前回紹介したように、カリフォルニアには現在139もの葡萄栽培地域=AVA(=American Viticultural Area)があり、覚えるのも大変。ましてや、各AVAの中に数多くあるヴィンヤードの名前なんて、数える気にも覚える気にもならないほどたくさん…でも、最高級の葡萄を生み出す畑の名前は、AVAよりも、ワインメーカーの名前よりも、知名度もブランド力も高かったりします。まさにそんな畑の一つを先日訪問してきました。
カーネロス地区は、ナパバレー地域とソノマ地域の最南端に位置し、両地域を横断して広がるブドウ栽培地域。正式名称はLos Carneros AVA。サンパブロ湾とペタルマ湾から流れてくる冷たい空気の影響で冷涼な地区です。ソノマにはカーネロス以外にも冷涼なAVAはたくさんありますが、温暖なナパバレーの中では最も冷涼な地区であることから、ナパバレー産のエレガントなシャルドネや ピノノワールの多くが、スパークリングワイン用も含め、カーネロス地区の畑から葡萄を供給して造られています。
そのカーネロス地区で「グランクリュ=特級畑」と呼ばれている畑が、 Hudson vineyardとHyde vineyard。その特級畑Hudson vineyardを訪問しました。
オーナーのLee Hudson氏と畑を歩きましたが、土が柔らかくふかふかしていて、よく耕して土に栄養を行き渡らせていることが感触から伝わってきます。多くの葡萄畑がヴィンヤードマネジメント専門会社に手入れを委託している中、Hudson氏は自家畑専用の従業員を雇用し、Hudson vineyardのスペシャリストチームとして長年一緒に畑の手入れを行っています。約200 acreを葡萄畑としていて、現在は35ワイナリーに葡萄を供給しているとのこと。
オーナー自らが常に畑に目を配り、葡萄の木が休眠時の今でさえ、いや、休眠時にこそ必要な手入れをしっかりと行っているところからも、この畑の葡萄が最高品質を維持し、この畑の葡萄に惚れ込むワインメーカーが多い理由を垣間見れました。
ワインは美味しく味わうことが一番大事。でも、今度美味しいなと思うワインに出会ったら、ラベルをちょっとよく見てみては?あなた好みのブドウの出自に関する情報=AVAやヴィンヤード名が書いてあれば、これから自分好みのワイン探しのヒントの1つになってくれるはず。
注:本文中の「特級畑」は法律等で認定された正式名称ではありません。