Ranさん Sakuさん “米系航空双子キャビンアテンダント、世界の空で、お待ちしております!”

井清 桜(いせい さくら)・姉
香川県出身。中学・高校時代をアメリカで過ごし、東京都内の大学を卒業。日本で2年間働いた後、アメリカの大手航空会社にCAとして転職。現在はサンフランシスコ在住。マイブームは今年から健康のために始めたジョギング。Instagram: @sakudayo_

井清 蘭(いせい らん)・妹
香川県出身。都内の大学を卒業後、新卒で米系航空会社に就職。テキサス配属を経て、現在はロサンゼルス配属。4月よりCA歴6年目。趣味は海外食べ歩き。Instagram: @ran_dayo

-キャビンアテンダント(以下、CA)になったきっかけを教えてください。

Ran:私は外資系CAのライフスタイルに憧れて、CAになりました。米系航空会社は、社風の良さや、福利厚生、ワークライフバランスをしっかり取れることが魅力だと思います。海外に住みつつ日本に自由に帰国できる生活が夢だったので、最短で叶えるにはこの職種がベストでした。

Saku:先にCAとして働いていた妹に憧れてこの業界に転職しました。当時日本で会社勤めをしていたのですが、世界中を飛び回っている妹の自由な生き方を見て、私ももっと色々な世界を見てみたいと思ったのがきっかけです。

-CAになるために、特に努力した事は?

Ran:CAになる前は英語が満足に喋れず、英語で会話すると無表情になってしまっていた事が課題でした。自宅で英語面接の練習姿を撮影し、見直して改善する…を繰り返していました。台本を作って丸暗記も試しましたが、一番効果があったのは実際の英語面接を何社か受けて場馴れした事だと思います。

Saku:私は妹のアドバイスを受けつつCA受験をしていたので、面接対策は彼女ほど努力をしたという感覚はないですね。面接以前に、書類審査に通らない事が多かったのでモチベーションを維持する事が大変でした。このまま現職を続けた方が楽なのではと、何度も挫折しそうでしたが、一度しかない人生において将来自分がどうありたいのかを考え、転職するなら早い方がいいと思いました。妹の紹介で現役CAに会って話を聞いたり、ウェブサイトやInstagramで情報収集してモチベーションを上げていました。

-小さい頃はどんなお子さんでしたか。

Ran:内気で大人しい子供でした。双子の利点でもあり欠点でもあるのが、常に遊び相手が傍にいるという点で、外のコミュニティに行かなくても退屈しないので、いつも二人で遊んでいました。

Saku:私も内気で、親戚の集まりでも親の後ろに隠れていたほど。小学6年生でアメリカに移住してからも、ずっとRanと遊んでいたので英語が上達せず、学校の授業に付いていくのが大変でしたが、日本語力は全然落ちなかったです。勉強が苦手でしたが、高校からは成績によってお小遣いが変わるシステムになり、頑張れば化粧品や洋服が買えると思うと、勉強も楽しくなりました。大学では興味のある分野について学べる事が嬉しくて、授業は休まず出席。あとはバイトに明け暮れていました。その頃には内気な性格はだいぶ改善されましたが、まだ話すのは得意ではなかったです。

-学生時代の専攻は何でしたか?英語のマスター法も合わせて教えてください。

Ran:東京の大学に進学し、国際教養学部の比較文化を専攻しました。英語が満足に喋れるようになったのは、今の航空会社の訓練を終えてからです。訓練では、完璧な英語でなくても、他のアメリカ人と同様に人前での発言が必要な環境だったので、精神的に鍛えられました。今思えば、私が英語を喋れなかった一番の原因は恥ずかしさだったのかなと。また、中米やヨーロッパ出身の英語がネイティブではない訓練生の存在も大きく、完璧な文法と発音じゃなきゃダメという固定概念を破ってくれました。

Saku:二人して同じ大学、同じ専攻でしたが、私は卒業後も都内で就職し、英語に接する機会が激減し、英語力は後退する一方。既にCAとして米国で働いていた妹の英語力が上がっていくのを見て、正直焦りましたが、この危機感も私が米系航空会社に転職をした要因の一つです。せっかく身につけた語学力を失うのって勿体ないですよね。CA訓練中に英語力は上がりましたが、実際に乗務をし始めてからの方が成長を感じています。ただ、今でも長期休暇で英語環境から離れると、発音が鈍ったり単語が出てこないことも。そんな時は、ひたすら仕事をするに限ります。仕事では英語でのコミュニケーションが必要なので、仕事に戻ると英語力が戻ります。

Ran:マスター方法ではないですが、路線によって様々な国のお客様がいますので、現地のアクセントや言い回しから学べることはよくあります。特にアジア圏の方々は、日本人ほどアクセントを気にしない印象ですが、しっかり会話できているので、その姿を見ていると怖気づかずに話せるようになりました。

お二人の挑戦を、ご家族はどのように応援してくれましたか。

Ran:就活中は、CAに挑戦してる事は恥ずかしくて両親には話せてなかったです。航空会社の内定が出てない状態で、他業種の内定を断った時は心配されましたが、常に私の選択を尊重してくれました。両親をファーストクラスに乗せたいという思いも航空業界へのモチベーションでした。

Saku:私は転職活動を始めた時から周りに「CAに転職をしたい」と話していました。親戚には「考え直した方がいい、今の仕事の方が安定していてる」と言われましたが、両親だけは私の背中を押してくれました。妹には面接のアドバイスをもらい、またアメリカで行われる面接の為に航空券を手配してもらったり。感謝しかありません。

-新型コロナウイルスの影響で航空業界も打撃を受けていますが、機内ではどんな事を心がけていますか。

Saku:機内ではマスクを装着し、ハンドサニタイザーの使用や、最低20秒以上の手洗いを徹底しています。加えてサービス中はゴム手袋を装着するなど、人と人が接触しないよう心がけています。

Ran:乗客が減少し、空席が沢山あるので、”social distancing”の一環として、お客様同士の席をなるべく離したり、クルー座席付近の客席は空席にしたりと、配置にも工夫しています。また、一度使用したコップは再利用不可としてますので、ファーストクラスでも使い捨てのコップを使用しています。

-J weeklyの読者にメッセージをお願いします。
インタビューを読んでいただき、ありがとうございます。海外で働くこと、航空業界で働くことについて多くの人に知っていただけたら幸いです。現在はコロナウイルスの影響でどの業界も厳しい局面を強いられておりますが、感染を少しでも防ぐために、今は家で過ごすべき時だと思っています。みなさんで一緒に乗り切りましょう。