カリフォルニアには、日本人ワインメーカーが造っているワイン銘柄がいくつかあり、それらについてはまた機会をあらためて書きたいテーマなのですが、一方で、日本人ではないワインメーカーの中にも、日本文化に影響を受け、和の精神をワイン造りに活かしている素晴らしいワインメーカーさんたちもいます。
Brewer-Cliftonのワインメーカー、Greg Brewer氏はまさにそんな一人。サンタバーバラを代表する造り手で、彼のユニークなワイン造りのスタイルは、和食の「素材の味を活かす」調理法に影響を受けています。ワイン造りにおける素材の味とは、つまり、ワインの原料であるブドウそのものの味わいを重視するということ。
Brewer-Clifton はピノノワールとシャルドネに特化した銘柄ですが、Brewer氏はどちらにも新樽を一切使わず、古い樽だけを使っています。新樽は樽の風味が強いので、 濃い味付けで素材の味わいが隠れてしまわないよう、敢えて新樽を使わないのです。素材の味を引き立たせるために余計なものはできるだけ加えないという、和食の哲学に通じています。
また、素材の力を最大限生かすためには、素材の品質が最も重要であることから、ブドウ畑での収穫までの作業を一番重視していて、収穫後のワイナリーでの作業は、素材の力をできる限り邪魔しない、ミニマムタッチをめざしています。これは、寿司職人がお刺身を切るとき、鮮度を保つために魚に触れる時間を最短でサッとカットするのと同様のイメージとのこと。
Brewerさんと話していると、身近すぎてあまり意識していなかった和食文化を再発見するとともに、和食文化がワイン造りにこんなふうに応用することができるんだという新鮮な驚きをもたらしてくれます。
このように日本文化に親和的なBrewer-Cliftonのワインは、サンタバーバラという日射の強さと冷涼さを併せ持った稀有な場所で育った素材の味わい=しっかりと熟したブドウの果実のパワーと、果実とのバランスをとるフレッシュな酸味が見事に調和した味わいが表現されているワインとして、今や世界的に認知度の高い銘柄となっています。そしてまた、和食との相性抜群の味わいともなっているので、ぜひお試しあれ☆