文化の多様性を大切にする 地域に住めることは、 とてもラッキーなこと。

クパチーノ桜祭り実行委員長
Cupertino – Toyokawa Sister Cities, Inc. 代表
Alysa  Sakkas さん

◆ Alysa(Watanabe)Sakkas プロフィール
日系アメリカ人三世としてミシガン州で生まれ育ち、ミシガン大学でコンピューター工学の学位を取得。JACL(日系アメリカ人市民同盟)で活動する傍ら、中西部東部地区青年評議会議長を務め、その後、全国青年評議会議長を務めた。航空機・宇宙船の開発製造会社Lockheed Martin にて Senior Staff Systems Engineer を30 年以上務めた。クパチーノと姉妹都市・愛知県豊川市との文化的交流を図るNPO 法人Cupertino-Toyokawa Sister Cities, Inc. 代表としてクパチーノ桜祭りを毎年開催。4-H club(青少年クラブ)やPTA、ロータリークラブの活動やリーダシップの功績が称えられ、2018 年にクパチーノ生涯功労賞(Cupertino’ s Lifetime Achievement award)の初の受賞者となった。
クパチーノ桜祭りwebsite: https://www.cupertinocherryblossomfestival.org/

 毎年多くの人が楽しみにしているベイエリア各地の桜祭り。クパチーノ桜祭りもコロナ禍により昨年は開催中止となり、今年は長い歴史の中で初のオンライン開催となった。今回は、日系三世として生まれ育ち、クパチーノと姉妹都市・愛知県豊川市との文化交流プロジェクトに尽力する、第 38 回クパチーノ桜祭りの実行委員長の Alysa Sakkas さんにお話を伺った。

―ミシガン州で日系三世として生まれ育ったとのことですが、クパチーノに来られたきっかけは何でしたか。

 私の両親はともに、カリフォルニア州のセントラルバレーの農家に生まれました。第二次世界大戦中、父の家族は、ミシガン州デトロイトの農場の修復プロジェクトの参加に同意したため、強制収容所から早く離れる許可がおりたのです。父はMIS(Military Intelligence Service) と大学で米軍に勤務した後、デトロイトを拠点とする自動車産業でエンジニアとなり、父の家族の一部はカリフォルニアに戻りました。それにより父の家族は大戦後、カリフォルニアとミシガンの間で離れて暮らしていたので、私は小さい頃、多くの夏休みをベイエリアやセントラルバレーで過ごしたことを覚えています。ミシガン大学に通った後、ロッキード(当時)のコンピューターエンジニアとしての職を得てベイエリアに移住し、1991年にクパチーノに引っ越してきました。

―クパチーノと豊川市の姉妹都市交流を図る Cupertino-Toyokawa Sister Cities, Inc. の代表に就任した経緯を教えてください。

 クパチーノと豊川市は1978年に姉妹都市になりましたが、息子がこの姉妹都市交換留学プログラムに応募したいと言った2007年まで、この事については知りませんでした。この交換留学プログラムにはホームステイの側面がある事と、クパチーノ桜祭りの家族ボランティアへの意欲も問われるため、選ばれた学生だけでなく家族もプログラムに含まれます。私は委員会の組織と活動内容に非常に感銘を受け、息子がプログラムを修了した後、委員会に参加したいと思いました。次に開催された成人向けの文化交流旅行(5年ごとに開催)で豊川市に行きましたが、その後私の娘も委員会の学生代表となりました。私は委員会で様々な役割を果たし、最終的には2014年に代表に就任しました。

2018年、クパティーノから約40名の使節団が豊川市を訪問

― Cupertino-Toyokawa Sister Cities, Inc. では具体的にどんな活動をしていますか。

主にクパチーノと豊川市の姉妹都市関係をより良く育む活動を行っています。クパチーノはこの役割を私達に委任しており、非営利団体ですが、市の委員会と同様に運営しています。また、プログラミングを組織し、資金調達をし、市に私達のプランを常に報告しています。具体的な活動としては、四つあります。
 一つ目は、毎年恒例のクパチーノ桜まつりの開催です。これは豊川市との姉妹都市関係を称え、日本の芸術と文化を周辺のコミュニティと共有する事が目的です。また、この桜祭りは同時に他のプログラムを支援するための募金活動も兼ねています。
 二つ目は、クパチーノユニオン学区(CUSD)と協力して、中学生向けの交換留学プログラムの開催です。これは約1年間のプログラムで、学生と引率者はCUSDの中学校から選ばれます。学生達は日本語と日本文化を学び、桜祭りでボランティアとして働き、姉妹都市と日本の観光スポットに約10日間旅行し、豊川市からクパチーノを訪れる学生を迎えます。
 三つ目は、5年ごとに、成人向けの文化交流プログラムを実施しています。学生交流と同様に、ホームステイとして行われていることは非常に重要な特徴です。クパチーノと豊川市のホスト委員会は、両都市への訪問者のための活動と観光を計画しています。
 四つ目は、日本の美術工芸品を教えるクパチーノロータリー秋祭りや、活動を説明する情報ブースがある市のボランティアフェアなど、他の市やコミュニティのイベントへの参加です。 今年、私たちの委員会は、コミュニティの一員として「Stop Asian Hate」ラリーに参加しました。

― Cupertino’s Lifetime Achievement award を受賞されましたが、主にどのような功績が讃えられたのか教えてください。

 過去10年間のボランティア活動の集大成として2018年にクパチーノのCREST(Cupertino Recognizes Extra Steps Taken)賞の受賞と、クパチーノで最初の生涯功労賞に選ばれたことを光栄に思います。この10年間では姉妹都市プログラムの活動に多くの時間を費やしたほか、子供達が通う二つの学校でPTAの会長を務めた事、夫と私で2007年から 4Hクラブのプロジェクトリーダーとして、養蜂について子供達に教えるための Bee Project の主宰活動などに尽力してきました。また、若い女性の学生にSTEM(科学、技術、工学、数学)関連の研究とキャリア追求を促すプログラムに参加したり、2014年にはオバマ政権下で The President of the United States Volunteer Service Award – Lifetime Achievement in 2014 も受賞しました。乳がん早期発見の啓蒙運動やクパチーノのロータリークラブでの活動なども評価されたのではないかと思います。
 現在は The World Community Service Committee の委員長を務めています。

―クパチーノ桜祭りの実行委員長としての決意や抱負をお聞かせ下さい。また、初のオンライン開催ですが、見所を教えてください。

 今年はオンライン開催のため、内容は大幅に縮小されていますが、目標は、可能な限り幅広いパフォーマンスを1時間に凝縮することです。また、コロナ禍で演奏する機会を持てなかったアーティストを引き続き支援する決意です。
 もう一つの目標は、委員会の素晴らしいチームワークをこれからも維持することです。
 今年の見所は、茶道、書道のデモンストレーション、太鼓、合唱とダンス、楽器(箏、三味線、尺八)などの日本の芸術パフォーマンスのライブ配信です。また、リアルタイムでチャットできるので、是非ご参加ください。昨年の桜祭り開催中止は非常に残念でしたし、今年も皆さんと直接お会いできないとは想像もできませんでしたが、今年の桜祭りはクパチーノ市長がキックオフし、在サンフランシスコ日本総領事とCUSDの教育長がご挨拶の言葉をくださることを光栄に思います。

―日系三世として、この桜祭りを通してアメリカ社会にどう貢献したいと考えていますか。

 ミシガン州で育った私のような三世にとって、日本の文化などを知る機会がほぼなかったので、現在、多様性を大切にする地域に住むことができ、ラッキーだと思っています。他の国について学ぶとき、文化や芸術を通して学ぶ事は一番良い方法だと思います。これまでの桜祭りを通して頂いた最大の賛辞は、元日本総領事館のメンバーからの「桜祭りでは日本の様々な地域の芸術や、私の子ども達がまだ見た事も無いような文化も紹介しており、その多様性に驚いた」というものでした。日本の美しい芸術や文化を地域社会に紹介していくことで、両国の橋渡しとなっていきたいと思います。

―最後に、J weekly 読者にメッセージをお願いします。

 クパチーノと豊川市の姉妹都市の友好関係や私達の情熱は、このパンデミックに負けないぐらい、非常に強いです! 今年の4月24日午後1時のバーチャルフェスティバルに、ぜひご参加ください。
 そして、来年2022年4月30日から5月1日に、クパチーノ桜祭りで直接お会いできることを楽しみにしております!