“沢山の人を幸せにしてきて” と祈りながら。

ベイエリアの主たる日本食スーパーにて人気の、オーガニックケーキ”eca-fe”。そのオーナーでありパティシエの小塩由美さんにお話を伺いました。

ケーキ作り、および販売を始めたきっかけは

私には3人の子供がいるのですが、昨年末25歳になった長男エリックは自閉症です。彼が成長期だった12,3年前、好んで食べていたスナック等含め、食事全般をグルテンフリーにしようと全て手作りしていました。その時の誕生日プレゼントにKitchenAid のスタンドミキサーをもらったのが、ケーキ作りを始めたきっかけ。最初は友人たちへのプレゼントのみだったのですが、これは売るべきだと言われてサンマテオのスルキスーパーへ売り込みに行ったのです。

お仕事が軌道に乗るまで、どのような苦労がありましたか

最初は全く売れなかったので、” 美味しくなって沢山の人を幸せにしてきて”と祈りながらケーキを作っていた事を覚えています。そんな時に友人たちが、バースデーケーキがほしい、お土産に持って行きたい、イベント用のケーキが必要、などとオーダーしてくれました。いつも私のビジネスをサポートしてくれる友人たちに、本当に感謝です!
ケーキのパッケージングなども試行錯誤しましたが、売れ行きはお店毎(新しいものが売れるかどうかはお客様層によります)、曜日、天気、気温などで変わってくるので、デリバリースケジュールの調整は今でも大変です。

ご家族の反応はいかがでしたか

最初は喜んでクリーム等を食べていましたが、常に家にあると有難みがなくなるようです(笑)。でも、最近販売を開始したクリームたっぷりの堂島ロール風ケーキ(現在スルキとミツワサンノゼ店のみで販売)は大好評!

ケーキ販売を始めて、忘れられないエピソードなどありますか

2年前にウエディングケーキのオーダーを初めて頂いたのですが、ピックアップに来られた際、新郎新婦とご家族の皆さんが、うわ〜、いい匂い!と喜んでくれたのです。
お客様は、特別な日の為にデコレーションケーキのオーダーをくださいます。様々なリクエストに合わせてレシピ、デコレーションを考えるのは大変ですが、お渡しの時に喜んで頂けて、その後美味しかったとお言葉を頂くことで、全ての努力が報われた気がして何より嬉しいです。

ケーキのこだわりは

そもそもケーキ作りを始めたのは、子供が口にして安全なもの、美味しいと言ってくれるものが欲しかったから。それが第一優先です。オーガニックの材料、甘さ控えめ、小麦粉も少量なのでホワホワ食感。バター、ベーキングパウダー(ロールケーキ)はもちろん、保存料も入っていません。生クリームもオーガニックなので、お砂糖を加えるだけで美味しく仕上がっています。チョコレートケーキ(オンライン販売)は、チョコレートラバーに大好評です。抹茶ケーキは(同じくオンライン販売)は芳醇な香りの抹茶パウダーを使い、お砂糖を更に減らしているので抹茶の風味を存分に味わえます。素材を生かした、体に良いシンプルな美味しさに、とことんこだわっています。

今後の目標を教えてください

15年ほど前に漠然と抱いた夢は、長男が成人した時に働ける場所を作る事。カフェをオープンして、長男と一緒に働いて大好きなケーキ作りができたら嬉しい。いつかは障害を持った方々と共に活動できる企業になるよう頑張ります。

Jweekly 読者に一言

アメリカでは美味しいケーキが食べられないと嘆いている方、是非お試し下さい。新しいケーキにも挑戦していきますので、お楽しみに!


小塩由美(こしお ゆみ)
2015 年、個人で手作りケーキの販売を開始。現在、カスタムケーキの受注製造の他、ニジヤ、ミツワ、マルカイ、スルキ、東京フィッシュマーケットなどSF ベイエリアの日本食材店にロールケーキ等を卸す、eca-fe のオーナー兼パティシエ。
website : www.eca-fe.com