北イタリアのピエモンテ州を代表する赤ワイン品種といえばネッビオーロ(Nebbiolo)。この品種を使って造られるワインの中で、長期熟成能力のある高級赤ワインとして特に有名なのが、DOCGバローロ(Barolo)。
DOCGとは限定された地域で栽培され、収量や醸造方法、熟成期間など、ブドウ栽培からワインの出荷まで、工程全般に設けられた基準を満たしたワインに与えられる格付け。熟成期間でいうと、バローロは最低38ヶ月(そのうち18ヶ月は木樽)という規定があります。
ネッビオーロは、香り豊かでバラなどの華やかな香りがあり、凝縮した果実味、酸味、タンニンがしっかりとあるため長期熟成能力も秘めている、とても魅力的な品種。これまでも世界各地の生産者たちが、それぞれの土地でバローロに比肩するワインを作ろうと、ネッビオーロの栽培に挑戦していますが、この品種は栽培がなかなか難しい。例えば、芽吹く時期は早く 、熟す過程はゆっくりで収穫時期は遅いため、春先や秋の霜や雨などで、新芽や果実を傷めるリスクが高い。また、土壌にもうるさく、石灰質の泥灰土や砂岩質の畑がお好み。
そんな気難しいネッビオーロの栽培地として近年注目されているのがサンタバーバラ。作付面積は多くないものの、十分な日射と海からの冷涼な風のおかげで、酸度を保ちながらゆっくりと熟すことができるため、近年質の高いネッビオーロが産出されるようになっています。
ここで、1980年代からネッビオーロを手がけているのが、この地のパイオニア的存在のJim Clendenen氏。Clendenen Family Vineyardsというラベルでネッビオーロを造っています。
そして、1997年からネッビオーロを作っているのがスティーブ・クリフトン(Steve Clifton)氏。イタリア品種に特化したパルミナ(Palmina)ワイナリーを立ち上げ、カリフォルニアのイタリア品種生産者の第一人者です。Palminaのネッビオーロ・サンタバーバラ・カウンティ(複数畑のブレンド)は4年間、単一畑のものは6年間、熟成させてからリリースされます。熟成でメインに使われているのは3500Lサイズの木の大樽。バローロで伝統的に使われている物と同じく、中のワインが空気に接触する面積が少ないため、酸化がゆっくり進みタンニンが柔らかく溶け込んでいきます。また、熟成により、トリュフやマッシュルーム、レザーなどの風味も加わり、より複雑で風味豊かな味わいとなっています。
バローロのように評価が確立するにはまだ道半ばですが、クオリティが高まっているカリフォルニアのネッビオーロ、引き続き注目したいワインです。