第8回 :アメリカの大学入試項目について

みなさま、こんにちは。シリコンバレーでピアノ教室を主宰している、有座なぎさです。昨秋から「音楽教育のススメ」と題したコラムを毎月第四週目に担当させていただいています。前回、アメリカの大学の概要とダブルメジャーについて触れましたが、今回は大学受験に必要な項目(マテリアル)についてお話しようと思います。 

アメリカの大学受験では、高校在学中の三年もしくは四年間の成績、SAT/ACTテストの結果以外にも様々なマテリアルが求められます。大小色々な長さのエッセイもその一つです。その大学や学部の志望動機は最も大切なトピックスですが、それ以外にも、ショート・クエスチョンと言われる本人でなければ答えられないような質問も数多く出題されます。例えば、「明日一日、急に休みになったら、あなたは何をしますか?」とか、「最近観た映画の中で、特に印象に残っているものは何ですか。またその理由は?」などです。これらは年によっても、また各大学によっても全く違うので、大学がその年のアプリケーションを開示したら、真っ先に調べて準備しておく必要があります。 

エッセイの他には、先生からの推薦状もとても大切です。高校のカレッジカウンセラーの他、自分の事をよく知っている先生や得意分野の担当教師に頼むのが一般的ですが、その他、音楽やスポーツなどの課外活動で、自分を高く評価してくれる人に頼むのも良い考えです。推薦状の提出枚数は大学によって決められているので、数多く出せば良いというものではありません。誰に頼むのかを慎重に考える必要があります。そして、自己紹介、いわゆるレジメも必要です。自分がこれまで情熱を注いできた特技や才能、音楽やスポーツでの素晴らしい成績、作品やアチーブメントなどについて、簡潔にまとめます。そしてそれらをサポートする素材がサプリメンタル・マテリアルです。楽器や歌に自信のある人は自分の演奏のビデオや、自分で作曲した楽曲のスコアでも良いですし、またダンスのパフォーマンスビデオや写真、アート、フィルム、エッセイや小説などでも良いでしょう。 

大学側は、ただ単にテストの結果や在学中の成績だけでなく、様々な角度からその人の人となりを見て合否を判断します。サプリメンタル・マテリアルの一環として、音楽のライブオーディションを行なってくれる大学もあります。大学受験で音楽のオーディション、と聞くと、音楽大学やコンサヴァトリーの実技試験が一般的ですが、必ずしもそれだけとは限りません。一般大学でも、これまで真剣に学んできた音楽が活かせるチャンスがあります。ライブ・オーディションではそれぞれ専門の先生方が演奏に耳を傾けてくれます。 

これまで真剣に音楽を勉強してきた生徒さんは、是非これらの機会を大いに活かしてほしいと思います。学業と両立しながら時間をやりくりして続けてきた音楽の勉強は決して無駄にはなりません。それらはあなたの人生を豊かにし、喜びや、やりがい、達成感をもたらしてくれるでしょう。そしてそれらが大学受験にも大いに役立つことを覚えておいてもらえればと思います。 

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