米カリフォルニア州、6月15日からの全面的な経済再開に向け方針発表
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (5/31/2021 Updated)
米国カリフォルニア州公衆衛生局は、6月15日の全面的な経済再開に向けた公衆衛生に関係する具体的な方針を5月21日に発表した。6月15日以降、原則として全てのセクターは通常のオペレーションに戻ることができる。同州は4月6日、新型コロナウイルスワクチン供給量と入院者数の2つの条件で6月15日に全面的な経済再開を発表していた(2021年4月9日記事参照)。
今回の方針では、屋内・屋外のビジネス活動に関する人数制限や物理的距離の制限はなくなる。マスク着用は州公衆衛生局の最新ガイドラインに従うとする。同局は5月17日、ワクチン接種完了者(注1)に対し、6月15日以降は米国疾病予防管理センター(CDC)の指針(2021年5月18日記事参照)に従い、屋内でマスク着用を原則不要にする予定と発表している。国内外旅行については、CDCや州公衆衛生局の渡航勧告に従うこととする。同局は4月2日、旅行に関するガイドラインを更新し、ワクチン接種完了者の米国内の旅行について、新型コロナウイルス関係症状がない限り、旅行前または旅行後に検査や自己隔離は求めない。屋内・屋外の大規模イベントには要求・推奨事項がある。その1つに、屋内の大規模イベント(参加人数5,000人以上、例:カンファレンス、スポーツイベント)や屋外の大規模イベント(参加人数1万人以上、例:音楽・食品のフェスティバル、マラソンイベント)はワクチン接種完了、または陰性証明(イベント開始時間の72時間以内に発行)を参加者などへ求める(屋外イベントは推奨)。この方針の適用期間は現時点で6月15日から10月1日まで(注2)。
全面的な経済再開が現実的になる一方で、日系企業に影響を与える動きも見られる。日系企業も多く所在する北カリフォルニアのサンタクララ郡は5月18日、新たな公衆衛生の命令を発出した。命令事項の1つに、所在する事業者などに対して、従業員(注3)のワクチン接種状況の確認・記録の保持を求め(注4)、命令が有効となる5月19日から14日以内に全ての従業員のワクチン接種の状況確認をしなければならない。記録はこの命令が無効になるまで保持し、14日ごとにワクチン接種未完了者の状況の更新を行う必要もある。事業者は、郡へ記録を開示することは求められない。
(注1)各種決められた回数のワクチン接種完了後2週間を経た者が対象で、ファイザー製とモデルナ製は2回接種、ジョンソン・エンド・ジョンソン製は1回接種でワクチン接種完了とされている。
(注2)9月1日までに州内の状況を確認し、10月1日以降の方針を決定する予定。
(注3)同じ施設内で就業する全てのコントラクターやボランティアを含む。リモート勤務の従業員へは義務ではなく強く推奨とされる。
(注4)接種状況を確認するためのサンプルフォームは郡のページからダウンロード可能。
(Jetro 石橋裕貴)
米サンフランシスコ・ベイエリア、在宅勤務を通勤手当制度の選択肢に
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米国カリフォルニア州ベイエリア大気質管理局と都市交通委員会は5月24日、ベイエリア通勤手当プログラムにおいて、在宅勤務をプログラム順守のための選択肢に加えると発表した。当初、新型コロナウイルスの感染拡大対策として始まった在宅勤務が定着してきたことが背景にある。
ベイエリア通勤手当プログラムは、公共交通機関や自転車などによる通勤を奨励することで同地域の交通渋滞緩和や大気汚染を改善することを目的に、一定の条件を満たす雇用主(注1)に従業員(注2)への通勤手当や通勤手段の提供を義務付けるもの。これまでは、同プログラム順守のための4つの選択肢(注3)のうち、いずれか1つ以上の導入を義務付けていた。今回の発表により、従業員に週1日以上の在宅勤務を許可する選択肢が加わった(注4)。同プログラムを順守しない雇用主は、カリフォルニア安全衛生法規に基づいて罰金が科される。
ベイエリア大気質管理局のジャック・ブロードベント局長は発表の中で、「ベイエリアにおいて、輸送は最大の温室効果ガス(GHG)排出源だ。いつ、どこで、どのように働くかといった柔軟性が輸送関連の汚染を減らす助けになる」と述べた。
ベイエリア通勤手当プログラムとは別に、条例によって同様の通勤手当の提供を雇用主に義務付ける自治体もある。サンフランシスコ市では、同市内に所在し米国内で計20人以上従業員を持つ雇用主に通勤手当条例が適用されている。
(注1)サンフランシスコ・ベイエリア(9郡:サンフランシスコ、サンマテオ、サンタクララ、アラメダ、コントラコスタ、ソラノ、ナパ、マリン、ソノマ)において、50人以上のフルタイム従業員を抱える雇用主が対象。人材派遣会社も、平均週30時間以上勤務する50人以上のフルタイム従業員がいれば該当する。
(注2)直近の月に平均週20時間以上勤務した従業員。ただし、年間120日未満勤務の臨時従業員、一時的な勤務地で働き本社に出向かない従業員は含まない。
(注3)(1)従業員の課税所得から交通機関や通勤相乗りバン利用費の控除、(2)交通機関や通勤相乗りバン利用費の雇用主による一部または全額負担、(3)低価格あるいは無料のバスやシャトルサービスなどの提供、(4)1人しか乗車していない車両を減らす代替通勤手段(週の勤務日数を減らし、1日の勤務時間を増やす勤務体制の導入など)に対する手当の提供。
(注4)在宅勤務ができない従業員向けに提供している通勤手当を廃止しないことが条件。
(Jetro 田中三保子)
米ワシントン州、6月末に全面的な経済再開へ
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米国ワシントン州のジェイ・インスレー知事は5月13日、新型コロナウイルス感染予防のための屋内活動における収容人数制限を6月30日にほぼ全て解除し、全面的な経済再開を行う予定と発表した。16歳以上の住民の70%以上が少なくとも1回目のワクチン接種を終えることが全面再開の条件となる。13日時点でこの達成率は56%となっている。6月30日より前に達成された場合、全面再開の日程は早まる可能性もあるが、今後の感染状況次第となる。
同州は「Healthy Washington」と呼ばれる経済再開計画に基づき、ビジネス活動の再開・制限について、各郡を感染状況に応じて3つの段階に分類し管理している。今回のインスレー知事の発表に伴い、全ての郡は5月18日から最も制限が緩いフェーズ3となった(注1)。また、同知事はマスク着用ガイダンスに関して、米国疾病予防管理センター(CDC)が13日に発表した新たなマスク着用指針(2021年5月18日記事参照)を全面的に採用すると発表した。ただし、事業者は顧客にマスクの着用を求めることができる。
オレゴン州でも、ケイト・ブラウン知事が5月11日、ほぼ全ての経済制限の解除に向けて、16歳以上の住民の70%以上が少なくとも1回目のワクチン接種を終えることを目標とすると発表した。同知事は「6月中にこの目標を達成できると確信している」と述べた。18日には州保健当局がCDCの新たなマスク着用指針に基づき、州のガイドラインを更新した。
6月15日からの全面的な経済再開の見通しを4月に発表したカリフォルニア州(2021年4月9日記事参照)では、マスク着用に関して、同州保健福祉局が5月17日、ワクチン接種完了者については6月15日以降、CDCの指針に従いほぼ全ての屋内でマスク着用を不要にする予定と発表した。
(注1)フェーズ3では例えば、飲食店や小売店は収容人数を定員の50%までに制限して営業可能。屋外スポーツイベントは原則400人まで収容可能。
(注2)各種決められた回数のワクチン接種完了後2週間を経た者が対象で、ファイザー製とモデルナ製は2回の接種、ジョンソン・エンド・ジョンソン製は1回の接種でワクチン接種完了とされている。
(Jetro 石橋裕貴)
米加州、12~15歳の新型コロナワクチン予約受け付けを開始
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米国カリフォルニア州は5月13日、12~15歳の州住民を対象に、ファイザー製新型コロナウイルスワクチン接種の予約の受け付けを開始した(注)。食品医薬品局(FDA)が10日にファイザー製ワクチンの緊急使用の対象に12~15歳を加えることを承認し、12日には疾病予防管理センター(CDC)が同年齢グループへの同ワクチンの安全性と有効性を発表したことを受けた措置となる(2021年5月13日記事参照)。今回の対象年齢の拡大により、同州では約210万人が新たにワクチン接種対象となった。
16歳以上の同州住民は4月15日から全員が既に接種対象となっている(2021年4月23日記事参照)。ギャビン・ニューサム知事は「10代の若者に接種対象を拡大することは、来月に安全に経済を再開するための次のステップだ」と述べた。同州は、6月15日から経済の全面再開を予定している(2021年4月9日記事参照)。
カリフォルニア州によると、同州では1週間当たり約660万回分のワクチンが投与可能で、そのうち250万回分が今回新たに加わった年齢層向けに提供される見込み。これとは別に、地域の薬局や連邦政府認可の医療センターなどでもワクチンが用意されている。
5月12日時点の同州の検査陽性率は1.1%(7日間移動平均)で、累計感染者数は約366万人、累計ワクチン投与回数は約3,300万回となっている。
(注)カリフォルニア州政府のウェブページによると、未成年者の新型コロナウイルスワクチン接種には、原則、親または法定後見人、親権を持つ成人の同意が必要となる。
(JETRO 田中三保子)
米カリフォルニア州、在宅勤務率は5割超、新型コロナ感染拡大から1年
米国の南カリフォルニア大学(USC)とカリフォルニア新興技術基金(CETF)は4月19日、新型コロナウイルス感染下の在宅勤務状況などに関して、カリフォルニア州住民(18歳以上)を対象に実施したアンケート調査結果(注1)を発表した。それによると、回答時から過去1カ月間に在宅勤務をしていた割合は55%(週5日:38%、週1~4日:17%)に上った。同州で新型コロナウイルス感染拡大が顕著となってから約1年が経過し、感染状況が改善しつつある中でも、過半数が在宅勤務を維持していることがわかる。
在宅勤務の実施割合は、必須業務に従事するかどうかや年収によって大きく異なる。必須業務に従事する人(全体の57%)のうち、在宅勤務実施割合は47%と、非必須業務従事者(68%)に比べ、20ポイント以上低かった。週5日在宅勤務する人の割合は年収が下がるごとに減り、年収10万ドル以上で57%なのに対し、6万ドル以上10万ドル未満で40%、4万ドル以上6万ドル未満では23%にとどまる。
また、回答時に在宅勤務をしていた人(全体の55%)のうち、31%が新型コロナウイルス収束後に週5日の在宅勤務を希望している。週1~2日を希望する割合は29%、週3~4日は22%と、オフィス勤務と在宅勤務を組み合わせた働き方を望む割合が合計51%に上った。週1日も在宅勤務を希望しない割合は18%だった。
サンフランシスコ・ベイエリアのビジネス団体ベイエリアカウンシルが3月10~16日にサンフランシスコ・ベイエリア9郡(注2)の有権者1,000人を対象に実施した調査では、新型コロナウイルスが収束しても、感染拡大前に比べて出勤日数を減らし在宅勤務日数を増やす傾向がみられた。感染拡大前のオフィス出社日数と収束後の出社予定日数を比べると、被雇用者(全体の63%)のうち、感染拡大前に週5日オフィスに出社していた割合は58%だったが、収束後に週5日出社予定と回答した割合は38%に減少している。
(注1)調査実施時期は2月10日~3月22日。回答者数は1,650人。
(注2)サンフランシスコ、マリン、ナパ、ソノマ、ソラノ、コントラコスタ、アラメダ、サンタクララ、サンマテオの9郡。
(Jetro 田中三保子)
米カリフォルニア州、16歳以上の全ての住民がワクチン接種可能に
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (4/22/2021 Updated)
米国カリフォルニア州では、4月15日から16歳以上全ての住民がワクチン接種対象となった(注1)。16日の州公衆衛生局の発表によると、16歳以上の住民の50%が少なくとも1回は接種を行っている(注2)。同州のギャビン・ニューサム知事は「ワクチン接種対象の拡大は、パンデミックと戦う私たちの州の大きなマイルスートンで、今後数カ月後に予定される全面的な経済再開に向けての新たな一歩だ」と評価した(注3)。また、「皆さんにできるだけ早くワクチン接種を行うことを奨励する」とも述べた。
ワクチン接種の証明がイベント会場へ入場できる条件の1つにしている施設もある。例えば、メジャーリーグチームのサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地、サンフランシスコ市のオラクルパークは、観客数を収容人数定員の50%までに制限して試合を行うが、12歳以上の入場希望者には試合日の3日前以内に受け取った新型コロナウイルス検査の陰性証明、または、試合日の2週間前までにワクチン接種を完了していることを示すことを求める。ほかにも、プロアイスホッケーチームのサンノゼ・シャークスは、4月26日から本拠地サンノゼ市のサップセンターでの主催試合の再開を予定。入場希望者は、試合の72時間前以内に発行された新型コロナウイルス検査の陰性証明、または、試合日の2週間前までにワクチン接種を完了していることを示す必要がある。
また、同州では3月末、新型コロナウイルスに関連したとの理由で勤務(リモートワークを含む)ができない従業員に、追加の有給病気休暇取得を可能とする州法(SB95)が発効した。全米で25人超の従業員を雇用するカリフォルニア州の全事業者が対象となる。対象事業者は、(1)従業員がワクチン接種を受ける場合や、(2)ワクチンの副作用により勤務できない場合などに、従業員(注4)に有給病気休暇を最大80時間与えなければならない(注5)。また、従業員に対し、同有給病気休暇を取得する前に他の休暇を使用するように求めてはならないとされている。同法は、2021年1月にさかのぼって有効となり、9月30日まで適用される。
(注1)近隣のワシントン州では4月15日、オレゴン州では19日から16歳以上の全ての住民がワクチン接種対象となった。
(注2)4月6日時点で一部の郡では既に16歳以上の住民が接種対象となっていた。
(注3)カリフォルニア州は、ワクチン供給量と入院者数の条件を満たすことを前提に6月15日に全面的な経済再開を予定している(2021年4月9日記事参照)。
(注4)フルタイムの労働、または、有給病気休暇を取得した日の前の2週間において、1週当たり少なくとも平均40時間勤務した、もしくは勤務する予定だった従業員。
(注5)従業員が新型コロナウイルスに関連した命令やガイドラインにより隔離の対象となっている場合や、従業員が同隔離の対象となっている家族を世話するため業務ができない場合なども認められる。
(Jetro 石橋裕貴)
米セールスフォース、5月にサンフランシスコ本社オフィス再開へ
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (4/19/2021 Updated)
米国カリフォルニア州サンフランシスコ市に本社を構える顧客管理(CRM)プラットフォーム大手のセールスフォース・ドットコムは4月12日、本社オフィスを5月に再開予定と発表した。
まず、新型コロナウイルスワクチン接種を完了した従業員のうち希望者を対象にオフィス勤務を再開する予定。従業員は安全対策や公衆衛生に関する命令に従った上で、100人以下のグループに分かれて、指定フロアで勤務する。職場では1週間に2回の新型コロナウイルス検査を求めるとしている。他方、全ての従業員に対して、少なくとも2021年12月31日までリモート勤務を続ける選択肢を与える。本社のほか、同時期にカリフォルニア州のパロアルト市(サンタクララ郡)、アーバイン市(オレンジ郡)のオフィスも再開予定だ。
同社は世界各地の拠点でオフィス勤務の再開を次の3段階で進めていく方針を示している。
- 第1段階:ワクチン接種完了者を対象に自発的なオフィス勤務が可能(米国本社オフィスの再開はこの段階)
- 第2段階:オフィスの収容人数を定員の20%から75%まで徐々に拡大、ワクチン接種の有無にかかわらず従業員はオフィス勤務が可能
- 第3段階:全面的な再開
サンフランシスコやシリコンバレーに拠点を置くテック企業では、セールスフォース以外にも、フェイスブックやグーグルなども従業員の自主性に任せたオフィス再開に向けて動き出している(2021年4月9日記事参照)。
(Jetro 石橋裕貴)
米西海岸4州、J&J製の新型コロナワクチン投与の一時停止発表
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (4/15/2021 Updated)
米国西海岸4州(カリフォルニア、オレゴン、ワシントン、ネバダ)は4月13日、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の新型コロナウイルスワクチンの投与を一時停止することをそれぞれ発表した(注1)。疾病予防管理センター(CDC)と食品医薬品局(FDA)が同日に、J&J製ワクチン接種後に血栓が発生した6例について調査を行うとし、同ワクチン使用の一時的な停止を勧告する共同声明を発表したことを受けた措置となる(2021年4月14日記事参照)。
カリフォルニア州では、4月13日までに新型コロナウイルス感染者数は約360万人、死者数は約6万人となっている。ピーク時(2020年12月末~2021年1月初め)に17%程度だった検査陽性率(7日間移動平均)は、4月12日には1.7%まで低下している。同州のワクチン投与回数は13日までに合計約2,400万回。同州人口の約40%が少なくとも1回目の接種を終えている(注2)。現地報道によると、同州のJ&J製ワクチン投与数は全体の10%で、ファイザー製が48%、モデルナ製が41%を占めている(「ロサンゼルス・タイムズ」紙電子版4月13日)。
同州のギャビン・ニューサム知事は13日の記者会見で、「カリフォルニア州での週単位のワクチン配布に占めるJ&J製ワクチンは4%程度。今週は先週よりも多くのファイザー製、モデルナ製のワクチンを受け取る予定で、今週予定している州全域での16歳以上への接種対象の拡大(注3)を遅らせることはない。また、6月15日までの経済の全面再開に影響はない」と述べた。ニューサム知事は4月1日にJ&J製ワクチンを接種している。
オレゴン州では、人口の35%が少なくとも1回目の接種を終えており、企業別の投与済みワクチンの割合は、J&J製が4%、ファイザー製が52%、モデルナ製が45%となっている(4月13日時点)。ワシントン州では、人口の34%が少なくとも1回目の接種を終え(4月10日時点)、J&J製は全体の約4%とみられる。ネバダ州では、人口の約32%が少なくとも1回目の接種を終えた(4月13日時点)。これまでに同州で投与されたJ&J製ワクチンの数については、現時点では同州保健局のウェブサイトなどでは公表されていない。
各州は住民に対し、J&J製ワクチン接種後3週間以内に深刻な頭痛や腹痛、足の痛み、息切れのような副反応がある場合は、医療機関で受診することを促している。
(注1)米国で緊急使用が許可されている新型コロナウイルスワクチンは、ファイザー製、モデルナ製、J&J製の3種類。
(注2)J&J製の場合は1回で接種完了。ファイザー製とモデルナ製は2回の接種が必要。
(注3)カリフォルニア州では、4月15日から16歳以上の全住民がワクチン接種対象となる(2021年4月9日記事参照)。
(Jetro 田中三保子)
米カリフォルニア州、6月15日から全面的に経済再開へ
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (4/09/2021 Updated)
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は4月6日、新型コロナウイルス感染拡大からの回復に向けた次のステップとして、6月15日に全面的に経済を再開する方針を発表した。ワクチン供給量と入院者数の2つの基準を満たす前提で、2020年8月から実施してきた経済再開計画(Blueprint for a Safer Economy、注1)(2020年9月8日記事参照)から全面再開へと移行する。同州では、新型コロナウイルスの感染者数、死者数、検査陽性率、入院者数の各指標が改善傾向にある。ワクチン接種も進んでおり、州政府の発表によると、6日までに累計2,100万回以上が投与された。
全面的な経済再開のための2つの基準は、(1)ワクチン接種を希望する16歳以上の州民に十分な量のワクチンが供給されていること、(2)入院者数が安定して低いこと。州政府は入院者数やワクチンへのアクセス、変異ウイルスに対するワクチンの有効性を引き続き注視し、必要があれば、6月15日の経済の全面再開予定日を再検討する可能性もある。また、全面的に再開された場合でも、マスク着用義務などは維持し、全ての住民にワクチン接種を促していくとしている。カリフォルニア州では、4月15日から16歳以上の全住民がワクチン接種対象となる(注2)。
州公衆衛生局の発表によると、全面的に経済が再開された場合、学校などの教育機関はガイドラインなどを順守しながら全ての授業を対面で行うことが推奨されている。また、職場については、屋内換気の改善や、屋内・その他の感染リスクの高い環境下でのマスク着用、事業運営に影響がない範囲でのリモートワークなど感染リスクを減らす対策が求められる。住民や旅行者は、州公衆衛生局や米疾病予防管理センター(CDC)の最新のガイドラインに従う必要がある。
感染状況の改善を受け、サンフランシスコ、シリコンバレーの企業の間では、オフィス再開に向けた動きも徐々に出ている。複数の現地報道(注3)によると、ウーバーテクノロジーズやフェイスブック、グーグルは、まず人数制限を設けた上で、従業員の自主性に任せたオフィス再開を行う。その後、秋に本格的なオフィス再開を目指している。アマゾンは米国の拠点について、今夏を通じて従業員のオフィス勤務を増やし、秋までにほとんどの従業員をオフィスに戻す方針を発表している。
(注1)州内の58郡を1日の新規感染者数(10万人当たり)と検査陽性率などの指標に基づいて感染状況で色分けする。(1)広くまん延(Widespread)-紫色、(2)かなりまん延(Substantial)-赤色、(3)中程度のまん延(Moderate)-オレンジ、(4)低度のまん延(Minimal)-黄色の4段階に分類し、段階的に経済活動を再開している。各郡の状況はカリフォルニア州政府のウェブサイトで確認可能。
(注2)4月6日時点で一部の郡では既に16歳以上の住民が接種対象となっている。
(注3)いずれも今回の全面的な経済再開方針発表以前の報道。
(Jetro 石橋裕貴)
トランプ前米大統領による一部の非移民ビザ取得希望者の入国停止措置が失効
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (4/05/2021 Updated)
ドナルド・トランプ前米国大統領が2020年6月22日から発動していた、一部の非移民ビザ取得希望者の入国停止措置(2021年1月5日記事参照)が3月31日に期限を迎え、失効した。これにより、日本からも再び例外規定によらず、特殊技能職(H-1B)、熟練・非熟練労働者(H-2B)、交流訪問者(J)、企業内転勤者(L)の非移民ビザを取得して米国に入国することができるようになった。
「ウォールストリート・ジャーナル」紙が今回の非移民ビザの発給制限がもたらした雇用への影響を調査したところ、新型コロナウイルスにより影響を受けた米国民の就労機会を増進させるという狙いどおりの効果はなかったとされる(同紙電子版2月15日、3月31日)。入国停止措置の対象となったビザを利用する外国人が就く職の多くは、ソフトウエアエンジニアなど高い技能が要求されるポジションや、逆に、低賃金もしくは季節労働者向けであり、米国の失業者によって雇用を埋め合わせることはできなかったとの指摘だ。高技能職については、国内で労働者を見つけることができずに、国外にアウトソースした雇用主もいるという。
なお、今回の措置失効に関し、4月1日時点でジョー・バイデン大統領によるコメントは発表されていない。
国務省でビザ発給を担当するジュリー・スタフト次官補代理代行は措置失効以前の電話会見(3月1日)で、在外の米国大使館・領事館でのビザ申請処理の状況について説明し、非移民ビザを処理する全233拠点のうち、通常どおり処理を行っているのは43カ所にとどまることを明らかにしている。残りの拠点は緊急案件のみを受け付けているという(注)。
また、スタフト次官補代理代行は2月24日に移民ビザ取得希望者の入国停止措置が解除された(2021年2月26日記事参照)ことを受け、4月に同措置の影響を受けた移民ビザ申請の面接予約を入れ始めるとした。
(注)日本国内の米国大使館・領事館におけるビザ申請受け付けに関する最新情報については、在日米国大使館・領事館のウェブページを参照。
(Jetro 吉田奈津絵)
米サンフランシスコ・ベイエリアの複数都市で試験的な所得保障制度実施の動き
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (4/01/2021 Updated)
米国カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアに所在する複数の自治体や非営利団体が低所得層向けに所得保障プログラムを試験的に実施することを明らかにした。
オークランド市(注1)は3月23日、同市内の低所得の600世帯を対象に、最低18カ月間に月額500ドルを支給する所得保障プログラムの試験的実施を発表した。同市は2021年春からの支給開始を目標にしている。同プログラムでの低所得の基準は、地域の世帯所得中央値の50%以下(3人家族の年間世帯所得で約5万9,000ドル)かどうか。ただし、申請枠の半分は、所得が連邦法定貧困レベルの138%未満(3人家族の年間世帯所得で約3万ドル)の低所得世帯に割り当てられる。また、同プログラムは人種間での経済的不均衡の解消を主な目的に掲げており、受給者は、18歳未満の子供が少なくとも1人いるBIPOC(注2)家庭に限られる。不法移民でも上記の条件を満たせば受給対象となる。給付金の使途に条件はない。
マリン郡(注3)議会も3月23日、同郡の非営利団体マリン・コミュニティー・ファンデーション(MCF)が運営予定の試験的所得保障プログラムに、同郡から40万ドルを支援することを可決した。同プログラムでは、17歳以下の子供が少なくとも1人いる低所得層の有色人種女性125人を対象に、月額1,000ドルを24カ月間支給する。MCFは5月からの同プログラム開始を予定している。プログラムには職業訓練やカウンセリングなどの支援サービスも含まれる(「サンフランシスコ・クロニクル」紙電子版3月24日)。
サンフランシスコ市は3月25日、試験的な所得保障プログラムとして、同市内の芸術家約130人に月額1,000ドルを6カ月間支給すると発表した。対象となる芸術家の定義は音楽やダンス、文芸などを通じて同市コミュニティーに積極的に関わっていること。また、プログラムへの申請条件として、18歳以上で、新型コロナウイルス感染拡大の影響を最も受けた地域に居住していること(同市の感染者数データなどに基づき郵便番号で識別)、住宅都市開発省(HUD)が定める低所得水準未満の所得であること(年間で単身:6万900ドル未満、4人家族:8万7,000ドル未満)などを挙げている。既に申請受け付けを開始しており、5月から支給を開始する予定だ。同市は芸術家向けプログラム以外にも、複数の所得保障プログラムを策定している。
北カリフォルニアでは、これらベイエリアの自治体に先駆けて、農業地として知られるセントラルバレーの都市ストックトンで、2019年から実際に低所得層の住民125人を対象に月額500ドルを24カ月支給する所得保障プログラムが試験的に行われた。
(注1)サンフランシスコ湾東側(イーストベイ)に位置する。推定人口:約43万人(2019年7月1日時点)。年間世帯所得中央値:7万3,692ドル。人口比率:白人28.3%、黒人23.8%、ヒスパニック系27.0%、アジア系15.5%(米国国勢調査局)。
(注2)黒人、先住民、有色人種を指す。
(注3)サンフランシスコ湾北側(ノースベイ)に位置する。推定人口:約26万人(2019年7月1日時点)。年間世帯所得中央値:11万5,246ドル。人口比率:白人71.1%、黒人2.8%、ヒスパニック系16.3%、アジア系6.6%(米国国勢調査局)。
(Jetro 田中三保子)
新型コロナ禍でのアジア系への人種差別、カリフォルニア州で報告最多
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (3/23/2021 Updated)
米国の非営利団体ストップAAPIヘイト(注1)は3月16日、同団体に報告されたアジア系住民などへの差別的事件をまとめた報告書を発表した。
2020年3月19日~2021年2月28日に報告された差別的事件は3,795件に上った。このうち、「言葉による嫌がらせ」が70%と最も多く、「敬遠」が20%、「身体的暴行」が11%だった。発生した場所は、ビジネスの現場(店舗や飲食店などサービス提供を受ける場)が最も多くて35.4%、路上が25.3%、オンライン上が10.8%。差別された人たちを帰属別に見ると、中国系(42%)が最も多く、次いで韓国系(15%)、その他は各10%未満だった(日系:6.9%)。報告者の68%は女性が占め、年齢別では、26~35歳が30%と最も多く、36~45歳が20%、18~25歳が16%だった。
州別では、カリフォルニア州が1,691件(全体の45%)と圧倒的に多く、2位のニューヨーク州(517件、約14%)、3位のワシントン州(158件、約4%)と続いた(注2)。
サンフランシスコ・ベイエリアでは、2021年に入ってからアジア系高齢者を狙った暴行事件が相次いでおり、死者も出ている。直近では、3月17日午前10時半ごろ、街灯にもたれかかっていた70代の中国系女性が白人男性に突然、顔面を殴打された。こうした状況を受け、サンフランシスコ警察はアジア系住民が多く住む地域を中心に見回りを強化している。サンフランシスコのロンドン・ブリード市長は「サンフランシスコは、アジア系コミュニティーへの支援を続け、コミュニティーに対する犯罪を一切許容しない」と述べた。
(注1)アジア太平洋企画政策議会(A3PCON)と、差別是正措置のための中国人会(CAA)、サンフランシスコ州立大学アジア系米国人研究学部が共同で2020年3月19日に設立。新型コロナウイルス感染拡大に伴って急増したアジア系米国人(AA)やパシフィック・アイランダー(PI、ポリネシア諸島など太平洋諸島を起源とする人々)に対する暴行や嫌がらせなどを追跡し対応するために立ち上げられたもの。
(注2)2019年国勢調査に基づくAAとPIの推定人口割合は、全米で6.1%、カリフォルニア州16.0%、ニューヨーク州9.1%、ワシントン州10.4%。
(Jetro 田中三保子)
米カリフォルニア州知事の解職求める署名が211万件以上に、リコール投票濃厚に
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (3/22/2021 Updated)
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事のリコールを求める署名集めが3月17日に締め切られ、最終的に211万7,730件集まったと、署名活動を行う団体「リコール・ギャビン2020」が発表した。
同団体は、知事解職の是非と後任知事を決める住民投票(リコール投票)を実施するのに必要な署名数約150万件を締め切りの約1カ月前の2月時点で集めていたが、無効署名が発生することに備えて200万件を目標に活動を続けていた(2021年2月19日記事参照)。同団体によると、独立の第三者機関によって約196万件の署名が有効として事前照合済みだ。これにより、リコール投票が実施される可能性が高い。
リコール投票の時期は、今後の諸手続きにどれくらいの時間をかけるかによっても変わってくる。非営利政治・選挙情報サイトのバロットペディアは、諸手続きに割り当てられた時間を最大使えば、10月中に実施されるだろうと予想する。他方、地元メディアの「サンフランシスコ・クロニクル」紙は11~12月までは投票は行われないだろうと予想している。
ニューサム陣営が立ち上げた反リコール・キャンペーンサイトでは、リコール運動は共和党やトランプ前大統領を支持した極右グループが中心になっていると位置付けている。一方、リコール・ギャビン2020のランディ・エコノミー広報担当は、約210万件集まった署名には無党派層や民主党、その他の党支持者が38%含まれるとし、リコール運動が共和党支持の極右グループによるものとの指摘に反論した(「サンフランシスコ・クロニクル」紙電子版3月15日)。
マサチューセッツ州ボストンのエマーソン大学が3月15日に発表した世論調査(注)結果によると、「ニューサム知事の知事としての働きを評価するか」との問いに、「評価する」41.8%、「評価しない」40.3%と分かれたが、解職については、「知事続投に投票」が42%と「解職に投票」(38%)を上回った。
なお、リコール投票が実施された場合に立候補することを現時点で表明しているのは、ケビン・ファルコナー・サンディエゴ前市長(共和党)、2018年の同州知事選でニューサム知事に敗れたジョン・コックス氏(共和党)、ダグ・オセ元下院議員(共和党)。
(注)実施時期は3月12~14日。対象者はカリフォルニア州の有権者で、回答者1,045人。
(Jetro 田中三保子)
米セールスフォース、サンフランシスコのオフィス縮小へ
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (3/22/2021 Updated)
米国カリフォルニア州サンフランシスコ市に本社を構える顧客管理(CRM)プラットフォーム大手のセールスフォース・ドットコムが同市内中心部に建設予定の高層オフィスビル(通称「トランスベイ・パーセルF」、以下、パーセルF)のリース契約を撤回したと、「サンフランシスコ・ビジネス・タイムズ」紙電子版(3月8日)など現地メディアが報じた。この契約は2018年に締結したもの。報道によると、同市の土地利用・運輸委員会で3月8日、パーセルFのデベロッパーが「当初のリース契約はもはや手中にない」と発言したという。
セールスフォースは、サンフランシスコ市内に複数ある拠点の1つとして、パーセルFの32万5,000平方フィート(約3万平方メートル)のオフィススペースをリースする予定だった。同紙によると、同社は市内で民間企業として最多の従業員数(9,450人、2021年1月時点)を抱えている。
セールスフォースによるオフィス縮小の動きはこれにとどまらない。サンフランシスコ市内の本社に隣接する別拠点(通称「セールスフォース・イースト」)のスペース、45万平方フィートのうち、約半分をサブリース(転貸)する予定だと現地メディアが報じている(「サンフランシスコ・クロニクル」紙電子版3月10日)。
同社は2月に大半の従業員を対象に、永続的な在宅勤務とオフィスへの出勤を併用したハイブリッドな働き方の採用を発表していたが、オフィススペースの縮小については詳細を明らかにしていなかった。サンフランシスコでは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴って在宅勤務が広く浸透したことにより、セールスフォース以外にも、拠点を縮小する企業が増えている(2021年2月16日記事参照)。
また、同市内では賃貸住宅市場の冷え込みも続く。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年秋には家賃(注)が前年同月比20~30%減を記録した(2020年10月21日記事参照)。賃貸物件サイトのアパートメントリストによると、2月のサンフランシスコ市内1ベッドルームの家賃(月額)中央値は同26%減の2,010ドルにとどまっている。他方、北カリフォルニア沿岸部から離れた郊外都市では家賃上昇が目立つ。賃貸物件サイトのザンパーによると、2月の1ベッドルーム家賃中央値はサクラメント(1,430ドル)では同10%、農業地帯として知られるセントラルバレーに位置するフレズノ(1,120ドル)では同13%上昇している。
(注)スタジオ(ワンルーム)、1ベッドルーム、2ベッドルームの住居。
(JETRO 田中三保子)
米ベイエリアのテック大手など、2025年までに有色人種や女性の幹部職の割合25%目指す
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米国カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアのテック大手を含む約20社が、2025年までに幹部職に占める有色人種や女性の割合を最低25%にする、あるいは、現状から25%以上増やすことを目標にすると、2月19日に明らかにした。
この目標は、シリコンバレーのビジネス団体シリコンバレー・リーダーシップ・グループ(SVLG)が1月に発表した多様性に関する新たな取り組み「トゥウェンティーファイブ・バイ・トゥウェンティーファイブ・ダイバーシティー・イニシアチブ(25×25)」にのっとったもの。SVLGが2月19日に開催したオンライン会議で、SVLGのほか、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズやサンフランシスコ・フォーティーナイナーズ、ユナイテッド航空など17社(注)が25×25への参画を明らかにした。参加企業は目標達成に向け、年次の進捗状況と多様性に関するデータを公表することになっている。
SVLGのアマド・トーマス最高経営責任者(CEO)は25×25の立ち上げに当たり、「多様性のある幹部層はイノベーション、マーケットシェア、収益で具体的な配当を生み出すことが広範囲な研究で既に分かっている。25×25プログラムは、過小評価されている属性から最良の人材を見つけ出し、重役に登用することによって、われわれの産業の長期的な繁栄に対して全力を傾けていく」と述べている。
シリコンバレーの主要産業であるテック産業では近年、従業員や役員の性別や人種構成比に偏りがあることが問題視されており(2018年3月7日付地域・分析レポート参照)、大手テック企業はデータを公表し改善に向けて動き出している。25×25にも参加するツイッターは、2025年までに全世界従業員の半数を女性に(2020年:42.6%)、米国従業員の25%を過小評価されている少数派に(2020年:アジア系28.5%、黒人6.5%、ラテンアメリカ系5.4%、多人種3.9%、先住民1%未満)するとの独自目標を掲げている。
(注)現時点での参画企業一覧(アルファベット順)
- アラスカ航空(Alaska Airlines)
- エクイラー(Equilar)
- フェイスブック(Facebook)
- フレックス(Flex)
- フットヒル・デ・アンザ・カレッジ(Foothill De Anza College)
- リスト(Listo)
- ルメンタム(Lumentum)
- サンタクララ大学(Santa Clara University)
- サンフランシスコ・フォーティーナイナーズ(The San Francisco 49ers)
- サンフランシスコ・クロニクル(The San Francisco Chronicle)
- シリコンバレー銀行(Silicon Valley Bank)
- スタンフォード大学ルシール・パッカード小児病院(Stanford Lucile Packard Children’s Hospital)
- サンパワー(SunPower)
- ツイッター(Twitter)
- ユナイテッド航空(United Airlines)
- ウェスタンデジタル(Western Digital)
- ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(Zoom Video Communications)
(JETRO 田中三保子)
ジェトロ、米西海岸に向けオンラインで福島県の日本酒をプロモーション
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ジェトロおよび福島事務所は3月4日、福島県の日本酒のプロモーションイベント「KANPAI -Fukushima」をオンラインで開催した。福島側からは県内の酒造メーカー10社などが参加した。米国側のバイヤーとして、サンフランシスコ・ベイエリアの食品の輸入業者・ディストリビューターや小売事業者など約20人が参加した。
イベントでは、米国人の日本酒専門家が、福島県の日本酒の産地の特徴などを説明した。さらに、専門家と食品事業者が、イベントに参加した蔵元の日本酒と、和食以外の食品とのペアリングを行い、その様子を実況中継した。米国側の参加者にはイベントで紹介する日本酒のサンプルが事前に届けられ、試飲しながらの参加が可能となった。
ジェトロは今回のイベントに続き、3月中に、オンラインイベントに参加した福島の蔵元とベイエリアの食品事業者などとのオンライン個別商談会を実施する予定だ。
カリフォルニア州ナパ郡からのフードペアリングの実況中継の様子(ジェトロ撮影)
販路となる飲食店では屋内飲食が徐々に再開
米国での日本酒の販路の1つに飲食店での提供があるが、飲食店は新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けている。それでも、サンフランシスコなどベイエリアの一部の郡では感染状況の改善に伴い、屋内飲食が制限付きで再開可能(3月3日時点)になるなど、ビジネスの再開が徐々に進んでいる(注1)。ただ、全米レストラン協会(NRA)が1月に発表したレポートによると、2020年12月時点で、全米で11万軒以上の飲食事業者が閉店(一時閉鎖を含む)するなど、業界への影響は深刻だ。カリフォルニア州の日本食の飲食店も例外ではなく、ジェトロにも、これまでに店舗の家賃の支払いや従業員の解雇などの法務相談が寄せられている。こうした状況を受け、ジェトロは2月25日に、「実践的テイクアウト・デリバリー対策オンラインセミナー~レストランが今すぐにできる対策~」と題するオンラインセミナーを開催した(注2)。同セミナーでは、飲食ビジネスの専門家が、新型コロナウイルスの感染状況に左右されずに実践できる、テイクアウトやデリバリーに関する工夫や事例などを説明している。
(注1)カリフォルニア州の経済再開計画の概要は2020年9月8日記事も参照。
(注2)セミナー動画はジェトロ・ウェブページから視聴可能。
(JETRO サンフランシスコ 石橋裕貴)
米加州知事のリコール選挙に必要な署名150万件集まる、新型コロナ対策への不満などが背景に
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (2/19/2021 Updated)
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事のリコールを求める署名が、住民投票(リコール選挙)の実施に必要な約150万件(注1)に達したと、署名活動を展開する団体「リコール・ギャビン2020」が2月15日に発表した。同団体は、無効署名が発生することに備え(注2)、期限の3月17日までに合計180万~200万件の署名を集める予定だ。規定の有効署名数が確認されれば、諸手続きの後、知事解職の是非と後任知事を決めるリコール選挙が2021年内に行われることになる。
共和党穏健派のケビン・ファルコナー・サンディエゴ前市長は、2022年の同州知事選挙への立候補を表明しており、リコール選挙が行われれば、その際も立候補すると述べている。
カリフォルニア州政府ウェブサイトによると、ニューサム知事に対するリコールの試みは、就任後の2019~2020年の間に5回起きたが、いずれも必要署名数が集まらずに終わっている。署名数が150万件に達した今回のリコール運動の背景には、同知事の新型コロナウイルス対策に対する住人や小規模事業者の不満がある。2020~2021年冬には米国内でも相対的に厳しい経済閉鎖を続ける中、同州の感染者数は上昇し続けた。廃業を余儀なくされた飲食店などの小規模事業者も多い。都市部では、公立学校のキャンパス再開が進まない地域が目立つ。また、住民にステイホームを呼び掛けながら、ニューサム知事が高級レストランで家族以外の大人数と会食していたことが2020年11月に報道され、多くの住民の反感を買った。
バイデン政権は2月9日、今回のリコール運動への不支持を表明している。ニューサム知事の政策アドバイザーは、リコール運動を「トランプ前大統領の支持者や共和党による的外れな努力」と呼んでいるが、地元メディアは、シリコンバレーのテック業界のリーダーも含めて、同知事や民主党の支持者層からもリコール運動への寄付や支持があることを報じている。
カリフォルニア州史上、住民投票に至った現職知事のリコール運動は、2003年に民主党のグレイ・デイビス知事に対して行われたもののみ。同年のリコール選挙では、複数候補者の中から共和党のアーノルド・シュワルツェネッガー氏が新知事として選ばれた。
(注1)正確な必要署名数は、前回州知事選挙の投票総数の12%に相当する149万5,709件。
(注2)カリフォルニア州住民から集めた署名は、有権者登録時の署名と比較する認証作業が行われる。
(JETRO 田中三保子)
米セールスフォース、新型コロナ収束後もハイブリッドな働き方を採用
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (2/18/2021 Updated)
米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社を構える顧客管理(CRM)プラットフォーム大手、セールスフォース・ドットコムは2月9日、新型コロナウイルス感染拡大が収束した後も、大半の従業員を対象に、永続的な在宅勤務とオフィスへの出勤を併用したハイブリッドな働き方を採用することを発表した。
同社によると、全世界で従業員の大半は顧客ミーティングなどのスケジュールに応じて週に1~3日のみオフィスに出社し、オフィスから離れた場所に住む従業員や、オフィスでなくとも業務遂行が可能なポジションの従業員は完全リモート勤務が認められる。週に4~5日オフィスに出社する従業員は少数派となる。これらの勤務スタイルの導入について同社は、新型コロナウイルス感染拡大の初期に行った従業員アンケートで、約半数の従業員が月に数回のみオフィスへの出社を望む一方で、8割がオフィスへの出勤も維持したいと回答したことに基づく決定としている。現在のオフィススペースについては、従来の机が一面に並ぶようなレイアウトではなく、よりハイブリッドな働き方に対応できるよう再設計する。
同社の今回の方針は、サンフランシスコ市中心部に61階建ての高層社屋を建設するなど、社屋面積を拡大してきたこれまでの流れからすると大きなシフトだ。同社は、オフィス縮小については見解を示していないが、現地メディアは、新型コロナウイルス感染拡大からのサンフランシスコ市の経済復興に対する影響に懸念を示している。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、在宅勤務はより広く浸透しており、セールスフォース以外にも、コスト高のサンフランシスコ・ベイエリアでオフィススペースを再考したり、他州へ移転したりする企業が増え始めている(2020年9月4日記事、12月21日記事参照)。オンライン・レビュー・プラットフォーム大手のイェルプは、在宅勤務の拡大に伴い、サンフランシスコ市中心部のビル内10フロア以上、約16万平方フィート(約1万5,000平方メートル)に広がる本社オフィスを縮小する予定だ(「サンフランシスコ・ビジネス・タイムズ」紙電子版2月3日)。同社は、今後も同市内に本社を残す方針だが、どのくらいの規模になるのか、現在のオフィススペースの一部に残すのかなど詳細は明らかにしていない。イェルプ以外にも、コワーキングスペースを運営するウィワーク(WeWork)がベイエリア内の複数オフィスを閉鎖することが、現地メディアで報道されている。
不動産サービス大手CBREによると、2019年第4四半期にわずか3.7%だったサンフランシスコ市内のオフィス空室率は、2020年第4四半期には16.9%にまで上昇している。
(Jetro 田中三保子)
米カリフォルニア州の各自治体で食料品店従業員への危険手当条例化の動き
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (2/9/2021 Updated)
米国西海岸の複数都市で、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて食料品スーパーの経営者に対し、従業員に危険手当を支払うことを義務付ける動きが出ている。
カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアでは、オークランド市議会が2月2日、大型(注1)食料雑貨店が従業員に危険手当として5ドルを時給に上乗せして支払うことを定める条例案を可決した。手当の支払い対象となるのは、セーフウエーやターゲット、トレーダージョーズ、ホールフーズなどで働く約2,000人と見込まれる。オークランド市によると、新型コロナウイルス感染拡大の初期には、自主的に危険手当(通称「ヒーロー手当」)や1回限りのボーナスを従業員に支払う食料雑貨店もあったが、大半の雇用主は2020年夏の終わりごろには手当支給を終了した背景がある。
北カリフォルニアではオークランド市以外にも、バークレー市、サンノゼ市、サンタクララ郡、南カリフォルニアではロサンゼルス市、ロサンゼルス郡、ウエストハリウッド市など、カリフォルニア州の多くの自治体が同様の条例案を検討中だ(注2)。また、南カリフォルニアのロングビーチ市とモンテベロ市、ワシントン州シアトル市では同様の条例を既に施行している(注3)。
自治体による条例だけでなく、自発的に危険手当支給を続ける企業もある。食料雑貨チェーンのトレーダージョーズは、新型コロナウイルス感染が拡大し始めてすぐに、時給で働く全てのスタッフに危険手当として時間当たり2ドルを自主的に支給していたが、2月1日から対象スタッフにはさらに2ドル上乗せし、時間当たり計4ドルを手当として支払っていることを5日に発表した。
他方、危険手当の支給に反対するカリフォルニア食料雑貨店協会(CGA)は、特定の食料雑貨店だけを対象に義務化するのは違憲などとして、オークランド市やロングビーチ市、モンテベロ市を相手取って訴訟を起こしている。また、米大手食料雑貨チェーンのクローガーは危険手当支給を避けるため、ロングビーチ市内の系列店2店舗を4月に閉鎖する予定だと米メディア各社が報道した。
(注1)1万5,000平方フィート(約1,400平方メートル)を超える店舗面積を持ち、全米で500人以上の従業員を抱える食料雑貨チェーン。個人商店などの小規模店は含まない。
(注2)各自治体により提案する手当額、支給期間、対象企業の規模などは異なる。
(注3)手当額と支給期間はそれぞれ以下のとおり。
- ロングビーチ市:4ドル/時間、施行から最低120日間
- モンテベロ市:4ドル/時間、施行から180日間
- ワシントン州シアトル市:4ドル/時間、新型コロナウイルス感染症非常事態宣言期間中
米加州内2カ所に大規模なワクチン接種施設、連邦政府と共同運営
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (2/8/2021 Updated)
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は2月3日、州内2カ所に連邦政府と共同運営で新型コロナウイルスワクチンの接種施設を設置すると発表した。施設は16日から利用可能になる予定。
場所は、北カリフォルニアのオークランド市内のスタジアムと、南カリフォルニアのロサンゼルス市内のカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校の2カ所。州知事の会見によると、両施設では1日当たり少なくとも6,000回のワクチン接種を見込んでいるという。これは、国内にワクチン接種施設を100カ所設置することを目指すバイデン政権の取り組みの一環とみられ、米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)とカリフォルニア州政府で共同運営する。
両施設での接種予約は、州が運営するウェブサイト「My Turn」から可能になる予定。州民はサイトを通じて自分が接種対象であるかを確認でき、対象になった場合にはサイトから接種の予約もできる。2月3日現在、試験的にロサンゼルス郡とサンディエゴ郡の医療従事者や65歳以上の個人は同サイトから予約できる。
同州のワクチンに関するウェブサイトによると、3日現在、接種の対象者は医療従事者や長期介護施設入居者、65歳以上の個人など(注)。同州は1月25日に自宅待機令を解除した(2021年1月28日記事参照)ものの、2月2日の同州公衆衛生局の発表では、州内58郡のうち54郡(サンフランシスコやサンマテオ、サンタクララ、ロサンゼルス、サンディエゴなど州の主要都市はここに該当)が依然として最も制限が厳しいカテゴリーに位置付けられた状態が続く。各郡の状況は毎週、更新される。
(注)ワクチンの対象者については、州内の各郡のワクチン接種に関するウェブサイトで確認できる。
(Jetro San Francisco 石橋裕貴)
米カリフォルニア州、ベイエリア、南加などの自宅待機令を解除
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (1/27/2021 Updated)
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は1月25日の会見で、地域単位で実施していた自宅待機令(Regional Stay at Home Order)を25日で解除することを発表した。同日、同州の公衆衛生局からも、自宅待機令を終了することが発表された。解除前の24日時点では、ベイエリア(サンフランシスコ、シリコンバレーを含む)、サンホアキン・バレー、南カリフォルニア(ロサンゼルス、サンディエゴを含む)の3地域が自宅待機令の対象となっていた。公衆衛生局によると、今後4週間後のICU(集中治療室)病床の空き率が全ての地域で15%以上に回復すると予測している。
同州では2020年12月から5地域(北カリフォルニア、サクラメント広域圏、ベイエリア、サンホアキン・バレー、南カリフォルニア)に分けて状況を管理し、ICU病床の空き率が15%未満となった地域に自宅待機令を実施していた(2020年12月9日記事参照)。自宅待機令の解除後は、8月から実施されていた新型コロナウイルスとの共存を前提とした経済再開計画(Blueprint for a Safer Economy)で各郡は管理される(2020年9月8日記事参照)。同再開計画では、州内の58郡を感染状況に応じて、(1)広くまん延(Widespread)-紫色、(2)かなりまん延(Substantial)-赤色、(3)中程度のまん延(Moderate)-オレンジ、(4)低度のまん延(Minimal)-黄色、の4段階に分類して管理する。
1月26日に、公衆衛生局は各郡の段階を発表し、カリフォルニア州58郡のうち54郡(サンフランシスコやサンマテオ、サンタクララ、ロサンゼルス、サンディエゴなど州の主要都市はここに該当)が最も制限が厳しい紫色に振り分けられた。各郡の状況は毎週、見直される。同計画のガイドラインによると、紫色段階では、理髪店・美容室、ネイルサロンなどの屋内・屋外でのビジネス、レストランの屋外での飲食サービスなどは制限付きで再開が可能となる。他方、非エッシェンシャルビジネスはリモート勤務の対応が求められる。
(Jetro San Francisco 石橋裕貴)
トランプ米大統領、移民ビザと一部の非移民ビザ取得希望者の入国停止措置を3月末まで延長
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (1/4/2021 Updated)
ドナルド・トランプ米国大統領は2020年12月31日、移民ビザと一部の非移民ビザ取得希望者の入国停止措置を2021年3月31日まで延長すると大統領布告で発表した。対象は、移民ビザを取得して入国しようとする者(2020年4月24日記事参照)および特殊技能職(H-1B)、熟練・非熟練労働者(H-2B)、交流訪問者(J)、企業内転勤者(L)の非移民ビザを取得して入国しようとする者(2020年6月23日記事参照)のうち、大統領布告の発効時点で米国外に所在し、有効なビザを有していない者となっており、いずれも2020年12月31日が期限だった。今回の布告により、これらのビザは一部の例外を除き、原則として発給停止が継続される(注)。
2020年6月22日に署名された大統領布告10052号では、国土安全保障長官と労働長官が、新型コロナウイルスの大流行から経済を再開していく中で、幾つかの非移民ビザのカテゴリーで外国人労働者を受け入れることは、米国の労働者を追い出し、不利にするリスクがあるとの検証結果を示していた。今回の大統領布告では、直近の雇用環境について、2020年11月の失業率6.7%は4月の最大時(14.7%)からは減ったものの、11月の非農業部門の雇用者数は2月に比べてまだ約983万人少ないことを指摘し(2020年12月7日記事参照)、4月の大統領布告10014号(4月22日署名)と10052号の延長が適切と判断した。
トランプ政権は2020年10月には、国土安全保障省(DHS)によるH-1B就労ビザの要件厳格化と労働省(DOL)による非移民労働ビザ就労者の賃金に関する最終暫定規則を発表しており(2020年10月14日記事参照)、これらの規則は12月1日にカリフォルニア州北部地区の米連邦地裁により無効とされたものの(2020年12月16日記事参照)、新型コロナウイルス大流行により就職口が少なくなっていることで、米国人の雇用を守る姿勢を強調している。
このような中で、2020年9月にジェトロが実施した2020年度米国進出日系企業実態調査では、5割近く(45.3%)の日系企業が米国のビザ発給制限で影響を受けているとし、6月末に実施されたクイックアンケート(1.9MB)時の35.1%に比べて10.2ポイント増加し、影響が拡大していることが明らかになった(2020年12月22日記事参照)。
(注)入国規制の例外措置については2020年8月14日記事を参照。
トランプ米大統領、新型コロナウイルス対策の追加支援法案に署名
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (1/4/2021 Updated)
ドナルド・トランプ米国大統領は2020年12月27日、新型コロナウイルス対策の追加支援策を含む法案に署名した。一度は署名に消極的な態度を示していたが、連邦議員からの説得を受け、法案成立に至った。ただし、トランプ大統領は、個人への現金給付の増額を求めるとともに、途上国への援助や新型コロナウイルス対策と無関係の国内支出が法案に含まれていることに関して不満を表明しており、大統領権限(注)に基づき、具体的な削減案を議会に送付すると述べた。
大統領の署名により、現金給付(1人当たり600ドル)や失業保険の追加給付、中小企業支援を含む9,000億ドル超の新型コロナウイルス対策(2020年12月24日記事参照)と、2021会計年度(2020年10月~2021年9月)の歳出法案(1兆4,000億ドル相当)が成立した。連邦政府のつなぎ予算は2020年12月28日で失効する予定だったが、歳出法案の成立によって政府機関の一部閉鎖が回避された。
トランプ大統領は、法案が議会通過した後の12月22日に、法案内容を批判する声明を発表したが、その後、連邦議会のケビン・マッカーシー下院少数党院内総務(共和党、カリフォルニア州)やリンゼー・グラム上院議員(共和党、サウスカロライナ州)らが大統領に署名するよう説得を行っていた(政治専門紙「ポリティコ」電子版2020年12月27日)。トランプ大統領は12月27日の声明で、失業保険給付の復活や住居の強制退去の停止、給与保護プログラム(PPP)への追加予算の投入などのために署名に応じる、と説明した。
トランプ大統領が議会に要請した現金給付の増額については、民主党が多数を占める下院が12月28日、成人1人当たり2,000ドルに増やす法案を可決したが、共和党が多数派の上院では審議が進まず、議会の会期末である2021年1月3日までの法案の成立に至らなかった。
(注)1974年議会予算法によると、大統領は支出(予算)に関わる削減案を議会に送付した後、議会開会中最長45日間にわたり執行を留保する権限を有する。ただし、削減案が45議会日以内に法制化されない場合、留保された予算は期間終了後に執行可能となる。日数については、議会の開会日が算出基準となる。
サンフランシスコ・ベイエリアから本社移転するテック大手、相次ぐ
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (12/21/2020 Updated)
米国カリフォルニア州に本社を構えるテック企業の多くで、テック産業集積地「シリコンバレー」を含むサンフランシスコ・ベイエリアから本社を他州へ移転する動きが相次いでいる。
一連の本社移転企業のうち直近では、1970年代からシリコンバレーに根を張ってきたオラクルが12月11日、本社をレッドウッドシティからテキサス州オースティン(注1)へ移転することを発表した、と複数の現地メディアが報じた。同社は、従業員が働くオフィスを自身で選べるようにし(在宅勤務を含む)、より柔軟な働き方を促進することで、従業員の生活における満足度(QOL)と仕事の成果の質向上を目指すとしている。レッドウッドシティのオフィスは閉鎖せず、今後も同社の拠点として継続していく。
12月1日にはオラクルに先行して、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(以下、HPE)と、サイバーセキュリティー分野のユニコーン企業(注2)であるタニウムがそれぞれ他州への本社移転を発表した。
HPE(現本社:サンノゼ)は正式な移転は2021年春としているが、2020年初めからオフィス拡張工事を行っていたテキサス州ヒューストン都市圏へ本社を移す。本社移転に際し、サンノゼオフィスのほとんどの幹部と非技術職従業員の異動はあくまで希望者のみとし、レイオフ予定していない。また、サンノゼオフィスは今後も研究開発のハブとして継続する。
タニウムはエメリービルからワシントン州カークランドへ本社を移転する。2021年半ばをめどに新本社のオープンを予定している。現時点では、新型コロナウイルス感染拡大に伴って同社の従業員は在宅勤務を続けている。現地報道によると、同社は本社を移転しても、エメリービルの旧本社オフィスの規模を縮小しない方針だ。
これら3社以外にも、12月以前から大手テック企業やテック産業以外でも州外への本社転出が相次いでおり、現地のビジネス支援団体ベイエリア協議会は他州への主要企業流出に懸念を示す。協議会は「カリフォルニア州と地方自治体の税金の高さや規制、新型コロナウイルス感染拡大に伴うビジネスへの制限、住宅費の高騰などから、企業はより良い環境を探し始めている」と述べている。
(注1)オースティンは、コンピュータやその周辺機器、ソフトウエア関連分野の発展が目覚ましく、ハイテク産業の新拠点として注目されている(2019年5月29日記事参照)。
(注2)評価額10億ドル以上のスタートアップ。
(Jetro 田中三保子)
カリフォルニア州でも新型コロナワクチン接種が開始
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (12/18/2020 Updated)
カリフォルニア州では12月14日、米国製薬大手ファイザーとドイツのバイオ医薬ベンチャーのビオンテックが共同開発した、新型コロナウイルスのワクチンの接種が開始された。同州のワクチン配布ガイドラインに基づき、ワクチンはまず、医療従事者や長期療養施設の利用者など向けに供給される予定。ギャビン・ニューサム知事は同日のプレスリリースで、「ワクチン第1弾が到着して、パンデミックの終息が近づいてきた」と述べた。
同ワクチンは12月11日、米国食品医薬品局(FDA)により、緊急使用が許可された。カリフォルニア州内でのワクチン配布に先立ち、同州を含む西海岸4州によるワクチンの安全性を検証するワーキンググループ(2020年10月30日記事参照)は12月13日、同ワクチンが安全かつ効果があると結論付け、各州での使用を推奨した。
カリフォルニア州では12月15日時点で、サクラメント広域圏、サンホアキン・バレー、南カリフォルニアで、地域単位で適用する自宅待機令(2020年12月9日記事参照)が実施されている。また、サンフランシスコ郡やサンタクララ郡などベイエリアの多くの地域でも、自発的に自宅待機令を実施中だ。同自宅待機令適用の指標となるICU(集中治療室)の空き(州公衆衛生局12月15日発表)をみると、北カリフォルニア29.8%、サクラメント広域圏14.9%、ベイエリア15.8%に比べて、州の中部から南部にかけてのサンホアキン・バレー1.6%、南カリフォルニア1.7%で、より切迫した状況が続いている。
今後、ワクチン接種が進む中で、企業にとっては、従業員に対して接種を求めるかどうかが検討課題となる。人材関連プラットフォームを運営する米国ブラインドがテック企業の専門職人材を対象に実施したアンケート調査結果(12月9日発表)によると、約7割が「雇用主が求めれば、ワクチン接種を受ける」と回答した。一方、ジェトロが現地日系企業数社に従業員にワクチン接種を求めるか聞いたところ、「現時点で従業員に接種を求めることは考えていない」「ワクチン接種を求めるのは従業員との関係で難しいと感じている」などの意見も聞かれた。
雇用主側からみたワクチン実用化に関する情報については、ジェトロ・サンフランシスコ事務所およびロサンゼルス事務所が11月18日にカリフォルニア州の日系企業向けに実施した事業再開に向けた解説WEBウェビナーも参照(注)。
(注)ウェビナーは実施日である11月18日までの情報に基づき解説している。
(Jetro 石橋裕貴)
カリフォルニア州、病床逼迫で新たな基準の自宅待機令を発令
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (12/09/2020 Updated)
カリフォルニア州は12月3日、地域単位で適用する自宅待機令(Regional Stay at Home Order)を発表した。これはICU(集中治療室)病床の空き率に基づいて特定される地域を対象とし、5日午後0時59分から有効。ICU病床の空き率が15%未満となった地域は、評価の24時間後に自宅待機令が少なくとも3週間適用される。公衆衛生局の今後4週間の予測が15%以上になった場合に適用外となる。適用外となった地域内の各郡は8月から実施している経済再開の規制を適用する(2020年9月8日記事参照)。
カリフォルニア州では新型コロナウイルス感染拡大を受けて、限定的な自宅待機命令(Limited Stay at Home order)を実施中だ(2020年11月20日記事参照)。今回の自宅待機令は、日常生活やビジネス活動により制限をかける内容となる。ギャビン・ニューサム知事は11月30日の会見で、ICU病床が逼迫することを予想し、それに対応する措置を取るべきとしていた。
同州全体を北カリフォルニアなど5つの地域(注1)に分けて状況を管理する。空き率が15%未満のサンホアキン、南カリフォルニアでは、6日午後11時59分から同命令の適用を開始した(注2)。また、ベイエリアは15%以上であるものの、その中のアラメダ郡など(注3)は4日、州の措置を待つ前に自発的に自宅待機を実行することを共同発表した。サンフランシスコなど多くの郡は12月6日から実施を開始した(注4)。郡独自の自宅待機は2021年1月4日までの予定。
今回の自宅待機令の主な規制内容は次のとおり。
- 他の世帯との全ての集まりは原則禁止
- 重要なインフラ部門(注5)のオペレーション、維持、使用に関連した必要な活動を実施する以外、自宅または居住場所に待機
- 屋内の娯楽施設、美容室・理髪店、ワイナリー、バーなどは閉鎖
- リモート勤務ができない重要なインフラ部門以外はリモート勤務のみ
- レストランはテークアウトやデリバリー利用のみ
- 小売りやショッピングセンターの屋内営業は収容可能人数の20%
- ホテルなどの宿泊施設は、原則、重要なインフラ部門の支援などを目的とした利用のみ
(注1)各地域に含まれる郡は以下のとおり。
- 北カリフォルニア:デルノルト、グラン、ハンボルト、レイク、ラッセン、メンドシーノ、モドック、シャスタ、シスキュー、テハマ、トリニティ
- ベイエリア:アラメダ、コントラコスタ、マリン、モントレー、ナパ、サンフランシスコ、サンマテオ、サンタクララ、サンタクルーズ、ソラノ、ソノマ
- サクラメント広域圏:アルパイン、アマドア、ビュート、コルサ、エルドラド、ネバダ、プラサー、プルマス、サクラメント、シエラ、サッター、ヨロ、ユバ
- サンホアキン・バレー:カラベラス、フレズノ、カーン、キング、マデラ、マリポサ、マーセド、サンベニート、サンホアキン、スタニスラウス、トゥーレアリ、トゥオルミ
- 南カリフォルニア:インペリアル、インヨー、ロサンゼルス、モノ、オレンジ、リバーサイド、サンバナディーノ、サンディエゴ、サンルイスオビスポ、サンタバーバラ、ベンチュラ
(注2)12月7日カリフォルニア州公衆衛生局発表の各地域のICU病床の空き率は以下のとおり。北カリフォルニア:28.2%、サクラメント広域圏:20.3%、ベイエリア:25.7%、サンホアキン・バレー:6.3%、南カリフォルニア:10.9%
(注3)コントラコスタ郡、マリン郡、サンフランシスコ郡、サンタクララ郡、バークレー市
(注4)アラメダ郡は12月7日、マリン郡は12月8日から実施予定。
(注5)必要不可欠なインフラ部門は、医療関係、緊急サービス部門、食品・農業、エネルギー、上下水道、輸送・物流、情報通信など。
(Jetro San Francisco 石橋裕貴)
ジェトロ、米ネバダ州政府と日系企業のビジネスラウンドテーブル開催
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (12/10/2020 Updated)
ジェトロは12月3日、米国ネバダ州知事室と同州内で操業する日系企業が意見交換するビジネスラウンドテーブルをオンラインで開催した。「新型コロナウイルス禍」でビジネス活動が制限される中、参加者は一層の関係強化を目指すことで合意した。
日系企業の貢献に高い評価
ビジネスラウンドテーブルは初めての開催。ネバダ州知事室が日系企業の同州経済への貢献について認識を深め、日系企業が州政府に直接意見を伝える機会となった。
同州はエンターテインメント分野が主要産業だが、スティーブ・シソラック知事の下、製造業やIT産業の強化にも取り組んでいる。連邦商務省によると、2018年時点で在ネバダ州日系企業は約7,200人の雇用を創出している。州知事室経済開発部門のマイケル・ブラウン経済開発長官は、州経済への日本企業の貢献に謝辞を述べるとともに、世界的な技術革新の進展に取り残されないために、同州と日本の関係が極めて重要なことを強調した。また、ネバダ州は州の法人所得税や個人所得税がないことや、政府機関の規模が小さく、知事や議員に相談しやすいことなどを挙げ、新しい事業の開発に挑戦するのに最適な土地だとアピールした。
連邦商務省傘下の組織で州製造業の強化を図るNevada Industry Excellence(NVIE)のマーク・アンダーソン理事長は前職で、パナソニックとテスラが共同運営するネバダ州の車載電池工場「ギガファクトリー1」で、パナソニック側初の米国人従業員として人事・総務部門の統括責任者を務めた経験を持つ。アンダーソン理事長は、日本企業が州内にもたらす効果として、投資や雇用だけでなく、企業の社会的貢献への取り組みや従業員への関わり方などの好影響を高く評価し、より多くの日本企業が州内で製造拠点を拡大することを支援したいとの意欲を見せた。
ネバダ州でビジネスを展開する日系企業として参加したメアリーズ・ゴーン・クラッカーズ(亀田製菓100%子会社)やNTT、セガサミークリエイションも、州内の安定したビジネス環境を基盤に事業を拡大したい意向を示した。州知事室は日系企業との継続的な関係構築を目指しており、新型コロナウイルス終息後の訪日や米国政府の対米直接投資促進イニシアチブ「セレクトUSA」によるイベント開催の機会を捉えた交流など、今後も日系企業との意見交換や連携の機会を設けることを提案し、受け入れられた。
ラウンドテーブル出席者(ジェトロ撮影)
セールスフォースがスラックを277億ドルで買収
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (12/3/2020 Updated)
米国の顧客管理(CRM)プラットフォーム大手のセールスフォース・ドットコム(Salesforce)は12月1日、企業向けチャットサービスのスラック・テクノロジーズ(Slack)を約277億ドル(一部セールスフォース普通株を含む)で買収すると発表した。
セールスフォースのマーク・ベニオフ会長兼最高経営責任者(CEO)はプレスリリースで、今回の買収について「最高の組み合わせ。セールスフォースとスラックは共に企業向けソフトウエアの未来をかたち作り、全てがデジタル化した、どこからでも働ける世界において人々の働き方を変えるだろう」と述べた。スラックはセールスフォースの傘下に入るが、買収後もスチュワート・バターフィールドCEO兼共同創業者が引き続き事業を率いる。
現地メディアは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、多くの企業がリモートワークへシフトする中で、今回のスラック買収は収益化を狙うテック企業の一連の動きの1つだが、その中でも最も高額な取引だと報じている。
スラックは2009年設立で、2019年に上場した。スターバックスや小売り大手ターゲットなど多数の大手企業や政府機関などが、150カ国以上で同社サービスを利用している。リモートワークの増加とともに同社サービスへの需要は一時的に増えたものの、競合サービスであるマイクロソフトのチームスがオフィス365ユーザーにはセットで提供されていることもあり、その躍進に押されていた。また、サービス型ソフトウエア(SaaS)でも成功するマイクロソフトは、セールスフォースにとっても脅威で、今回の買収はマイクロソフトに対抗するためとみられる。
「新型コロナ後」の勤務体制、米加州日系企業の半数がオフィスとリモートの併用検討
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カリフォルニア州で11月に入って新型コロナウイルス感染が再拡大する中、ジェトロは同州に所在する日系企業を対象に、今後の勤務体制などに関するアンケート調査(注1)を実施した。その結果によると、回答企業の半数以上が新型コロナウイルスの完全な終息後に、オフィス勤務とリモート勤務(注2)を組み合わせた勤務体制を検討している。
感染症が完全に終息した後に予定している勤務体制について聞いたところ、「主にオフィス出勤とし、リモート勤務も一部実施」(34%)、「リモート勤務とオフィス出勤を同じ頻度・割合で実施」(10%)、「主にリモート勤務とし、オフィス出勤も一部実施」(11%)を合わせて、オフィスとリモートを併用する割合が55%に上った(添付資料図参照)。「原則として全従業員がオフィス出勤」は24%だった一方、「原則として全従業員がリモート勤務」は2%のみだった。「方針を決めていない」と答えた割合は19%と一定数を占めた。
現時点の勤務体制については、回答企業の9割以上が何らかのかたちで在宅勤務を導入している。オフィス再開が今後認められた場合には、41%が現在の勤務体制を維持する一方で、36%が在宅勤務の人員を徐々にオフィス勤務に戻していくと答えた。オフィス勤務を維持・再開するために実施している措置(あるいは予定の措置)としては、「サニタイザーなどの設置」(91%)、「社内ガイドライン作成」(69%)、「感染症対策保護具の支給」(62%)などが上位になった。一方で、在宅勤務を継続するために実施している措置(あるいは予定の措置)としては、「電子機器の支給」(70%)、「管理業務の電子化」(46%)、「就業規則の柔軟化」(36%)などが上位だった。
オフィスの移転・閉鎖方針について聞いたところ、現在のオフィスの広さが必要ないことや賃料支払いの負担などを理由に、15%が「オフィスの移転や閉鎖を検討している」という。現地駐在員数の変更方針については、「現状の駐在員数を維持する」企業が48%と最多で、「現地駐在員数を減らす」との回答は11%だった。
アンケート調査結果をまとめた報告書はジェトロ・ウェブサイトで閲覧可能。
(注1)調査実施期間は11月16~20日。回答企業数は284社。回答企業には、現地在住の日本人が起業した会社など、日本に本社を構える企業の現地法人以外も含まれる。
(注2)リモート勤務については、自宅を含むオフィス外での勤務方法を想定している。
(ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴、永田光)
カリフォルニア州、限定的な自宅待機命令を発表、人口の94%が対象
>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (新しいタブで開く)”>>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (11/20/2020 Updated)
カリフォルニア州公衆衛生局は11月19日、州の経済再開計画で経済活動の制限が最も厳しい「紫」段階(注1)の郡に対して、限定的な自宅待機命令(Limited Stay at Home order)を発表した。同命令では、午後10時から翌日午前5時までの間、必要不可欠なインフラにかかわる業務(注2)などを除く、自宅外で行われる全ての活動や家族以外との集まりが禁止される。命令は11月21日午後10時から12月21日午前5時まで有効となるが、延長される可能性もある。現時点で「紫」段階にない郡も、今後同段階に後退した場合には、後退が決定された2日後の午後10時から命令が適用される。
今回の命令に先立ち、州政府は16日、新型コロナウイルスの感染状況の悪化を受けて、州内58郡のうち28郡を「紫」段階へ後退させる緊急措置を発表していた。28郡はアラメダ、サンタクララなど北部地域から、カーン、キングなどセントラルバレー地域、オレンジなど南部地域まで州全域にわたる。発表前から既に「紫」段階にあったロサンゼルスやサンディエゴなどを含めて、同段階にある郡は合計41郡となった(添付資料表参照)。これら41郡の人口は、カリフォルニア州全体の94.1%に当たる。
州のガイドラインによると、「紫」段階では、非エッシェンシャル・ビジネスはリモートワークが求められ、飲食店やジム、フィットネスセンターの屋内営業は停止など、屋内活動が厳しく制限される。
同州では15日時点の累計感染者数は100万人を超え(102万9,235人)、入院者数は14日前に比べて48%増の3,852人となっている。ギャビン・ニューサム知事は16日のプレスリリースで、手を打たなければ、感染拡大は即座に医療体制の逼迫を招き、深刻な事態につながる恐れがあるとし、経済再開における各段階の移行基準も変更した。当初、段階後退の条件は当該段階の基準を2週間維持できない場合となっていたが、期間が1週間に短縮した。また、感染が著しく増加している郡に対しては、複数段階の後退措置も取る。例えば、サンタクララ郡は今回「オレンジ」から「紫」に、サンフランシスコ郡は「黄」から「赤」に2段階後退となった。サンフランシスコ郡は「赤」段階への後退を受けて、10月に一部再開が認められた非エッシェンシャル・ビジネスのオフィスの再閉鎖などの措置を17日から発動した(2020年10月26日記事参照)。
(注1)カリフォルニア州では、1日の新型コロナウイルス新規感染者数(10万人当たり)と検査陽性率の指標に基づき、各郡を感染状況により4段階に色分けして〔厳しい方から、(1)広くまん延:紫色、(2)かなりまん延:赤色、(3)中程度のまん延:オレンジ色、(4)低度のまん延:黄色)、各段階に合わせてビジネス活動の再開・制限を実施する体制を取っている(2020年9月8日記事参照)。
(注2)必要不可欠な業務の詳細は、カリフォルニア州政府のウェブサイトを参照。
(ジェトロサンフランシスコ 石橋裕貴)
カリフォルニア州、新型コロナ感染拡大で11郡で経済活動再開が後退
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (11/17/2020 Updated)
カリフォルニア州は11月10日、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、州内58郡のうち11郡が経済活動をより制限する段階へ後退することを発表した。原則として毎週火曜日にデータを更新し、状況に応じて各郡の段階の移行を発表する(添付資料表参照)。同州では10月後半ごろから感染拡大の傾向を示し、11月10日時点の入院者数は14日前に比べて31.6%増の3,083人となった。累計感染者数は100万人(11月10日時点:97万7,218人)に近づいている。
同州では、1日の新規感染者数(10万人当たり)と検査陽性率の指標に基づき、各郡を感染状況により4段階に色分けして〔厳しい方から、(1)広くまん延:紫、(2)かなりまん延:赤、(3)中程度のまん延:オレンジ、(4)低度のまん延:黄〕、各段階に合わせてビジネス活動の再開・制限を実施する体制を取っている(2020年9月8日記事参照)。10日の発表でサクラメント郡、サンディエゴ郡など3郡が「赤」から「紫」に、コントラコスタ郡、サンタクルーズ郡など5郡が「オレンジ」から「赤」に、同州北部の3郡が「黄」から「オレンジ」に、それぞれ後退した。
後退を受けて、北カリフォルニアのコントラコスタ郡では、13日から小売店やショッピングモールの収容人数をより制限することや、非エッセンシャルビジネスのオフィスワークにリモートワークを求める措置などを発表した。また、サンフランシスコ市・郡は、制限が最も少ない「黄」にとどまったものの、1日当たりの感染者数が10月初旬に比べて3倍超に増加したことなどを受け、10月に再開した飲食店の屋内営業の再停止を含めて、幾つかの屋内活動に制限を課すことを独自に発表した(2020年10月6日記事参照)(注)。
オレゴン州でも、感染状況の悪化を受けて経済活動制限の動きがみられる。ケイト・ブラウン州知事は13日、全ての郡を対象に2週間(11月18日~12月2日)の社会活動の休止措置を取ることを発表した。全ての事業者に最大限可能な限り在宅勤務を求めるほか、飲食店はテークアウトとデリバリーのみに制限、ジムやフィットネスセンターは閉鎖となる。同知事は会見で、特に感染が悪化している郡へは、休止措置の期間が2週間以上になる見込みとも述べた。
(注)10日の発表では、一部再開が認められた非エッセンシャルビジネスのオフィスは制限の対象には入っていない(2020年10月26日記事参照)。
(ジェトロサンフランシスコ 石橋裕貴)
ウーバー運転手などのギグワーカーを独立請負人と定める提議、米加州住民投票で可決見込み
2019年9月13日記事参照)。同法をめぐっては、カリフォルニア州司法長官らが5月に起こした訴訟で、州上級裁判所が8月、ウーバーやリフトの同法違反を認め、両社にドライバーを従業員として扱うよう命じ、その後、州高等(控訴)裁判所も10月に同命令を支持する判断を下していた(2020年8月18日記事、8月25日記事参照)。
Proposition22に関しては、ライドシェアサービスを提供するウーバー・テクノロジーズやリフト、フードデリバリーサービスを提供するドアダッシュ、ポストメイツなどのテック企業が推進の立場を取っていた。リフトは11月4日、同提議が承認される見通しであることを歓迎するプレスリリース発表し、提議の中で定められているベネフィットをドライバーに提供できる、と述べた。
(注1)州務長官の発表によると、11月12日時点で賛成58.6%、反対41.4%。現在も集計作業は続いており、最終結果は12月11日までに確定される予定。
(注2)原則、ライドシェアの依頼やフードデリバリーの注文をオンライン上のアプリケーションやプラットフォームで受けてから、サービスを完了するまでの時間。待ち時間などは含まれない。
(注3)(A)業務に関する契約下および実際に業務の遂行中に雇用主体の指揮命令系統にない、(B)通常の雇用主体の事業の範囲外の業務を行う、(C)従事している業務と同じ性質の独立した貿易、職業、ビジネスに慣習的に従事している。
(ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴)
米加州、消費者プライバシー法改正の提議、住民投票で可決の見込み
2020年7月9日記事、8月21日記事参照)が、今回の提議はCCPAを改正し、消費者の権利をより強化するカリフォルニアプライバシー権法(CPRA:Consumer Privacy Right Act)とすることへの賛否を問うた。
同提議を推進してきた団体「Yes on 24」によると、アンドリュー・ヤン氏(注2)やエレニ・クーナラキス・カリフォルニア州副知事、ロンドン・ブリード・サンフランシスコ市長らが支持を表明していた。住民投票に先立ち、現地日系企業もCPRAとCCPAの違いなどに大きな関心を寄せており、投票の結果が注目されていた。
CPRAに基づくCCPAの改正点は次のとおりだ。
- 消費者に新たな権利を付与する。個人情報の中でも特に手厚く保護すべき社会保障番号や運転免許証情報、金融口座、人種、位置情報などを「センシティブ個人情報」として新たに定義し、それら個人情報の事業者による使用を制限することを消費者に認める。また、消費者は事業者に不正確な個人情報の修正を要求することや個人情報の共有を制限することが新たに認められる。
- CPRAでは16歳未満の消費者の個人情報に関する法令違反には通常の違反に比べて最大3倍(7,500ドル以下)の罰則が科される。これは、CPRAの主目的の1つが児童のプライバシー保護強化にあることに基づく。
- CPRAは、プライバシー法を執行する権限を持つ州の個人情報保護機関の設立を定めている。
提議書によると、CPRAは2023年1月から施行予定とされる。提議の可決見込みを受けて、カリフォルニア州でビジネスを行っている日本企業は今後、CPRAのコンプライアンス対応が必要となる。
(注1)州務長官の発表によると、11月10日時点で賛成56.1%、反対43.9%。現在も集計作業は続いており、最終結果は12月11日までに確定する予定。
(注2)元民主党大統領候補。
(ジェトロサンフランシスコ 石橋裕貴)
米下院選、民主党優位の加州で共和党が3議席奪回か
>>>ジェトロ オリジナル記事はこちらから (11/5/2020 Updated) 米国大統領選挙が11月3日に行われ、カリフォルニア州では投票前の世論調査どおり民主党のバイデン候補が勝利を確実にし、選挙人55票を獲得した(注)。 州内の郡ごとに両候補の勝敗をみると、同州58郡中、サンフランシスコ・ベイエリアに所在する郡やロサンゼルス、サンディエゴなど沿岸の大都市圏を含む36郡をバイデン候補が制した一方、州最北部や、農業地として知られるセントラルバレーを中心にトランプ大統領が22郡で票を集めた。 共同通信(速報値)によると、11月4日午後8時時点のカリフォルニア州全体でのバイデン候補への得票率は65.3%で、トランプ大統領(32.9%)との得票差は32.3ポイントにとなり、選挙前の世論調査に近かった。同州でのバイデン候補とトランプ大統領の選挙前の支持率は、投票日1週間前10月27日時点で、無党派政治情報サイトの270トゥーウィンではそれぞれ61.7%、32.3%(29.4ポイント差)、データ分析サイトのファイブサーティエイトでは64.0%、34.1%(29.9ポイント差)だった。 2016年の大統領選結果と比較すると、トランプ氏の得票率は2016年が32.8%で2020年とほぼ同様だった一方、バイデン候補がクリントン氏(2016年:61.6%)よりも数ポイント上回って支持を得ていることが分かる。 西海岸のその他の民主党優位州であるワシントン(選挙人12票、バイデン候補:61%、トランプ大統領:36.9%、)とオレゴン(7票、57.5%、40.2%)でも、バイデン候補が勝利を確実にした(得票率は両州とも11月4日午後3時時点)。 他方、全米の最終的な選挙結果は、ペンシルベニア州など激戦州では郵便投票の集計がまだ終了しておらず、投票日翌日の11月4日時点でまだ確定していない。サンフランシスコ市中心部では、選挙結果を受けて発生する可能性のある暴動や略奪を警戒し、オフィスビルの出入りを制限したり、路面店がガラス面に板を打ち付けるなどセキュリティ強化を行っている(添付資料参照)。 サンフランシスコ湾東側イーストベイの早期投票所の様子(ジェトロ撮影) ベイエリアの高速24号線上の陸橋で旗や横断幕を出すトランプ氏の支持者(ジェトロ撮影) (注)米国大統領選挙は、全米各州に割り振られた選挙人538票(州ごとに連邦上院議員2人と下院議員人数分の票が与えられる)のうち、270票を獲得した候補者が勝つ仕組み(エレクトラルカレッジ制)。カリフォルニア州では、選挙人票は全部で55票あり、得票数が最も多い候補者が全55票を勝ち取る。 (ジェトロ 田中三保子) カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は10月27日、同州が立ち上げた新型コロナウイルスワクチンに関するワーキンググループ(COVID-19 Scientific Safety Review Workgroup)に、西海岸のワシントン、オレゴン、ネバダの3州が参加することを発表した。同ワーキンググループは、免疫や公衆衛生を専門とするカリフォルニア州の有識者から構成され、米食品医薬品局(FDA)が今後承認するワクチンを州内で配布する前に、その安全性や効果を独立して検証する役割を担う。 同ワーキンググループの設立は、カリフォルニア州政府が策定したワクチン配布計画の一部だ。同計画はワクチンの配布・管理に当たり、(1)ワクチンが安全性の要件を満たすこと、(2)感染リスクが高い人にまず配布され、その後公平に配布されること、(3)地域の利害関係者が関与して透明性を確保することを掲げている。 今回参画する3州からも専門家が参加し、西部4州で配布するワクチンの安全性・有効性を検証する。ニューサム知事は、「地域を越えて、われわれの全てのコミュニティーにとって健康的で安全な道筋をつけるために、このワーキンググループを通して近隣の州と連携できることに感謝する」と述べた。ワシントン州のジェイ・インスレー知事、オレゴン州のケイト・ブラウン知事、ネバダ州のスティーブ・シソラック知事も10月27日、それぞれワーキンググループへの参加を表明した。 今回の西部州の動きは、米国で連邦政府が承認するワクチンの使用に慎重な姿勢が広がっていることを示唆する。実際に、米シンクタンク、ピュー・リサーチ・センターが米国の成人約1万人に行ったアンケート調査結果(注)によると、77%が「安全性や効果が完全に検証される前に、ワクチンが使用される可能性がある」と考えている。「もし今日、ワクチンが接種可能であれば、接種するか」という質問に対しては、「絶対接種する」(21%)と「おそらく接種する」(30%)を合わせた回答割合は51%にとどまる。接種しないと回答した人にその理由を聞くと、76%が「副作用への懸念」を主な理由に挙げた。 (注)調査実施時期は9月8~13日。対象者は米国の成人1万93人。 (ジェトロ 石橋裕貴) 住宅費の高騰が近年問題になっていた米国カリフォルニア州サンフランシスコで、家賃が大きく下落している。業界各社が10月に入って家賃の前年比データを発表した。 不動産情報サイトのリアルタードットコムの発表(10月13日)によると、サンフランシスコ郡のスタジオタイプの住居(ワンルーム)の2020年9月の家賃中央値(2,285ドル)は前年同月比マイナス31.0%となった。1ベッドルーム(2,873ドル)はマイナス24.2%、2ベッドルーム(3,931ドル)はマイナス21.3%だった。全米主要100郡のうち、同郡ではスタジオ、1ベッドルーム、2ベッドルームの3カテゴリー全てで家賃下落率が最も大きい。また、サンフランシスコ・ベイエリアのテック産業集積地であるサンタクララ郡とサンマテオ郡でも、スタジオ賃料中央値がそれぞれマイナス19.2%(2,016ドル)、マイナス17.6%(2,100ドル)と、2割近く下落している。 賃貸物件サイトのザンパーによると、サンフランシスコの1ベッドルーム賃料中央値は9月に2,836ドルと、2014年の記録開始以来初めて3,000ドルを切り、10月の賃料は前年同月比21%減の2,795ドルとなっている。 サンフランシスコ公衆衛生局は、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、現在もリモートで行える業務はリモートで行うことを義務付けている。また、ツイッターやスクエアなどテック大手企業の中には、従業員の永続的なリモート勤務を認める動きも出ている。こうした中、勤務先の近くに住む必要がなくなった人がより手頃な価格の物件を求めて引っ越していることが家賃急落の主な原因とリアルタードットコムは分析している。 サンフランシスコでは近年、テック産業の好況と連動するように住宅費が高騰し、社会問題となってきた。ザンパーによると、サンフランシスコの1ベッドルーム賃料中央値は2014年には既に3,000ドルを超えており、ニューヨークを抜いて全米一家賃の高い都市となっていた。2019年6月には同賃料中央値は過去最高の3,700ドルまで上昇し、2020年4月まで3,500ドル前後を維持していた。 (ジェトロ 田中三保子) 2020年3月18日記事参照)されて以降、約6カ月ぶりに屋内営業が認められた。同市・郡が30日に発表した飲食店向けのガイドラインによると、屋内営業に当たっては、客数を定員の25%(最大100人まで)に制限する。各テーブルは6フィート(約1.8メートル)の間隔を確保することが求められ、仕切り板の設置で代えることは認められない。また、屋外席の利用を優先し、屋内スペースは午前0時30分までに閉鎖する必要がある。 カリフォルニア州は8月31日から新しいビジネス再開計画を導入しており(2020年9月8日記事参照)、州内各郡について、新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者数(10万人当たり)と検査陽性率の指標に基づき、紫色、赤色、オレンジ、黄色の4段階に分類している(ビジネスへの制限が最も厳しいのが紫)。サンフランシスコは9月29日、他の主要郡に先駆けて、それまでの「赤」から「オレンジ」段階に移行した。州のガイドライン上は、飲食店の屋内営業は「赤」段階で再開可能だが、サンフランシスコ市は「オレンジ」に移行した時点で再開を認めると発表していた。 飲食店の屋内営業が認められた一方で、一般消費者の屋内飲食に対する抵抗感は強い。「サンフランシスコ・クロニクル」紙が9月中旬にウェブ上で実施したアンケート(回答者:1,327人)では、「早ければ9月末に飲食店の屋内営業が再開されるが、すぐに屋内での飲食を希望するか」との質問に対して、79.1%が「いいえ」と回答した。筆者の自宅周辺でも、屋内飲食を開始した店舗は全体の2割程度にすぎない。 屋内営業を開始した市内のレストラン(ジェトロ撮影) 北カリフォルニアでは、サンフランシスコのほか、サンマテオ郡やコントラコスタ郡、マリン郡などでも、9月中旬以降、人数の制限付きで屋内での飲食サービスの再開が認められている。 (Jetro 石橋裕貴) (10/2/2020 Updated) カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は9月23日、同州内におけるガソリン車の新車販売を2035年までに禁止すると発表し、同年までに州内で販売する全ての新車(乗用車およびトラック)をゼロ・エミッション車両とすることを義務付ける知事令を発した。ガソリン車両の所持や中古車販売は対象外となる。これは、気候変動への対策として、化石燃料の需要を劇的に減らすことを目的とする。 同発表によると、同州内の温室効果ガス排出の50%以上が輸送セクターによるもの。ゼロ・エミッション車両の新車販売を義務化することで、同州内の車両から排出される温室効果ガスの35%以上、窒素酸化物の80%削減を目指す。 この知事令を受けて、カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)は、2035年までにゼロ・エミッション車両の新車販売義務化の詳しい規則と、2045年までに同州内で走行できる中・大型トラックをゼロ・エミッション車両のみとする規則も策定する予定だ。 国際クリーン輸送協議会(ICCT)の2020年8月の報告書によると、2019年に全米で販売された(中古車を含む)電気自動車(注1)のうち、約50%がカリフォルニア州で販売されたもの。都市別で同年の新規登録車両に占める電気自動車の割合をみると、サンノゼが20%で最も高く、自動車を購入する5人に1人が電気自動車を選んでいることになる。電気自動車の新規登録台数でも、ロサンゼルスが最も多い約5万5,000件、次いでサンフランシスコ、サンノゼ(約2万8,000件、約2万件)と、カリフォルニア州は全米最大の電気自動車市場だ。一方、報道によると、ゼネラルモーターズ(GM)やトヨタなどから成る自動車イノベーション協会(AAI)(注2)からは、「『命令』や『禁止』で市場は成功しない。カリフォルニア州の新車販売のうち、電気自動車は10%にも満たない」と否定的コメントが出された。 排ガス削減目標を緩和しようとするトランプ政権と、グリーン化を促進したいカリフォルニア州は、燃費基準などをめぐって激しく対立している。9月23日、ホワイトハウスの記者会見に同席したラリー・クドロー国家経済会議委員長は今回の知事令に関して、「非常に極端な判断のように思える。消費者が電気自動車を含め、全ての自動車から選択可能であるべきだ」と述べた。 ジャッド・ディアー大統領報道官は「(カリフォルニア州政府の措置は)米国民の生活をあらゆる面で指図したいだけ。雇用喪失や消費者のコスト負担も増える。トランプ大統領が支持することはない」と批判した、と報道されている。 カリフォルニア州などは連邦政府に対し、燃費基準に関する「SAFE車両規則」を見直すよう求める訴訟も起こしており、エネルギー分野で国と各州の方針の隔たりは大きい(2020年6月2日記事参照)。 (注1)バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド電気車(PHEV)。燃料電池電気自動車、低速電気自動車は含まない。 (注2)2020年1月に、GMなど米国系メーカーやトヨタなどをメンバーとする米国自動車工業会(AAM)と、ホンダや韓国の現代自動車など外資系メーカーをメンバーとするグローバル・オートメーカーズが統合。加盟メーカーで、全米の自動車生産台数の99%を占める。 (Jetro 田中三保子) 9/30/2020 Updated 米国サンフランシスコで年次開催されている大型スタートアップイベント「ディスラプト」が9月14~18日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、初めてオンラインで開催された。 今回のオンライン開催は、参加者がイベント専用の「バーチャル・プラットフォーム」にアクセスする仕組みをとった。同プラットフォームを通じて、テック業界の著名人を招いて行うトークセッション動画をライブストリーミングし、参加者同士のネットワーキングを可能とした。各スタートアップの展示は、動画で技術を紹介する「バーチャル展示」方式で行われた。また、世界中からアクセスする参加者に配慮し、開催時間はサンフランシスコの日中だけでなく、夜遅い時間帯(アジアの午後、一部欧州で午前)にもトークセッションなどが行われた。 ディスラプトは近年、トークセッションのトピックとして、最新テクノロジーだけではなく、米国の社会問題も取り入れる傾向にある。2020年は、全米各地で起きている「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動の影響を受けてか、人種問題を意識したテーマもみられた。また、過去の開催に比べ、黒人スピーカーが多く登壇した。 ディスラプト恒例の賞金10万ドルをかけて競うピッチ大会では、合法大麻農場向けの統合業務(ERP)ソフトウエアを開発するキャニックス(Canix、本社:サンフランシスコ、2018年設立)が優勝した。大麻農場は、株ごとに番号を振り、在庫管理から販売まで、州政府の追跡システムへデータを入力することを義務付けられている。キャニックスによると、農場が同社の無線ICタグ読み取りスキャナー(RFID)と、州政府システムや経理システムと統合できるEPRプラットフォームを使えば、データ入力に費やす時間を大幅に削減できるという。また、プラットフォームに蓄積したデータに基づき、在庫予測も可能になる。同社は、サービス提供地域を、娯楽使用が合法となった全11州とワシントンDCおよびカナダに拡大していく予定(注)。米国では今後、アリゾナ州やモンタナ州などで、大麻の娯楽使用合法化の可否が11月の住民投票にかけられることになっている。 ディスラプトのバーチャル・プラットフォーム(ジェトロ撮影) トークセッションの様子(ジェトロ撮影) キャニックス優勝発表の様子:画面中央右がキャニックスのステイシー・ロノウスキ最高経営責任者(ジェトロ撮影) (注)アラスカ、カリフォルニア、コロラド、イリノイ、メーン、マサチューセッツ、ミシガン、ネバダ、オレゴン、バーモント、ワシントンの11州(2020年7月時点)。カナダは2018年10月から合法化(2018年6月25日記事参照)。 ( Jetro 田中三保子) 9/30/20 Updated 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、初めてオンライン開催(9月14~18日)された米国スタートアップイベント「ディスラプト」(2020年9月30日記事参照)で、ジェトロがイノベーション・プログラムで支援する日系スタートアップ15社が、動画で自社技術を紹介する「バーチャル展示」を行った。出展企業の声を報告する。 自然素材のモノのインターネット(IoT)デバイスを開発するムイラボ(mui Lab)は、2019年に続き2度目の参加だ。同社の三宅謙介グローバルセールスディレクターは「ユニークなハードウエアが参加者の目を引き、製品の引き合いにつながる場合が多いが、今回はピッチに出ておらず露出が少ないので、能動的に商談のアポ取りをしている。発信するコンテンツやメッセージは短くインパクトあるものに工夫し、時差がありリアルタイムで対応が必要な場合に備え、現地アドバイザーにスタンバイを依頼している」と、出展中の工夫について語った。 バーチャル展示を行った企業のうち、6社はライブストリーミングでピッチも行った。ディスラプト初参加のウォーターデザインジャパン(Water Design Japan)は、水道管に取り付けるノズルで目に見えないほどの小さな泡を生成し、排水溝の汚れなどを吸着・剥離させる技術を持つ。同社共同創業者の伊藤夏美氏は「オンライン開催だったので普段の業務と並行して参加できたのはメリット。オンラインピッチは今回が初めての体験で、対面とは違う難しさもあったが、ピッチを視聴した方とのコネクションが得られた」と、ディスラプト初参加の感想を語った。 近年、日本でも連続起業家(シリアルアントレプレナー)が増える中、今回ピッチを行った6社のうち、3社が経験豊富な連続起業家が設立した企業だった。その中の1社、バッジ(Bajji)の創業者・最高経営責任者(CEO)の小林慎和氏は、2社のエグジット(会社売却など)と2社の破産を経験した連続起業家として感じた困難を基に、「フィールユー(Feelyou)」の開発を始めた。フィールユーは、自分の感情の記録とコミュニティーからの共感に焦点を当てたセルフケアアプリで、広告収入を得るビジネスモデルではなく、サブスクリプション型を採用する。新型コロナウイルス禍で不安を抱えるミレニアル世代(注)など、世界中のユーザーをターゲットに2020年7月にサービスを開始し、その後2カ月で欧州や米国などから約2万人のユーザーを獲得している。小林CEOは「ピッチ後、ロンドンの参加者から『サービスについて詳しく聞かせてほしい』と連絡が来て、1時間ミーティングした」と、ライブストリーミングされたピッチの手応えを話した。 バーチャル展示「エキスポ」の入り口(ジェトロ撮影) ウォーターデザインジャパン伊藤氏のオンラインピッチの様子(ジェトロ撮影) (注)一般に、1981~1996年生まれの世代を指す。 (Jetro 樽谷範哉、田中三保子) 9/14/2020 Updated 米国カリフォルニア州では、9月に入っても山火事の影響が続いている(2020年8月27日記事参照)。州消防局によると、9月13日時点で、年初から合計330万エーカー(約134万へクタール)以上が焼失し、山火事が深刻化した8月中旬以降、被害は死者22人、建物の破壊4,100件に上る。米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)は、サンタクララ郡やナパ郡などで発生している火災の鎮圧に向け、財政支援を発表している。 都市部では、煙による大気汚染が深刻になっている。直近(9月7日の週)の大気汚染の状況に関して、サンフランシスコを含むベイエリアの多くの地域では、「呼吸器障害などがない人も屋外での長時間にわたる活動を制限、あるいは避けるべきレベル」(6段階中、3番目に悪い)となった。日や時間帯によっては、より深刻な「呼吸器障害などがない人も屋外での全ての活動を制限、あるいは避けるべきレベル」(2番目に悪い)になる状況もみられた。ベイエリアでは9月9日、山火事による煙の影響で空が薄暗くオレンジ色になる状態が終日確認された。サンフランシスコ市のロンドン・ブリード市長は同日、自身のツイッターで「こんな光景は今まで見たことがない」と述べ、新型コロナウイルスの感染が続く中、新たな困難に直面しているとの見解を示した。 大気汚染を含めた山火事のビジネスへの影響について、ベイエリアの日系企業に話を聞くと、「在宅勤務を続けているため、現時点ではスタッフの業務に大きな影響はない」「念のため、山火事付近の仕入れ先の工場からの搬入は止めている」「山火事・大気汚染に対する特別な措置は取っていない」など、影響は限定的との声だった。 山火事は、カリフォルニア州以外の西部州でも発生している。オレゴン州では、北部やカリフォルニア州境などで90万エーカー以上(9月13日時点)が、ワシントン州では9月7~11日の5日間で、東部などで約63万エーカーが焼失した。ワシントン州シアトル市では煙による大気汚染もみられている。 (ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴) 9/8/2020 Updated 米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は8月28日、新型コロナウイルスとの共存を前提とした経済再開のための新たな計画を発表し、31日から計画を始動させた。「より安全な経済」を目的とした今回の計画では、1日の新規感染者数(10万人当たり)と検査陽性率の指標に基づき、各郡を感染状況で色分けした(添付資料表参照)。(1)広くまん延(Widespread)-紫色(注1)、(2)かなりまん延(Substantial)-赤色、(3)中程度のまん延(Moderate)-オレンジ、(4)低度のまん延(Minimal)-黄色の4段階に分類している。ビジネス活動への制限が最も厳しい「紫色」の段階では、非エッセンシャルビジネスは原則、リモートワークが求められる。飲食店はテークアウト・デリバリーや屋外での営業のみ認められる。小売りは店内の収容人数を25%に制限して営業可能だ。 8月31日時点で州内58郡のうち、「紫色」に該当する郡が38郡と最も多く、「赤色」「オレンジ」がそれぞれ9郡、「黄色」が2郡となっている。毎週火曜日に前週のデータに基づいて各郡の段階を判断する。各郡は制限が緩和される次の段階に移行するためには、次段階の基準を2週間連続で満たさなければならない。また、「赤色」「オレンジ」の段階にある郡は次段階に移動可能になるために少なくとも3週間、同じ段階にとどまる必要がある。現在の段階の基準を2週間連続で維持できない郡は、より制限の厳しい前段階に後退する。各郡の状況はカリフォルニア州のウェブサイトで確認できる。 新しい計画で定めた経済活動への規制について、郡によってはより厳格に運用する例がみられる。例えば、「赤色」の段階にあるサンフランシスコ市・郡は9月1日、低リスクの屋内ビジネス活動(理髪店、美容院など)は同月末を目標に順次再開すると発表したが、州の計画に従えば再開可能な飲食店の屋内営業は含まれていない(注2)。他方、同じく「赤色」の段階にあるナパ郡は州の計画に沿って8月31日から飲食店の屋内営業の再開を認めると発表している。 「紫色」の段階にあるロサンゼルス郡は9月2日、美容院と理髪店の屋内でのサービス提供について、収容人数を25%に制限するなどの条件の下で再開を許可すると発表している。州のガイドラインでは、一番制限の厳しい「紫色」段階でも美容院と理髪店の屋内サービスは認められている。 (注1)「紫色」はこれまでカリフォルニア州政府が公表してきた新型コロナウイルス感染状況に関する重点監視対象郡に相当する。 (注2)ジェトロがサンフランシスコ市・郡に問い合わせたところ、飲食店の屋内営業再開は認めていないと回答があった(9月1日時点)。 (8/28/20 Updated) カリフォルニア州で、複数の森林火災が広範囲にわたり猛威を振るっている。8月24日時点で、州全土で合計120万エーカー(約48万ヘクタール)以上を燃やす625の火災が確認されている。これらの火災は、同州で歴史的猛暑日が続く中(2020年8月24日記事参照)、16日早朝から発生した多数の落雷が主な発火原因とされている。ギャビン・ニューサム州知事は18日、州全土に広がる火災と極端な気象状況による非常事態宣言を発している。 火災現場から離れた都市部では、火災による直接的な被害はないものの、煙による大気汚染が著しい。8月25日午前中の時点で、ベイエリアのほとんどの地域で大気汚染のレベルが「呼吸器障害などがない人も屋外での長時間にわたる活動を制限、あるいは避けるべきレベル」と測定された。大規模な火災の制圧率もまだ低いため、煙による被害がいつ収まるか、専門家もまだ予測を立てていない。ベイエリアの病院では、呼吸障害を訴える患者が増加しているとの報道も出ている。 今回の火災で圧倒的に規模が大きいのが、サンフランシスコ・ベイエリアの9郡中(注1)6郡を巻き込んでいる、落雷による複合火災LNUとSCU(以下LNU、SCU、注2)の2つだ。SCUとLNUは8月25日時点で、それぞれ35万エーカー以上に広がり、同州史上2番目、3番目に規模の大きい火災となった。同日時点で、SCUでは死者は出ていない(けが人:5人、建物の破壊:18棟)ものの制圧率は15%、LNUでは5人が死亡(けが人:4人、建物の破壊:937棟)、制圧率は27%と完全制圧への道のりは遠い。 現地報道によれば、一連の森林火災により州全体で少なくとも10万人が避難している。新型コロナウイルス感染拡大がいまだ収束しない同州では、避難所へ入る前に検温やスクリーニングを行い、避難所が集合形式の場合はマスク着用、ソーシャルディスタンスを取ることを必須とし、空気清浄機なども設置して、新たな感染を防ぐ対策をしている。 (注1)サンフランシスコ湾を囲む9郡:サンフランシスコ、サンマテオ、サンタクララ、アラメダ、コントラコスタ、ソラノ、ナパ、ソノマ、マリン (注2)LNUは、8月17日に発生。ソノマ郡、レイク郡、ナパ郡、ヨロ郡、ソラノ郡(サンフランシスコから見て北東方面)に広がる。SCUは、8月18日に発生。スタニスラウス郡、サンタクララ郡、アラメダ郡、コントラコスタ郡、サンホアキン郡(サンフランシスコから見て南東方面)に広がる。 (ジェトロ 田中三保子) (8/25/2020 Updated) 米国カリフォルニア州高等裁判所(上級裁判所の上位に当たる裁判所)は8月20日、同州上級裁判所が米ライドシェア企業のウーバー・テクノロジーズ(以下、ウーバー)とリフトに対し、ドライバーを従業員として扱うよう命じた8月10日の仮命令(2020年8月18日記事参照)の猶予を命じた。 上級裁判所が10日に出した仮命令は、10日間の保留期間が設けられており、ウーバーとリフトは、高等裁判所に仮命令の緊急猶予を求めて控訴していた。今回の高等裁判所の判断により、ウーバーとリフトは8月25日までに、同裁判所が定めた今後の手続きに同意することを条件に、控訴審が決するまでドライバーを個人請負人として扱うことが認められる。両社は仮命令を理由に、カリフォルニア州でのライドシェアサービスを停止する可能性をテレビのインタビューや自社ウェブサイトなどで示唆・表明していたが、今回の高等裁判所の猶予措置を受けて8月20日、それぞれ自社のアプリなどを通じて、サービスを停止しないことを発表した。 高等裁判所の定めた手続きに従い、両社の最高経営責任者(CEO)は9月4日までに、高等裁判所が上級裁判所の仮命令を認めた場合や、11月の住民投票における提案(Proposition 22、注)が通らなかった場合の実施計画を作成したことを確認する宣誓書を提出する必要がある。控訴趣意書の提出などを経て、10月13日に口頭弁論が行われる予定だ。 同提案を支持する団体「Yes on Proposition 22」によると、ライドシェアのドライバーや各ビジネス関係組織など9万7,000超の個人・団体が提案を支持しているという。また、カリフォルニア州住民の中にも、ライドシェアサービスがなくなり、以前のタクシー利用に戻ることを懸念する声がある。 他方で、提案に反対の立場をとる団体「カリフォルニア州労働者連盟(California Labor Federation)」は、この提案はウーバーやリフトなどの企業が最低賃金や有給傷病休暇などの基本的保護の提供義務を免除されるために書いたもので、ドライバーやその家族のためのものではないと主張する。また、民主党の大統領候補に指名されたジョー・バイデン前副大統領も5月、自身のツイッターで同提案に反対を呼び掛けている。 (注)アプリケーションを通じてライドシェアやデリバリーサービスに従事するドライバーが個人請負人として働くことを選ぶ権利を保護する提案。 (ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴) (8/21/2020 Updated) カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)は8月17日、フォード、ホンダ、BMWノースアメリカ、フォルクスワーゲン・グループ・オブ・アメリカ、ボルボの5社と、排ガス削減を目指す枠組み協定を締結したことを発表した。同州は、排ガス削減目標を緩和しようとするトランプ政権に抵抗する姿勢を貫いている。 この協定は、2019年7月にカリフォルニア州と、ボルボを除く上記の4社が合意した自発的な枠組みが基になっており(2019年8月5日記事参照)、今回、ボルボも加わって、各社個別に最終合意書に署名した。これにより、同州で同協定が法的拘束力を持つことになった。 上記5社は合意した内容に基づいて、ゼロ・エミッション車両への切り替えを促進するほか、ガソリン・ディーゼル一般車両と軽量トラックに関しては、2026年まで、オバマ前政権が定めた基準(注1)とほぼ同様に、企業平均燃費基準を改善していく。 一方、その他の大手自動車メーカー、ゼネラルモーターズ、フィアット・クライスラーオートモービルズ、トヨタは同協定に賛同しておらず、カリフォルニア州と連邦政府のクリーン車両基準をめぐる訴訟において2019年10月に連邦政府支持を表明した。また、これらの自動車メーカーから成る自動車イノベーション協会(AAI)は、環境保護庁(EPA)と国家道路交通安全局(NHTSA)が2020年3月に定めた、それまでの規則から緩和された新燃費基準を支持している(2020年4月14日記事、2020年5月29日記事参照)。 なお、EPAとNHTSAは2019年7月の上記枠組み発表後、同年9月に、カリフォルニア州が受けていた温室効果ガス排出基準にかかる連邦規制からの適用除外措置(注2)の取り下げと、同州独自のクリーン車両基準の無効化を発表した。これを受け、カリフォルニア州はNHTSAとEPAを提訴しており、2020年に入ってからも、新燃費基準の見直しを求めて連邦政府を提訴するなど(2020年6月2日記事参照)、現在も法廷闘争中だ。 (注1)オバマ前政権は、2025年までに一般車両と軽量トラックの企業平均燃費基準を1ガロン(約3.8リットル)当たり54.5マイル(約87キロ)とする目標値を2012年に設定した。 (注2)カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)は連邦よりも厳しい独自の基準を定め、「1970年大気浄化法」の下で連邦規制からの適用除外が認められていた。 (ジェトロ 田中三保子) (8/21/2020 Updated) 米国カリフォルニア州司法長官室は8月14日、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA:California Consumer Privacy Act)の最終規則(CCPA 順守のための要件・ガイダンス、新たな義務などを細かく規定されたもの)が、州行政法局(OAL)から承認されたと発表した。最終規則は即日有効となった。同規則は、2019年11月にオリジナル案が提出された後、リバイス(修正)を経て、同司法長官室が6月1日に最終規則案をOALに提出していた。最終規則案の承認前の7月1日から、州司法長官室によるCCPAの執行は開始されていたが、今回の承認により、正式に最終規則が執行可能となった(2020年7月9日記事参照)。 CCPA対応への観点から、日本企業が特に留意すべき2点について、概要を紹介する。 1点目は、セキュリティー対策だ。CCPAでは、個人情報を保護するための合理的なセキュリティー手順と慣行を実装する義務を事業者に課している。2020年1月のCCPAの発効以来、消費者から、この義務への違反に関して訴訟が発生している(注1)。例えば、IT企業のZoom(3月)、ホテルチェーン大手マリオット(4月)、小売り大手ウォルマート(7月)などが訴訟対象となっている。 この義務について、最終規則では、事業者は身元の偽装や、個人情報への不正なアクセスまたは削除を防ぐ合理的なセキュリティー措置を実行しなければならない(第4節)としている。 2点目は、当局や消費者などの目に触れやすい、一般公開されている自社ウェブサイトなどへの対策だ。CCPAの最終規則の第2節は、原則、事業者に対して、個人情報の収集時あるいは事前に消費者へ、収集する個人情報のカテゴリーや使用目的などを通知する義務を課している。また、消費者が読みやすくて理解しやすい通知方法を設計し、提示する必要がある。また、プライバシーポリシー規則の設置が求められており、次の情報を含めなければならない。 また、CCPA実務ハンドブック(1.7MB)(※規則に関する記述は2019年11月のオリジナル案をベースにしたもの)を参照のこと。 (注1)CCPAだけでなく、他の法令違反も含んだ訴訟が起きている。 (注2)2019年個人情報の販売をオプトアウトする権利などに関する通知や保護者の権利など。11月時点のオリジナル案では、16歳未満に関する記述は記載されていなかった。 (ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴) (8/19 Updated) カリフォルニア州上級裁判所は8月10日、米ライドシェア企業のウーバー・テクノロジーズとリフトに対し、ドライバーを個人請負人として扱うことを禁じる暫定的な差し止め命令を出した。 カリフォルニア州のハビエル・ベセラ司法長官室とサンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴの各市は5月に、ウーバー・テクノロジーズとリフトが、ライドシェアサービスを提供する運転手を従業員ではなく個人請負人と分類したことが、2020年1月施行の「労働法などに関する改正法(雇用形態-従業員と独立請負人)」(AB5)に違反しているとして、訴訟を起こしていた。州産業関係局労働委員室も8月5日、両社がドライバーを個人請負人と分類していることに対し、ドライバーへの賃金補償を求める訴訟を州上級裁判所へ起こしている。 AB5は、自社のカリフォルニア州の労働者が3つの状況(注)を満たさない場合には、労働者を個人請負人ではなく、従業員として扱うことを求めている(2019年9月13日記事参照)。労働者が従業員扱いになることで、雇用主には雇用保険などの負担が生じることになる。 今回の暫定差し止め命令は10日間保留された後、有効となる。ウーバー・テクノロジーズのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は8月12日、現地メディアのインタビューで、「控訴するつもりだ。もし裁判所が今回の決定を変えなければ、われわれのビジネスモデルをすぐにフルタイムの雇用に切り替えるのは困難だ。そのため、(カリフォルニア州では)しばらくの間サービスを停止することになるだろう」と述べた。 個人請負人のようないわゆる「ギグワーカー」と呼ばれる労働者の働き方をめぐって、カリフォルニア州では、アプリリケーションを通じてライドシェアやデリバリーサービスに従事するドライバーが個人請負人として働くことを選ぶ権利を保護する提案(Proposition 22)が、11月に住民投票にかけられる予定だ。 同提案の目的には、ドライバーが働く時間や場所などを柔軟に選ぶ権利を保護することや、最低所得補償など労働者としての便益を提供するよう雇用主に求めることも含まれている。同提案を支持する団体「Yes on Proposition 22」は、同団体ウェブサイトのFAQで、「デリバリーサービスやライドシェアのプラットフォームは、新型コロナウイルス感染拡大で収入や仕事を失って苦しむカリフォルニア州民に、収入を得る機会を提供している。AB5は、ドライバーの働き方の柔軟性や独立性を排除する恐れがある」などと説明している。 (注)(A)業務に関する契約下および実際に業務の遂行中に雇用主体の指揮命令系統にない、(B)通常の雇用主体の事業の範囲外の業務を行う、(C)従事している業務と同じ性質の独立した貿易、職業、ビジネスに慣習的に従事している。 (ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴) (7/30 Updated) 米民生技術協会(CTA)は7月28日、2021年1月6~9日に開催予定の世界最大級のハイテク技術見本市「CES2021」を、オンラインでの開催に全面移行すると発表した(注)。CTAのゲイリー・シャピロ会長兼最高経営責任者(CEO)は同日のプレスリリースで、「新型コロナウイルス感染症が拡大し、世界で健康への懸念が高まる中、何万人もの人々が安全に集まり、対面でビジネスを行うことは不可能」と今回の決定の理由を説明した。 オンラインでの開催方法について、詳細はいまだ発表されていない。CTAの発表によると、出展者はライブデモやデジタルの製品展示を行う。CESは世界中のテック業界のリーダーが新しい技術やプロジェクトを発表する場としても知られるが、オンライン開催により、参加者は基調講演やカンファレンスに容易に参加できることになる。 一方、オンラインへの全面移行に伴う課題は、対面による偶然の出会いが損なわれることや、時差によるネットワーキング機会の減少だ。特に北米とアジアでは昼夜が逆転し、ビジネス関係者の交流は容易ではない。前回のCES2020(2020年1月開催)には、世界中から出展者約6万4,000人を含む17万人超が参加した。米国以外からの参加割合は約35%に達し、そのうちアジア(中東を含む)からの参加者が6割を占めた。日本からの参加者も8,245人と、中国(1万1,067人)、韓国(1万471人)に次いで多かった。CTAは、ライブによる交流やミートアップなどの機会を提供することで、参加者のネットワーキングを可能にするとしている。 CES2021ではジェトロも、2019年から設置しているJ-Startupパビリオン(2019年1月24日付地域・分析レポート参照)を大幅に拡充し、日系スタートアップの海外展開を支援する予定だった。今回の主催者の発表を受けて、同パビリオンも全面的にデジタルへ移行することを予定している。 (注)当初、米国ネバダ州ラスベガス会場で開催予定だった。 (ジェトロ サンフランシスコ 樽谷範哉) (7/16 Updated) 米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事と公衆衛生局は7月13日、新型コロナウイルスの感染者数増加を受けて、州内の全ての郡に対し、同日からレストラン、ワイナリー、映画館などの屋内営業の再停止やバー、パブなどの再閉鎖を命じた。レストランは屋外席での飲食提供は可能だが、テイクアウトやデリバリーでの営業が推奨されている。バーやパブなどは原則、屋内外を問わず閉鎖される。 再開時期は未定で、公衆衛生局が今後の感染状況を基に判断する。州政府は7月1日に、感染状況が悪化している州内19郡に対して、レストランの屋内での飲食提供などの停止を命じていたが(2020年7月6日記事参照)、今回の命令により州全域が対象となった。 今回の命令ではさらに、州政府の重点監視対象リスト(注1)に3日以上続けて指定されている郡については、ジム、フィットネスセンター、理美容院、ショッピングモールなどの営業や、州政府が指定する重要なインフラ部門に該当しない事業のオフィスの閉鎖も命じた。命令発令時点で29郡(注2)が対象となり、これら郡はカリフォルニア州の人口の80%を占め、多くの州民が措置の影響を受けることになる。 重点監視対象となっていないサンフランシスコ市・郡も、7月13日からレストランの屋内営業を再開予定だったが、10日に独自に延期を発表している。 (注1)感染者数、入院者数率、医療機関の患者受け入れ体制などで州政府が設定した基準を満たしていない郡が指定されている。 (注2)コルサ、コントラコスタ、フレズノ、グレン、インペリアル、キング、ロサンゼルス、マデラ、マリン、マーセド、モントレー、ナパ、オレンジ、プレイサー、リバーサイド、サクラメント、サンベニト、サンバーナーディーノ、サンディエゴ、サンホアキン、サンタバーバラ、ソラノ、ソノマ、スタニスラウス、サッター、トゥーレアリ、ベンチュラ、ヨロ、ユバの29郡。これら以外でも、命令発令期間中に3日以上連続でリストに含まれた郡は命令の対象となる。 (ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴) (7/10 Updated) 2020年1月施行のカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA:California Consumer Privacy Act)の執行が7月1日から開始された。同日以降、事業者がCCPAで定めた義務に違反した場合、カリフォルニア州司法長官による執行手続きの対象となり得る。 CCPAをめぐっては、同法順守のための要件やガイダンスを規定した施行規則の策定作業が行われていたが、州司法長官室は6月1日、最終規則案を州行政法局(OAL)へ提出した。最終規則案は7月6日時点でOALの承認待ちの状態だが(注1)、ザビエル・ベセラ州司法長官は6月30日付プレスリリースで、7月1日からCCPAの執行を開始する計画だと発表した。 CCPAは、カリフォルニア州で事業を行い、次の1~3の基準のいずれか1つまたそれ以上を満たす事業者などが対象となる。さらに、それら事業者を支配(親会社)またはそれら事業者に支配され(子会社)、かつ、同じブランド(名前、サービスマークまたは商標)を共有する事業者も対象になる可能性がある。 CCPAはカリフォルニア州民に対して、事業者が集めた個人情報の開示を求める権利(知る権利)、事業者が消費者から集めた個人情報の削除を求める権利(削除権)、事業者が第三者へ個人情報を売却するのをやめるよう求める権利(オプトアウト権)などを認めている。一方で事業者に対しては、これら住民に認められた権利に対応する義務などを課す。 CCPAへの準備状況に関して、ジェトロが現地日系企業にヒアリングしたところ、「BtoBの企業はCCPAにどのような影響を受けるのか不透明」「規則案が何度も改訂されるので最新の内容に追いつけない」「CCPAに対応したクッキーでの個人情報の取得方法に悩んでいる」「従業員の健康情報(新型コロナウイルス感染の有無など)がCCPAに規定される個人情報に該当するのか不透明」など、対応に苦慮する声が聞かれた。 カリフォルニア州では、CCPAを修正するかたちで消費者の権利をより強化する法案(CPRA:California Privacy Rights Act of 2020)が11月に住民投票にかけられる予定で、その結果も注目される(注2)。 CCPAや規則については、2019年6月6日付地域・分析レポートや「CCPA実務ハンドブック」も参照。 (注1)最終規則案はOALに承認され次第、正式に執行可能となる。カリフォルニア州政府は3月に新型コロナウイルス感染拡大を受けた措置として、通常30日間あるOALの審査期間について、追加で60日間延長する行政命令を出している。 (注2)CPRAは「CCPA2.0」とも呼ばれ、事業者に対して不正確な個人情報を修正するよう求める権利や第三者への個人情報の共有を止めるよう求める権利を定めるほか、「センシティブな個人情報」という新しいカテゴリーを作り、それらの個人情報の使用に制限を課すことなどを規定している。例えばセンシティブな個人情報には、社会保障番号や正確な位置情報、健康情報などが該当する。 (7/6 Updated) 米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事と同州公衆衛生局は7月1日、新型コロナウイルスの感染状況が悪化している州内19郡に対して、レストランの屋内での飲食提供やバーなど一部のビジネスを即時、再閉鎖するよう命じるガイダンスを発表した。 命令の対象となった19郡(注1)は、カリフォルニア州の南から北まで広範囲にわたる。再閉鎖の対象となるビジネスは、レストランの屋内の飲食提供のほか、ワイナリーと試飲コーナー、映画館などの屋内営業。さらに、バーやパブなどは屋外・屋内ともに閉鎖対象となる(注2)。これらのビジネスは、少なくとも3週間の閉鎖が求められる。カリフォルニア州政府は、今回のガイダンスに先立ち、6月28日にロサンゼルス郡など7郡に対してバーなどの閉鎖命令を出していた。 カリフォルニア州では、新規感染者数が増加傾向にある。公衆衛生局のデータによると、7月1日時点の累計感染者数は24万195人で、過去2週間の新規感染者数は7万9,096人と前月から倍増している。同期間の新規感染者の3分の1はロサンゼルス郡で確認されている。同郡では、5月29日にレストランの店内飲食提供(2020年6月3日記事参照)が、6月19日にはバーの再開が可能となっていた。 今回のガイダンスの対象となっていないサンフランシスコ市・郡ではこれまで、6月12日からレストランの屋外での飲食提供、15日からは小売店の店内営業や全ての製造業、倉庫業、物流業、1部のオフィス勤務などの再開が可能となり、段階的に経済再開が進められてきた。また、29日に再開を予定していたバーの屋外営業や理美容院などは、26日に独自に延期が発表された。 また、サンフランシスコ周辺のマリン郡やアラメダ郡なども、一部のビジネスの再開日程を後ろ倒しにすることを発表している。 (注1)コントラコスタ、フレズノ、グレン、インペリアル、カーン、キング、ロサンゼルス、マーセド、オレンジ、リバーサイド、サクラメント、サンバーナーディーノ、サンホアキン、サンタバーバラ、サンタクララ、ソラノ、スタニスラウス、トゥーレアリ、ベンチュラの19郡。 (注2)19郡での各ビジネスの再開状況は異なる。ソラノ郡など一部の郡では、レストランの屋内飲食は5月末から可能になっていた。 (ジェトロ 石橋裕貴、栗山藍) >>>ジェトロ オリジナル記事URLはこちらから! 米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は6月18日、新型コロナウイルス感染対策の一環として、同日から州内でのマスクなどフェイスカバーの着用を義務化すると発表した。経済活動の再開が進むにつれ外出する住民が増えていることに伴う措置で、屋内の公共スペースや病院などの医療サービス施設、タクシーやライドシェア含む公共交通機関の乗車待ちの間および乗車中、職場、屋外で他人と6フィート(約1.8メートル)の距離を保てない状況などが対象となる。 それに先立ち、ニューサム知事は6月15日の記者会見で、第2波を避けるためには、州政府が連邦政府や民間セクターと連携しながら病院の患者受け入れ能力強化や個人用防護具(PPE)の確保に取り組むだけなく、各自がフェイスカバー着用および社会的距離を確保することなどが重要だと強調していた。 また、同知事は会見で、各関連指標に基づき、州全体としては感染状況は安定しているという認識を示していた。過去14日間の平均陽性率が4月初めの40.8%から最近では4.5%まで低下していることや、1日当たりの検査件数が4月初めの2,000件未満から直近では6万~7万件台に増えていること、入院患者数が安定的に推移していることなどを説明した。 他方でニューサム知事は、州内58郡のうち13郡で最近になって感染状況が悪化していることに懸念を示した。会見では13郡全ての郡名は明らかにされなかったが、フレズノ、インペリアル、カーン、キング、ロサンゼルス、サンホアキン、トゥーレアリの各郡の直近の各指標(感染者数の増加、入院者数の増加、病院の受け入れ態勢の制約)が示され、過去14日間の10万人当たりの感染者数をみると、インペリアル郡は773.3人、ロサンゼルス郡は162.5人(いずれも6月15日発表データ)などと、州の経済再開計画の次の段階への移行基準となる25人を大きく上回っている。 ロサンゼルス郡では5月末以降、1日の新規感染者数が1,000人を超える日が多くみられ、6月17日には2,129人とこれまでで最多の感染者数を記録した。同郡では5月29日からレストランの店内飲食の再開が可能となったが(2020年6月3日記事参照)、郡当局が6月13~14日に郡内のレストラン2,000店を訪問調査した結果、その半数が社会的距離の確保をはじめとする感染対策の要件を満たしていないことがわかった。 ニューサム知事は、今後データを注意深くモニタリングし、各郡に技術的な支援や人的・物理的な資源を提供していくとした。 (ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴) 米国ワシントン州の中心都市シアトルが位置するキング郡は6月5日、州の経済再開計画「Safe Start Washington」の「修正版第1段階」への移行が認められたと発表した。ワシントン州では、5月31日に自宅退避・健康維持令(2020年5月8日記事参照)の期限を迎え、ジェイ・インスレー知事が同日、既に5月4日に発表していた経済再開計画を更新し、計画の第1段階で再開が認められる活動内容をより広げた修正版第1段階を新たに設けていた。これまで他郡に比べて経済再開が遅れていた同州最大都市でも、徐々にビジネス活動が拡大する。 修正版第1段階では、既に第1段階で認められている活動に加え、第2段階で再開可能となる以下の活動などが制限付きで再開を認められる。 ジェトロがシアトル在住者に話を聞いたところ、6月5日以降初めて迎えた週末(6月6~7日)に街中では、小売店は依然、カーブサイド・ピックアップ(店舗前での商品受け渡し)による営業を継続し、飲食店もテイクアウトやデリバリーのみで営業している店舗が多いという。また、街の中心部ではミネソタ州で起きた警官による黒人暴行死事件への抗議デモの影響で、治安悪化に備えて店の入り口などに板張りをしている店舗も多くみられるという。 米国主要州の経済再開計画の概要については、北米における新型コロナウイルス対応状況のページを参照。 (ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴) (6/5/20 Updated) サンフランシスコ市・郡は5月28日、段階的な経済再開に向けた計画を発表した。同市・郡は既に5月中旬から一部経済活動を再開した(2020年5月20日記事参照)が、今回の計画は6月以降の長期的な内容を含む。同市・郡では、カリフォルニア州が発表した4段階の再開計画「再開へのロードマップ(Update on California’s Pandemic Roadmap)」(2020年5月13日記事参照)に基づき、同計画の第2段階をさらに3つの段階(2A、2B、2C)に分けて、徐々にビジネス再開を行う。 同市・郡の計画の各段階で再開が認められる主なビジネスは次のとおり。 【第1段階から第2A段階(~6月14日)】 【第2B段階(6月15日の移行が目標)】 【第2C段階(7月13日の移行が目標)】 【第3段階(8月中旬の移行が目標、注2)】 【第4段階(移行時期未定)】 なお、サンフランシスコ市・郡で現在発令中の自宅退避令について、ロンドン・ブリード市長は5月28日の会見で、「無期限に延長する。再開計画は実行されるが、住民には引き続き自宅退避を求める」と述べた。 経済再開の1つの節目となる飲食店の着席サービスの再開状況をみると、北カリフォルニアのベイエリア9郡(注3)のうち、ナパ郡(屋外・屋内ともに可、バーなどを除く)やソラノ郡(屋外・屋内ともに可、バーなどを除く)、ソノマ郡(屋外のみ可、バーなどを含む)が制限付きで再開を認めている(5月28日時点)。ジェトロが確認したところ、ソラノ郡の飲食店では依然、休業やデリバリーや持ち帰りのみで営業している店も多い。 (注1)消費者がオンラインで注文した商品を実店舗の駐車場などで車から降りることなく受け取れるサービス。 (注2)第3段階の中で段階をより細かく分ける可能性がある。 (注3)アラメダ郡、コントラコスタ郡、マリン郡、ナパ郡、サンフランシスコ郡、サンマテオ郡、サンタクララ郡、ソラノ郡、ソノマ郡 (ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴) >>>ジェトロ オリジナル記事URLはこちらから! カリフォルニア州サンフランシスコ市・郡は5月17日、屋内退避令(2020年5月1日記事参照)の内容を一部変更し、5月18日午前10時から必要不可欠でない小売業の営業再開を制限付きで認めるなど新たな規制緩和を盛り込んで新たに命令を発令した。小売業に関連する必要不可欠でない製造業や倉庫・物流業も再開が可能となった。今回の変更は、カリフォルニア州が4月28日に発表していた4段階の経済再開計画「再開へのロードマップ(Update on California’s Pandemic Roadmap)」の第2段階(低リスクなビジネス活動を再開)(2020年5月13日記事参照)への移行に当たる。 サンフランシスコ市・郡は新しい命令で、営業再開が認められる業種が順守すべき要件を示している。概要は次のとおり。 カリフォルニア州のベイエリアでは、マリン郡や日系企業が多く進出するサンマテオ郡(注3)でも新しい屋内退避令が発令され、5月18日から一部経済活動の再開が可能となった。サンマテオ郡では、小売業や関連する製造業、倉庫・物流業などに加えて、オフィスの再開も認められた。ただし、出社できるのは在宅では遂行できない業務に従事している従業員に限られ、屋内での対面での商業活動はできない。また、社会的距離の確保やフェイスカバー着用命令に従う必要がある。 (注1)消費者がオンラインで注文した商品を実店舗の駐車場などで車から降りることなく受け取れるサービス。 (注2)サンフランシスコ市・郡のウェブサイトに掲載されている。 (注3)ジェトロの「ベイエリア日系企業実態調査2018」によると、ベイエリアに所在する日系企業は913社で、そのうちサンマテオ郡には約2割(18.2%)が所在している。 カリフォルニア州サンフランシスコ市・郡は5月17日、屋内退避令(2020年5月1日記事参照)の内容を一部変更し、5月18日午前10時から必要不可欠でない小売業の営業再開を制限付きで認めるなど新たな規制緩和を盛り込んで新たに命令を発令した。小売業に関連する必要不可欠でない製造業や倉庫・物流業も再開が可能となった。今回の変更は、カリフォルニア州が4月28日に発表していた4段階の経済再開計画「再開へのロードマップ(Update on California’s Pandemic Roadmap)」の第2段階(低リスクなビジネス活動を再開)(2020年5月13日記事参照)への移行に当たる。 サンフランシスコ市・郡は新しい命令で、営業再開が認められる業種が順守すべき要件を示している。概要は次のとおり。 カリフォルニア州のベイエリアでは、日系企業が多く進出するサンマテオ郡やマリン郡でも新しい屋内退避令が発令され、5月18日から一部経済活動の再開が可能となった。サンマテオ郡では、小売業や関連する製造業、倉庫・物流業などに加えて、オフィスの再開も認められた。ただし、出社できるのは在宅では遂行できない業務に従事している従業員に限られ、屋内での対面での商業活動はできない。また、社会的距離の確保やフェイスカバー着用命令に従う必要がある。 (注1)消費者がオンラインで注文した商品を実店舗の駐車場などで車から降りることなく受け取れるサービス。 (注2)サンフランシスコ市・郡のウェブサイトに掲載されている。 (ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴) カリフォルニア州は5月8日、自宅退避令の内容を変更し、一部経済活動を再開した。 5月8日から事業を再開できる業種は、書店、玩具店、衣料品店、靴店、日用品・家具店、スポーツ用品店、生花店などの小売り〔カーブサイド・ピックアップ(注1)およびデリバリーでの営業のみ〕や同ビジネスに関連する製造業と物流業に限られる。 再開に先立ち、4月28日に同州は4段階の経済再開計画「再開へのロードマップ(Update on California’s Pandemic Roadmap)」を発表していたが、今回の措置はその第2段階に当たる。4段階の計画は次のとおり。 レストランでの店内飲食などは第2段階の後半に再開される予定。バー、ナイトクラブ、ネイルサロンなどは、高リスクなビジネス活動に分類され、再開はさらに先となる。 カリフォルニア州内では、地域によって経済再開の状況は異なる。南カリフォルニアのロサンゼルス市・郡では、州のビジネス再開の動きに歩調を合わせ、5月8日から段階的な再開に動いている(2020年5月8日記事参照)。北カリフォルニアのベイエリアでも、ソノマ、ソラノ、ナパの各郡では、それぞれ自宅退避命が修正され、5月8日から一部ビジネスの再開が可能になった。 5月31日まで屋内退避令(2020年5月1日記事参照)が発令されているサンフランシスコ市・郡は5月7日、新型コロナウイルスの感染者数が低下し続けた場合、早ければ5月18日から一部の小売業に対し、店舗前で商品を受け渡しする方法での営業を認めると発表した。対象は、書店や生花店、化粧品・美容品店など。一方、ベイエリアの中でも日系企業が集積するサンタクララ郡(注2)は5月7日、不要不急のビジネスによるカーブサイド・ピックアップ・サービスを認めない慎重な姿勢を示した。 同じく慎重な姿勢を示すアラメダ郡は、5月31日まで屋内退避令を延長しているが、同郡フリーモント市に生産工場を構えるテスラ(本社:カリフォルニア州パロアルト)のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は5月9日、自身のツイッターで、屋内退避令により生産活動が制限されていることを理由に、アラメダ郡を訴えていることを明かした。また、「本社をカリフォルニア州からテキサス州またはネバダ州に移す」ともツイートした。 (注1)消費者がオンラインで注文した商品を実店舗の駐車場などで車から降りることなく受け取れるサービス。 (注2)ジェトロの「ベイエリア日系企業実態調査2018」によると、ベイエリアに所在する日系企業は913社で、そのうちサンタクララ郡に44.5%が所在している。 (ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴) ワシントン州のジェイ・インスレー知事は5月4日、同日に期限を迎えた自宅退避・健康維持命令(Stay Home, Stay Healthy order)を5月31日まで延長する命令に署名した。新しい命令では、自宅退避に関わる内容を再度延長する一方で、同知事が命令とあわせて発表した州の経済再開計画の第1段階で定められた事業活動の再開を認めた。 経済再開計画(Safe Start policy plan)は4つの段階に分けて、娯楽活動、集会、ビジネスなどを再開させる。全ての段階は最低3週間維持される。各ビジネスは、州保健局が別途示す業種ごとのガイドラインを順守する条件で再開可能となる。各段階で認められる活動の概要は次のとおり。 ○第1段階 ○第2段階 ○第3段階 ○第4段階 米国西部ではモンタナ州でも、スティーブ・ブロック知事が4月22日、段階的な活動再開に向けた計画を発表した。モンタナ州では自宅退避令が4月24日まで発令されていたが、4月27日以降、ビジネス活動は社会的距離の維持といった要件を順守した上で再開可能になった。レストランやバーなどは5月4日から客数の制限付きで店内営業を再開できる。 (注)消費者がオンラインで注文した商品を実店舗の駐車場で車から降りることなく受け取れるサービス。 (サンフランシスコ ジェトロ 石橋裕貴) ベイエリア7郡・市(注)は4月29日、5月3日に期限を迎える屋内退避令を5月31日まで延長することを発表した。新しい命令は、5月3日午後11時59分から有効となり、同命令に違反した場合は軽犯罪として罰せられ、罰金や拘留、またはその両方などの措置が取られる可能性がある。命令の期限については、保健衛生官が状況を注意深く監視し、変更される可能性がある。 新たな命令ではこれまでと同様、必要不可欠な事業活動などの場合を除き、屋外での集会は引き続き禁止されている。レストラン、カフェなど飲食店は持ち帰りとデリバリーでの営業のみ認められる。バーやナイトクラブ、映画館、そのほかの娯楽施設、ジムやヘアサロンなどは閉鎖を続ける必要がある。 他方、今回の命令では、幾つかの制限が緩和された。第1に、屋外で活動する一定のビジネスが認められる。例えば、フリーマーケットや洗車、保育園、園芸サービスなどが営業可能となる。第2に、ゴルフなど屋外での娯楽活動は、社会的距離の確保や施設の衛生対策をした上で、共有設備を使用しないなどの条件で認められる。第3に、全ての建設事業は命令に付属する衛生対策手順に従う限り認められる。そのほか、全ての不動産取引(住宅の一般公開には一部制限あり)や、住民の引っ越しも可能となる。 命令の発表に先立ち、ベイエリア7群・市の保健衛生官は4月27日に、屋内退避令の延長に関する共同声明を出していた。各保健衛生官は声明の中で、「地域の700万人の住民の一体となった努力や忍耐のおかげで、新型コロナウイルスの感染拡大抑止に向けて大きく前進している」との認識を示した。一方で、「もし制限の緩和にあまりにも早く移行したならば、(再びのウイルスの)急激な拡散が、経済と住民の健康保全に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と慎重な姿勢を示し、これまでの努力を継続する必要性を訴えた。 (注)アラメダ郡、コントラコスタ郡、マリン郡、サンフランシスコ郡、サンマテオ郡、サンタクララ郡、バークレー市。 (サンフランシスコ ジェトロ 石橋裕貴 5月8日 Updated) サンフランシスコのロンドン・ブリード市長は4月17日、住民に対し必要不可欠な外出をする際に、マスクなどフェイスカバーの着用を求める命令を発表した。同命令は、4月17日午後11時59分から有効で、4月22日午前8時以降に同命令に違反した場合は、軽犯罪として罰せられ、罰金、禁固またはその両方が科される可能性がある。 フェイスカバー〔注1〕は鼻と口を覆い、肌に密着するものである必要があり、サンフランシスコ住民は具体的に、次のような場合にフェイスカバーの着用を求められる。 • 店に入る前に列で並んでいるとき〔注2〕 サンフランシスコのスーパーマーケットでは4月18日時点で、フェイスカバーを着用していない客の入店を断る例もみられた。 他方、今回の命令では、在宅時や自分ひとりまたは家族だけで車に乗っているとき、散歩時などにはフェイスカバーの着用を求めていない。また、2歳以下の子供は窒息のおそれがあるため、フェイスカバーの着用は禁止されており、3~12歳の子供は着用の義務はない。 サンフランシスコ市・郡と同様の命令は、コントラコスタ、アラメダ、サンマテオ、マリン、ソノマなどベイエリア各郡でも個別に発表されている。サンタクララ郡は4月17日にフェイスカバーに関するガイダンスを発表し、住民にフェイスカバーの着用を強く推奨している。 〔注1〕手作りのマスクやバンダナ、スカーフ、タオルなど類似する製品でも認められる。 (サンフランシスコ ジェトロ 石橋裕貴) 在米国各ジェトロ事務所でリテインしている弁護士、会計士等現地専門家を活用し、現地日系企業が抱える労務・法務・税務などの課題に対する個別相談(無料)を受け付けます。※1企業あたり1~2回。相談内容によっては対応できない場合もあります。 ・州ごとの相談窓口一覧 Japan External Trade Organization (JETRO) *ジェトロからのお知らせ*
米大統領選、世論調査どおりバイデン候補が加州を制する
カリフォルニアなど米西海岸4州、新型コロナウイルスワクチンの検証で連携へ
米サンフランシスコで家賃下落が顕著に
サンフランシスコ、6カ月ぶりに飲食店の屋内営業が可能に
米カリフォルニア州、2035年までにガソリン車の新車販売を禁止と発表
米大型スタートアップ展示会「ディスラプト」、コロナ禍で初のオンライン開催
日系15社がバーチャル出展、米スタートアップイベント「ディスラプト」で
米加州で山火事による被害続く、都市部の大気汚染深刻に
カリフォルニア州、新型コロナとの共存のためビジネス再開の新計画始動
(ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴)加州の森林火災は歴史的規模に、都市部で大気汚染被害も
ウーバーとリフト、加州でのライドシェアサービス停止を見送りへ
ホンダなど自動車大手5社、米カリフォルニア州との燃費基準協定に最終合意
カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)最終規則が承認
加州上級裁判所、ウーバーとリフトに運転手を従業員と扱うよう仮命令
ハイテク技術見本市「CES 2021」をオンライン開催へ全面移行
カリフォルニア州、全ての郡にレストランの屋内営業などの再停止を命令
カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)、7月1日から執行開始
(ジェトロ サンフランシスコ 石橋裕貴)カリフォルニア州政府、19郡にレストランの屋内飲食などの停止を命令
カリフォルニア州、公共スペースなどでのフェイスカバー着用を義務化、知事は州内一部の郡の感染状況悪化を懸念
(6/19/20 Updated)
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ワシントン州シアトル市、6月5日から幅広い業種で活動再開
サンフランシスコ市・郡が独自の経済再開計画を発表、店内飲食は6月15日再開の可能性
サンフランシスコ市・郡、5月18日から必要不可欠でないビジネスも一部再開
(5/26/20 Updated)
カリフォルニア州、小売業などで一部経済活動再開
ワシントン州、5月末まで自宅退避命令延長、段階的に経済再開へ
ベイエリア7郡・市で屋内退避令延長、5月31日まで
サンフランシスコなどベイエリア各郡、マスクなどのフェイスカバーの着用命令を発表
• 店で買い物をしているとき
• 公共交通機関に乗っているとき(または待っている間)
• タクシーまたはライドシェアサービス利用時の車中
• 医療機関の診察時
• 政府機関などの施設内
• 必要不可欠な業務に従事し、人と接するとき
〔注2〕ベイエリアの店舗では、店内での社会的距離を確保する目的などで、客の入場制限を行っている店もある。
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