ペタルマ・ギャップAVA

サンフランシスコから北上してソノマのワインカントリーへ向かうと、まずたどり着くワイン産地が、昨年新しくできたペタルマ・ギャップ(Petaluma Gap)AVA(=American Viticultural Areas=アメリカブドウ栽培地域 )。

元々ソノマコースト(Sonoma Coast)AVAという広大なワイン産地の一部なのですが、その中の小区域としてペタルマ・ギャップAVAは成立しました。

これには、ソノマコーストAVAが、広すぎることの弊害で、同じAVAの中でも気候・地理条件にばらつきがあり、ソノマコースト産のワインといっても特徴が分かりにくかったという背景があります。そこで、ペタルマ地域に畑やワイナリーを持つ生産者団体が、自分たちのブドウとそれから造られるワインの特徴が明確に消費者へ伝わるように、独自のAVAを定義・申請し、認可されました。

ペタルマ・ギャップAVAは、太平洋に面したボデガ湾(Bodega Bay)とトマレス湾(Tomales Bay)の間の沿岸から内陸に向けて、サンパブロ湾まで広がる低地部分。海からの冷たい風と霧が低地に沿って入り込みやすいため、非常に冷涼なブドウ産地。太平洋沿岸近くでは、ブドウ栽培ができないほど涼しい場所さえあります。
 この冷涼で風も強い地域で栽培されるブドウは、粒が小さめで、糖度が上がりすぎず酸度も保ったままゆっくりと熟すことができます。そのため、凝縮感がありつつもアルコール度が控えめで心地よい酸味も感じられる、バランスの良いデリケートなワインが造られる素養があります。

このAVAの中には、良質なブドウを産出する銘醸畑がいくつもあり、ケラー・エステート(Keller Estate)のように、自家畑もワイナリーもAVAの中に持っている生産者もいれば、ギャップス・クラウン(Gap’s Crown)やサンジャコモ(Sangiacomo)などの畑のブドウは、他のAVAにワイナリー施設を持つ高級ワインの造り手にも供給されています。

ペタルマ・ギャップAVAに広がる4,000エーカー(約1,600ヘクタール)のブドウ畑のうち、75%は冷涼な気候を好むピノノワールが栽培されており、続いて13%がシャルドネ、12%がシラーとなっています。

ちなみに、このペタルマ・ギャップAVAは2018年1月から施行なので、ラベルに記載されるのは2018年ヴィンテージから。2018ヴィンテージが市場に出てくるのはまさにこれから。最近の潮流である、低アルコールの飲み疲れしないワインを探している方、バランスの良いエレガントなワインを探している方は、ペタルマ・ギャップAVA産のワインをチェックしてみてはいかが☆