Mobility as a Serviceを巡る提携の加速
あらゆる移動手段を活用し、最適な地点間の移動を実現するMobility as a Service(MaaS)に関する様々な動きが加速している。日本企業関連でも、トヨタ自動車とソフトバンク、本田技研工業(ホンダ)とゼネラルモーターズ(GM)が提携を発表しており、同分野で聖域なき連携が加速している。
ライドシェアで進むマルチモーダル化
A地点からB地点への移動ニーズをおさえ、MaaSにおいて確固たるポジションを確立しているライドシェアの企業においてはマルチモーダル化の取り組みが進む。マルチモーダルとは、鉄道、トラック、自動車、自転車など様々な交通手段を組み合わせた輸送・物流の形態を指す。
Lyftは、USの30を超える都市で1800名を対象に自分の車を使わないで済むプログラムを実施している。ライドシェア、公共交通機関、ZipCar、バイクシェア、カーシェアの利用料がもらえるプログラムを展開しており、自家用車を利用しない移動の実現を目指す。LAでは$300 Lyft の利用権、1ヵ月のZipCar会員権$100の利用権、$94の公共交通機関の利用権(ケーブルカー、BARTの乗り放題を含む)、1ヵ月のLA County EZ transit利用権、1ヵ月の BlueLA electric carshare 利用権(10時間無料)、1ヵ月のLA Metro Bikeshare利用権がセットで提供される。
一方のUberは、2018年4月に、公共交通機関関連のモバイルチケッティングサービスを提供しているMasabi、カーシェアのGetAroundと提携、シェア自転車のJUMPを買収、2018年7月にはシェアスクーターのLimeと提携をしている。
A地点からB地点の移動ニーズをおさえ、車を中心に移動を提供してきたライドシェアの企業が、地点間の最適な移動手段を組み合わせて提供することを目指すようになってきている。
カリフォルニアを中心に取り組むGM
カリフォルニアで実証実験が可能な自動運転車の登録が最も多いのはGMである。登録台数が100台を超えており、この数字はAlphabet (Google)傘下の自動運転部門Waymoの約2倍に相当する。GMは2016年に、米ライドシェア事業者のSidecarを買収し、カーシェアリングサービス「Maven」を開始し、シェアリング事業に乗り出している。2016年に$1Bで自動運転技術開発のCruise Automationを買収し、2017年に自動運転のKeyとなる部品のLidar のStrobeというベンチャーを買収し、自動運転技術の開発を進める。現在では、Cruiseを自動運転関連サービスを提供する関連会社と位置付け、将来的には他の企業に対して自動運転技術と関連するサービスを提供する事と目論む。 GMは、両技術を活用し、社員向けライドシェアリングサービスの提供をサンフランシスコで開始しており、2030年で約$285Bに到達するというロボタクシ―市場を狙う。自動運転によりドライバーが不要となるこの市場は、従来の移送サービスより格段に利益率が高まると期待されている。
自動運転からMaaSへの展望をにらむWaymo
同じくロボタクシ―市場を狙う本命といわれるWaymo。Waymoは、フェニックスのValley Metroという公共交通機関を束ねる機関との連携を発表し、8月から自宅から公共交通機関を無人タクシーで移動する送迎サービスを展開している。Valley Metroの従業員向けにサービス提供を開始し、その後適用範囲を広げていく予定である。これにより、例えば自宅から無人タクシーで駅に行き、電車でオフィスの最寄り駅まで乗り継ぎ、無人タクシーでオフィスまでいくという地点間の移動の仕方が可能になる。年内にロボタクシーでの課金サービスを開始予定との情報もある。
米ウェイモは欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と車体の提供で提携している。ウェイモは自動運転用の車体を既に82,000台発注しているという。82,000台は、全米の自動車4分の1に相当する。
米国でも、MaaS領域での各社の動きが活発になっており、同領域から目が離せない。