自動運転用のAIチップを内製化するTesla
CEOイーロン・マスクの非上場化のツイートで世間を賑わせえているTeslaであるが、自動運転用の独自のAIチップを開発していることを明らかにした。開発開始から既に2年以上経過しており、従来のNVIDIAの既成のチップに比べ10倍の処理能力を持ちうるという。
AppleもiPhoneで市場を席巻する際にパフォーマンスのKeyとなるSoCを内製化し市場を大きくリードした。走るスマホを標榜するTeslaも自動運転において差別化の源泉となる部品を内製化する戦略で、Appleのように市場を席巻することができるのか。今回の内製化は注目である。
Waymoがアリゾナで公共交通機関への自動運転送迎サービスを計画
Alphabetの傘下のGoogleの自動運転部門のWaymoが、フェニックスのValley Metroという公共交通機関を束ねる機関との連携を発表した。8月中に、自宅から公共交通機関を無人タクシーで移動する送迎サービスを展開する予定であるという。Valley Metroの従業員向けに提供を開始し、その後、適用範囲を広げていく。これにより、例えば、自宅から無人タクシーで駅に行き、電車でオフィスの最寄り駅まで乗り継ぎ、無人タクシーでオフィスまでいくという地点間の移動の仕方が可能になる。
Mobility as a serviceにおける航空管制サービス
あらゆる移動手段を活用し、地点間の移動を最適化させるようなMobility as a serviceを実現するために、都市の中の全ての車を最適に管理するシステムが必要と言われている。当然に、UberやLyftなどシェアライドの会社などもネットワーク内の車と交通状況を加味した最適化を意識した運行管理を行っているが、社会としての最適化を追求するためには、企業間及び行政を跨いだ情報の集約が期待される。航空機における航空管制のような役割である。この領域は、Traffic Control Centerと言われており、全ての車の情報、道路情報、交通情報を統合し、最適な交通の状況を実現するのが役割である。同領域でRideOSという企業が資金調達を発表した。投資家としてSequoiaやFordの関連会が名を連ね、今回実施したSeriesBではSiemensのベンチャーキャピタル部門も名を連ねている。世界規模で独立したプラットフォームを運営する野心的な目標を掲げており、Singaporeのスマートシティでの実証実験を計画するなど先駆企業となっている。
フィンランドでは、Maas Globalという会社が提供しているWhimというアプリが公共交通機関も含め地点間の最適な移動をレコメンドしてくれる。ユーザーはアプリを使用し、地点間の最適な移動手段を確認することができ決済まで行うことができる。Mobility as a serviceを実現するための情報プラットフォームに注目が集まっている。
自動運転が当たり前となる時代において
自動運転の車が、公共交通機関と連動し、ラストワンマイルを電動スクーターが担う時代になったと仮定する。自動運転の車が、どのように公共交通機関への橋渡しをするか、どのポイントからはシェアスクーターを活用するべきか、様々な要素を考慮した計算が必要となる。人が運転する車と自動運転車が混在している中では、空車のままどこに配車するべきかなども考慮する必要があり、計算は更に複雑になる。Waymoは公共交通機関と自動運転の車の融合という点について、いち早く検討を開始しており、時期を同じくして、RideOSが資金調達を行ったことも興味深い。
大手のライドシェアの会社や自動運転サービス企業も自社での運行管理を志向する可能性が高い。独立したプラットフォームが市場が取り切る事は決して簡単ではないが、社会的な最適化の観点からは、現在のライドシェア企業、自動運転技術開発企業、OEM、政府等を巻き込んだ最適な交通の実現が必要なようにも感じる。Waymoのような自動運転を手掛ける企業が同領域の運行情報プラットフォームを席巻するのか、RideOSのような独立した立場からMobilityに関するデータをまとめるプラットフォームが躍進するのか、注目である。