。実は食べ物はこのショーの中で一番のお気に入りなんです。ショーの中のジョークで、僕が演じるブライアンは、いつも大好きな、そして義理の父親の苦手な西洋料理を夜ごはんに作るんです。でもこれは撮影のためだから、本当はスタッフが素晴らしいラザニアやベイクドポテト、フィッシュ&チップスなんかを作ってくれています。だから1年に一度、撮影の時に僕の大好物が食べられるんです。

NHKのドラマに出演して以来、街でB.J. Foxさんだと気付かれて声をかけられる事はありますか?

あります!しかも、東京と海外両方で。3月にサンフランシスコでビジネストリップに行ったときに、そこで声をかけていただきました。何人かの「兄弟(bro)」に通りの向こうから、「あれは日本のテレビに出てるやつだぜ!」って大声で声をかけられたんです。でも僕の思い出の場所はロンドンです。2、3年前にクリスマスでイギリスに帰った時に、ケニヤ人の男性にスターバックスで声をかけてもらいました。彼は日本人の女性と結婚していて3歳半の息子さんがいる方で。素早くその場で奥さんと息子さんに電話して2人を呼び寄せて、3人で僕のショーのセリフを暗唱してくれました。海外で多文化カップルが僕のショーを楽しんでくれているのをみて、とてもハッピーな気持ちになりました。

日本語を自由に操り笑いをとるバイリンガルのB.J. Foxさん。日本の英語教育について考えを教えてください。

日本人の英語の話し方を見て一番驚いたことは、みんななんて緊張して英語を話すんだろう?ということです。僕の日本語のスタンダップコメディショーは間違いだらけですが、きちんとコミュニケーションは取れているし、観客もきちんとジョークを理解してくれています。同じように、英語のスタンダップコメディでも、間違いだらけなんです!すべての言葉のどんなネイティブスピーカーだって、間違える。僕は英語をとてもよく知っている色々な日本人に会いましたが、みんなその知っている英語をどう使っていいのか分からなかったり、ミスを恐れて緊張しすぎて使えなかったり、ということが多かったです。英語を堂々と話すメンタリティーは、文法や語彙などの基本学習に加えて、教えられるべきことだと思います。そういった経緯で、「外資系裏技英語」のポッドキャストでの配信を始めました。この「外資系裏技英語」は英語学習用ですが、英語そのものを教えるというより、英語を使うスキルを効率的に学べるものです。ぜひ一度、聴いてみてください。

最後に、サンフランシスコ・ベイエリアに住むJ weekly読者の皆さんにメッセージをお願いします。

サンフランシスコが大好きなんです!素晴らしいコメディがすぐ近くで見られるなんてとっても羨ましいです!今までで一番面白かったショーの一つが、サンフランシスコにあるCheaper Than Therapyで公演されたものです。だから、もし時間があったらこの劇場をチェックしてみてください。すごく面白いので。コメディは地元の人々が何を考えているのかを知るための最高の方法だと思います。だからなるべく、色々な都市のショーを観に行くようにしています。最後に、ぜひ”Home Sweet Tokyo”をご覧ください。NHKのワールドホームページで無料で公開されています!

Okomedyaki(おコメディ焼き)
www.okomedyaki.com
外資系裏技英語
www.okomedyaki.com/gaishikei

Home Sweet Tokyo
国際結婚したロンドン出身のブライアン(B.J. Fox)といつき(木村佳乃)は、高齢の父・恒男(渡辺 哲)と一緒に暮らすため、娘のアリス(Isla Rose)とともに妻の実家の日本へ移住。洋食が苦手な義父との生活と、ブライアンの視点から見る、日本の習慣や文化は驚きの連続だが…?Season1〜3絶賛公開中!
※無料でご視聴いただけます。
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